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レベルアップが命取り?建内 日葵と不思議な服  作者: 和琴
ついに私はダンジョンで運命と対峙する。
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命からがら

「おお、突然火が戻って爆発したぞ!」


その農家さんの言葉に心が凍る。


諦神さんが妖気を貸せないって言ってたのは

もしかしてこれを抑え込むためだったの?

私、救われたんだ。

それに…


「バルド!」


腕にけがをしていたバルドさんが

閉じ込められる危険もあったんだ。

あの狼が倒せてたとしてもバルドさんは…。


レンさんが傷口を洗った後縛り、

ローラさんが治癒魔法を試している。


チラッと姿が見えたので

私は一応農家さんに警告する。

「その箱はトラップがあるかすら

 ちゃんと確認してないんです。

 触ると危険ですよ!」


びくっとこちらを向いた

「ああ、わかった。

 医者を呼んでくるか?」


そ、それは嬉しい!

「いればお願いします!」


次は今できる事!

「ローラさん、傷口冷却しますか?」


出来なくても治癒があるけど、毒なら熱持ちそうだし…。


「お願い!」


(冷気と治癒を同時に使うイメージで)

私とフラリスさんの協力で

冷やして熱を抑えながら治癒魔法を行った。


「私は毒の浄化に集中するから、そのままお願いね。」


そっか、精霊によって治癒のタイプが違うんだった。

暫くすると容態も落ち着いてきたようだった。


「俺は、腐った大地の亡者と戦ってきた民族

 毒耐性は高いって聞いてたがなさけねぇ…」


あの鎧の解けた毒を考えると、動けてたのも凄いと思う。

だから控えめに言ってもそんなことない!


「そんなことないですよ!

 とっても頼りになります!」


「医者は休みみたいだ、これではこびゃ。」

農家さんが荷物車を持ってきた。


私達は農家さんの家に移動した。

昼頃になるとバルドさんの腕の色が悪くなってきた。

やっぱりこのままじゃだめだ、急いで病院に行かないと。


「毒は浄化したと思うけど…」

ローラさんは心配していて、理由もわかる。



私は完全に3つの爪痕の付いた

リザードの盾を見る。

深くえぐられて皮が剥がれている。

金属もへこんで半壊だ。


地図はまだ完ぺきではない、

あの蜘蛛の巣の掛かっていた狭いルートと

ハチュッシャの巣は再調査が必要そう…かな。

(おそらくだけどね)


「容体が安定しているうちに戻ろうか。」


「私も引きます!」

そうして私たちは急いでギルドに戻った。


どうやらバルドさんを一緒に運びながら護衛もしてくれるらしく

喜んで好意を受け取った。

農家のおじさんの知り合いの土魔術士の人も護衛についてくれた、

名前は聞き忘れたけど。


ギルドにつくと、せわしなく歩いていたマッツェンダさんが

こちらに気づいて駆け寄ってきた。


「あの、罠にかかったんです詳しくは中で…」

魔女さんにバレちゃ…


「おい、まずは病院だろ!」

わわ、そうだった。

私なんてことを…。


「俺が引いていくからお前たちも後で来い。

 いったんギルドで状況をまとめておきな!」


農家のおじさんとマッツェンダさんが病院に向かう中

私はちょっと泣きながらギルドに入る。

何で自分を優先した判断を一瞬しちゃったんだろう、きっと恐怖が…

うんん次からはしない、それでいいよね。


「キャロスさん、お昼休み近いですよね

 カウンターの整理しておきます。」


チラッとこちらを見てキャロスさんが

「鎧をまず脱いで来い。

 体に異常が無ければ

 そのあと少し休憩してから下に食事を食べに来いよ。」


…魔女さんに対する防護策は私の最優先事項のままでもあった。

私がいない間に話が終わっているのが一番都合いいんだ。

ちょっとした大げさなしぐさで別の意図があるのはすぐわかった。


部屋に戻る間の階段が、結構つらい。

そうして部屋に戻った後ぬれた鎧を脱ぎ

廊下の水壺を使って布で体を拭く。


真夏の道、心配で気にならなかったけど体調があんまりよくない。

ちょっと前だったら体中痛くなってただろうなあ…。


もしかすると意識がもうろうとしてて、無意識に自分を優先しちゃったのかも。

人助けには自分の余裕も必要なんだ…そう思うことにした。


こんこん

「日葵ちゃん、お水いる?」


リーファさん

「はい、くたくたです。」

頭を濡らしながら、その塩水を受け取って飲み干す。

そのまま器を返して床に倒れ込んだ私を見て、

柔らかな笑みを浮かべるのをぼやけた視界の中眺めた。


「ここじゃ熱いでしょ。

 1階に行きましょう。

 …私がおんぶするわ。」


リーファさんにおぶられて、私は1階に移動した。


<…>

なぜか魔女さんの息遣いが一瞬聞こえた気がした。

もしかしたら私の疲労度を見てるのかもしれない…?

