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<無策では居られない>
魔女は、日葵の服から届く音を環境音のように聞き流す。
彼女の意識は、魔法服に内蔵された「経験値操作」の上級魔具について考えていた。
「私も世話になったあの魔具の力で、早く成長してほしいわ。
一刻も早く、服を完全なものに…!」
魔女は自分の計画を思い浮かべ、一刻も早い成就を願っていた。
しかしその時、ギルドの管理者と日葵の会話が有り得ない展開になっていた。
「…レベル1だと?いや、俺のレベルは正しく表示された。」
「え、あの私レベルが6だったのに…済みません。」
その会話を聞いた瞬間、魔女の思考は一時停止した。
経験値操作魔具をつけてるのに、レベル1?
もしや…レベルを意図的に抑えている…?
いや、日常生活でもレベルが上がるほどの最大上昇設定のはずだ。
それとも装置がうまく稼働していない可能性も…。
「もし、このままレベル上昇が確認できなければ
…帰還させるか、出向く必要があるかもしれないわね。」
上がらな過ぎても…ダメ…?




