冒険者の僥倖
マッツェンダさんが意気揚々と
私のリザードの盾を回収した。
「これを見て、上手く行けばぼったくれる。
腕の見せ所だ…」
爪痕を見ながら考えに浸っているのに加えて
チラッとこちらを見て考え込んでいる気がした。
発言に気を使ってくれてるんだ…。
よく考えたら盾に傷跡が付いてるとか言ったら
魔女さん次第ではダンジョンの難易度がバレそうだね。
危ない…。
肝を冷やしてしまったので、気分転換に
鉄箱の中を見に行くことにしよう…
鉄箱の中は…?
ローブ、盾、鎧、たくさんのアクセサリー
短剣、小さめの杖、胸当て、魔具、ポーション?
何やら本当にたくさんの戦利品が…
あれ、こっちの箱…!
「沢山あるけど
ガラクタばっかりね。」
いやいや、キラキラしてるよ!
どう考えてもガラクタじゃない…!
「いやー石の装備が多いな。」
レンさんが指輪を見ている…宝石!
「うーん、剣を替えようかな…
壊れかけだしな。」
レンさんの剣が歪んでいる気がした
そんなにあの狼の力強かったの…?
バルドさんも毒ありでそんな攻撃を躱してたんだ。
見ている剣は古代文字が書かれて
透明感があるけど透けない不思議な素材で刃が虹色だ。
見ているだけで、瞳が切れてしまいそう。
レンさんは何やら自分の剣に沢山感謝の言葉を
述べている。
ただの買った剣という事ではないのかもしれない。
私はテーブルの上の魔具を見た。
穴の開いた魔具…使うのは危険かな。
ちょっと膨らんだ筒が緑色で、
線の装飾が穴に向かって伸びていた。
きっと攻撃的な魔具だ、未検証で使えば命に係わる。
私は宝石の腕輪をつけてみる。
もちろん内側に毒針などがないか確認して。
すると体が浮き上がった、うわわわ!
ローラさんが天井にいる私に気が付いて
重力を掛けてくれた。
黙って私の頭を押さえながら
指輪を回収されてしまった。
迂闊に触れちゃって…ごめんなさい。
これは普通に見えて、すべて魔具なのかも。
体力を消耗したり、変な効果が発動するなら
…私が下手に触るより任せたほうが良いね。
「わたし、全然役に立てなかったな…」
今日は曇りだったから、
扇ぎ屋をやる必要はなさそう、この後どうしよう。
<レベルを教えなさい。>
…考えたら当たり前だ、魔女さんからの指示が頭に響く。
「レベルを測りに行きます。」
私はそう声をかけ2階に向かった。




