堰を切ったように
「2階にパントリーと訓練室があるから上に行こう。」
とキャロスさんが上に向かう階段を指さした。
私は地下室が気になりつつも、上に向かう。
2階に上がると通路の先に3つの扉と階段があり、キャロスさんは1つづつ案内してくれた。
「1つ目がパントリーだ。パン・チーズ・芋などを保存している。
一応棚の中は魔法影響を受けづらいように護符を張ってる。」
「2つ目が訓練室だ、ここで木刀や魔術の練習ができるようになってる。
あの本のような魔具を使えば、今まで出会った魔物の動きをイメージした
標的ができるからそれに向かって練習ができるんだ。
ほら、お前も木刀持ってみるか?」
日葵は2つ目の部屋について目を見開いて話を聞いていた。
管理人さんの説明と明らかに違うのだ。
2つ目の部屋は明らかに倉庫の部屋となっており、
多くのスペースを取っていた。
木刀は古いものがあるが練習用の魔具は見当たらず、
箱・ビーカー・実験器具が並んでいた。
キャロスさんのほうを見ると
キャロスさんは鋭く青色の目で睨んできた。
私は突然のことに声が出ず黙ってしまった。
キャロスさんは不思議とそのままの調子で廊下に出て話を続ける。
「そして、ここが3つ目の部屋」
最後の部屋を開けるとそこには明らかに異質な光景が広がっていた。
紫色の目が部屋各面の壁の中央に大きく描かれた空間。
空気穴らしきものはあるが、窓のない石造りとなっている。
その中に先ほどキャロスさんが言っていた訓練器具があった。
大きい輝く不思議な水晶が天井から部屋を照らし、
後は様々な色の輝く水晶、本棚が並んでいるのが見える。
すごく特殊な空間だ。
「2階の最後の部屋は倉庫と錬金術の部屋だ。
ちょっと特殊な物品が多くてな、外部に変な影響があるといけないから
防魔法室にしてあるんだ。
魔具を安全に保管するための防魔法室で
倉庫も兼ねてるギルドでは標準装備なんだ。
中にある物品の説明をしたいからちょっと入ってくれないか?」
「あ、はい…」
私の腕を掴んで部屋に入り、部屋の扉を閉めて彼はこう言った。
「お前、監視されてるだろ。」




