鶏に牛刀 日葵に服
話を終えてカウンターに戻り、冒険者の対応が再開した。
日葵はキャロスさんに聞いて依頼者が取り消した内容があれば剝がしたり、
依頼受け取り済みの書類が貯まっていれば、地下室に持って行った。
来た冒険者に挨拶や仕事希望を聞いて、それをキャロスさんに伝えたりしていた。
歩き回ってばかりで、少し体力に不安があったがその点は問題なかった。
ただ、覚えることが多くて少し眠くなる。
対応した冒険者の請負内容を思い出す。
お店の作業手伝い・片付け・引っ越し・洗濯代行・魔具利用代行・監視作業
日常を助ける姿が思い浮かんだ。
冒険の依頼がない、イメージと違うと少し落胆する。
仕事して少しの間は
「新入り?若いね。どんな仕事狙ってる?」
と気軽に話されたが、暫くするとそうした声はなくなる。
最初は慣れてきたからかなと思ったが、明確に従業員として扱われていることに気が付き
服を見ると秘書官のような格好に服が変化していた。
藍色の服でギルドの名前が入っており、身軽でさっぱりとした服装だ。
この服、なんでもなれるんだ。本当に規格外かもしれない。
それと同時に沢山の疑問が沸き上がってきた。
どうして作ったんだろう。
なんでこんな高性能な服を
どうして私なんかに着せる必要があったんだろう。
私も少しずつ、思う形に成長できるといいな。
魔法服みたいに…。




