もしかして
私は朝早くギルドに訪ねてきた
お客さんを案内していた。
若い…貴族の人だ。
キャロスさんの前に立つと早速本題だ。
「冷気を使った商売をするなら
国から圧力をかけてもらうことになるぞ。
今までの利益の何割かを渡せ。」
正に一方的、連れてきた護衛も
ガンを飛ばしている。
私のせいだ…。
「ギルドは潰されたくありませんので、
お値打ちの情報で手を打ちませんか?」
…?
「先日、農家の依頼をした際に
ギルドにダンジョンの報告があったのです。
調査したところ、罠や獣がいるとかで。」
…まさか…!!
「ほう、情報で勘弁しろと。
ブラックライト。」
態度が軟化した…?
「いえ、慈善事業みたいなもので
冷気商売はあまり利益が無いのです。
なので代わりに情報をと。」
…レンさんと私の給料と食事も出してるから
確かに大きな利益は得ていないのかもしれない。
「きっといい宝も眠っているはずです。
10以上の部屋があったとの話ですから。」
私は身の毛がよだつ、あそこに誘導しようとしている。
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黙っておけ
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(うん、この貴族は相当厄介そうだから)
私は忠告を受けて声を飲み込んだ。
「良いだろう、特別な私が攻略してやろう。
こんな弱小ギルドの言うことが真実とは
限らないがな。
私の選んだ精鋭が獣など消し飛ばすだろう。」
ふんと鼻息が聞こえる。
「こちらが地図です。
農家が入り口を破壊したとのことですが
きっとがれきを外側から少し土魔法で移動させれば
すぐ入れるでしょう。
危険ですから気をつけてください。」
そうして貴族は満足し、立ち去って行った。
「あれがマッツェンダさんの言っていた
嫌いな貴族本人だ。」
嫌いになるの、分かる気がする。
仕方ないかもしれないけど、危険な情報を
キャロスさんまで抵抗なく…。
「あいつは、行商を潰した実績がある。
これは自衛のためなんだ。」
苦い顔で話すキャロスさんの本心も見えて
私は少し安心した。
その後すぐにまたノックがあった。
今度案内すると政治家だった。
必然的に昨日のヒントを思い出した。
「政治家のセドンだ。キャロスさんに会いに来た。」
魔女には常に監視されていて、
そして貴族、政治家…国が来た。
もしかして、運命の精霊があり得ないぐらい同時に脅威を
差し向けてくる、なーんてないよね…??