ダンジョンの難易度を疑われてたりする…?


「あの、少し体調が悪くて

 すみません。こんな事…」

つい変な言葉が口に出てしまう。


ここは涼しい、カウンターからの冷気が流れてくる。

私は追加で水を飲んで、お手洗いに行ったりした。


「大丈夫?暑い中走って戻ってきたんだよね。」

フレアンさんからの声に返事が遅れる。

胸がつっかえて苦しい。


カリムさんがカウンターから青媒体を持ってきて使ってくれて

フレアンさんも水で拭いてくれる。


暫くするとマッツェンダさんが扉を開いて入ってきた。


「バルドは医者に行った」

そうしてせきをした後、

「宝箱を放置してきたんだってな…」

座ったうえで頭を下に向けて呟いていた。


…ダメだったかな。

声が出ないのは疲労だけじゃない、無力感もあっての事だった。


「地図か高く売れるぜ!いやいいね!」

…ほっ。


「交渉材料があるから、早く現金化できる。

 ありがてえこった。」


なるほど…!じゃあ、地図が高く売れるって…!?


「敵のいそうな大扉に一部未探索の洞窟、

 しかも金貨の入った宝箱が放置状態。

 近所の崩落した洞窟と強敵の情報!

 貴族的には絶対そそるぜ!」


そういわれればそうかも!

プロの話だし、間違いない…任務は成功かな!?


「未探索部分もちゃんと形だけは調査してあるしちょうどいい!

 それに…」


マッツェンダさんが裏の開いた箱を指差す。


「そこに”初級装備”があるのが一瞬見えたぞ?

 嬢ちゃんの盾も悲惨なことになってたし

 好きなの取ったらどうだい!」


にやにやと指したその指の前で指す。

レンさん達が真剣に箱の物品を見ていた。


きっと初級装備じゃない。

調査依頼で手に入らないぐらいのしっかりした

装備がある…。


体調不良も忘れて体が勝手に動き、

指の先へと誘われるように近づいた。



☆少しだけおまけ☆


始めた以上、引くに引けない…!

少しだけおまけのコーナー!

今日も始めちゃいます!


(ダンジョン攻略は凄く大変だったね。)


そうだね、時間的には少しだけだったけど…


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

それにしても

植物魔法か。

従属精霊もいるのか

それともダンジョン

もともとの罠か

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


(罠のあるダンジョンを”巡り合わされた”のかもね。)


植物魔法で危うく閉じ込められるところだったよね…

あれも使い放題の魔法ならどうしようもないし、

フラリスさんの解釈であってほしいな…。


狼も大猿も、嫌なほどしつこいトラップも

全てが危険なダンジョンだったなぁ…。


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

狼は我とも

戦いになるだろう

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


…つまり、とっても強い…。

(私が憑依しても倒しきれないってことだからね…)


逃げたのは大正解だった、ってことだよね。


もしバルドさんと4人で戦ったらどうなるかな。

(たぶん、搦手なしじゃ全滅だね。)


それに加えて、あのダンジョン出口の爆弾も…!

今考えても首を横に振っちゃうほどの怒涛の展開

諦神さんのこの銀のリングが無ければどうやっても死んでたのかな。


▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

   肯定

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼


(それは冷たすぎるよ…私から見れば

 バルドが怒ればポテンシャル次第で相打ちかな。)


ははは

いつも守ってくれてありがとうね、

フラリスさん…諦神さん。


レンさん達にも感謝しなくちゃ。

この機会をくれた魔女さんにも…ね。


そうだ、ダンジョンの残りの道はどうなってるんだろう。

蜘蛛の巣の道は危険って言ってたけど、対策をして進んで行ったら

何があるんだろうね。


(うーん、わかんない!)


あの温度の高い扉に入るなら…キャロスさん込みの総力戦だよね。

うーん、今思い返すと歩いていない分岐点が案外沢山ある…

(そういうのはまた機会があった時に考えればいいの。

 だって疲れるから!)


そう…そうだよね!

また機会が出来るように、生き延びて元気になっちゃおう。

それが、皆に恩返しをする唯一の手段なんだから。

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