餅は餅屋
10分後キャロスは指を1本立てながらこう話した。
彼女の話を整理して、考えながら話し始めた。
「まず、その服を外すのは至難の業だ。
俺の見る限りでも、服の魔力波動とお前の魔力波動が一致しているうえ
装備が外せない呪いがかけられている。
体の中にまで呪いが浸透しているから、教会でも外せないだろう。」
次に中指を立てて、説明を続ける。
「その服の機能だが、常軌を逸している。
魔力波動が全く同じ故、お前の意識で肌か服か変化するのだろう。
こういった魔具を作るにはかなりの金額が必要で
ただ高名なだけの魔女に作れるはずがない。」
そうだ、魔力波動は貴族がオーダーメイドで作っても
僅かにズレが生じてしまうものなのだ、だがこいつの服は
まるでスイカの皮と身のようだ、まるで1つのような…。
それだけではない、魔女が彼女を監視し
呼び戻すための機能まで実装されている、殺す算段だな。
「それに、パッと感知したところ冒険者にはメジャーな魔具のいくつかが
服に埋め込まれていそうでな。
幾つかの判るものだけ上げると、
"帰還魔具","人物感知魔具","念波魔具"だ。
つまりその服には最低限、強制帰還・周囲の人物感知・監視対象との会話機能
が実装されているということだ。」
この服が…私を監視してるんだ。
私はこの服を今すぐにでも脱ぎたくなった。
「帰還機能…ですか。
魔女のもとに帰ったら…!
そんなの嫌です…早く服を壊してください…。」
震える声で頼み込むも、キャロスは拒否する。
「それは無理だ。この服には私でもわからない
機能が搭載されている。レベルアップ時の魂の
祝福を蓄積するなど聞いたこともない…!」
キャロスは首を振り、息をついて仮設を提唱する。
今までの服の機能はあまりにも常識を超越していた、ということは…。
「そういった魂に関連する魔術を扱う魔女は
軒並み伝説級でな。
ドラゴン2体を同時に相手しても
勝てるという逸話もある。」
大きく息を吸い込み、ゆっくり吐く。
「落ち着いて聞け、今までの関係者が殺されるぞ。壊すことは拒否する。」
それは冗談ではなかった。
この魔女が怒れば何をするかわからない、そう感じていた。




