通路の先
通路を進んでいると
その途中に1回槍の罠が飛び出してきた。
かち…
うわわ!
私の鎖帷子を掠った。
足元が沈み込んでいる。
そして鎖帷子には何か液体…
レンさんが素早く水流
でそこを拭い去る。
水が落ちると、何かが解ける香りがした。
あれ、私死にかけた…?
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問題ない、
あの勢いなら
毒か酸中心だ。
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「足元、慎重に探知するわ。」
そうして不自然な床を避けつつ
進んでいく。
通路の先に向かうとT字路になっていた。
「片方が広い洞窟、片方が部屋になってるわね。」
…!
「あの部屋の温度が高い、大きな何かがいるかも!」
「危険ね、そういうのは私たちの仕事じゃないわ。」
「勇者としては悔しいけど
安全を求めるなら、5人以上で挑むものだよね。
よほど飛びぬけてなければさ。」
そうして、大きな洞窟のほうに向かう。
サーチをした後、
ローラさんが空間全体を照らし出す。
天井付近に一つ穴、
滝のように水が流れていて、そこも穴。
水の流れ道で下の方に穴。
ただし普通の通路はもうないようだった。
「狭いわね、
ただ、今までの通路は何度も通りたくないから
上の穴を確認させて。
滝の通路は無視するわ、絶対に危険よ。」
「水の宝珠でなんとかできる…って言っても
水の落下する通路なんて、
いつ落ちても戻れなくなっても
おかしくないからね。」
レンさん…水の宝珠にも限界はあるんだね。
もしおぼれたり流されたら…ぞっとする。
水路で滑ったり、多岐になってたら…
「誘導フレアで出来るところまでは地図を作るわ。」
どうやら、水の通り道は狭かったりほぼ水没しているようだ。
「一応歩けそうだけど、避けましょう。」
バルドさんは会話に参加せず、徹頭徹尾警戒している。
天井付近の穴はどう探索するんだろう。
「立て!水柱!」
洞窟が振動した。
そして水が浮き上がり、固形となり天井付近の穴への壁を作った。
何と踊り場まである。
「あそこで誘導フレアを使おう。」
「そうね、いつも助かるわ。」
「おい、下に宝箱があるぜ!」
ふと見ると水が抜けた”拒絶空間”に
宝箱が見え、早速ローラの浮遊
で軽くなったバルドさんが素早く取ってきた。
鉄の箱だ。
ローラさんが杖でなぞって探知したうえで、
軽く刺激を与えて問題ないことを確認し、
古い金属の箱を、バルドさんが無理やり開ける。
サレットを照らして見ると金貨がたくさん詰まっていた。
うわわわわわわ!
しかし、バルドさんは宝箱に蓋して捨ててしまった。
えーーなんで!?
…いや、それが正しいよね。
地図の作成任務だもん。
「冷静だね、バルド。」
「ええ、行きましょう!」
一行は水の階段を上っていく。
…
…
こんな天井付近の穴調査の必要はないのだ。
普通は行けないのだから。
しかしダンジョンが狭かったこと、
能力が高かったことで一行は進んでしまった。
そうオモテのウラに…。
極限を試される道、それは人類のロマンである。
もし水路を探索していれば新たな装備が見つかったかもしれない。
別のダンジョンに繋がっていたかもしれない。
いい装備の入った宝箱が引っかかっていたかもしれない。
そういった醍醐味を追及する余裕が彼らにはなかった。
しかし彼らはそんな中でも、一番危険な道を選んでしまった。
それは一見安全そうに見える道だったからだ。
地図なき冒険は危険であり、古来から現代まで
旅人たちを罠にかけてきた。
運命の選択は、いつも世界のどこかで起こっているのかもしれない。




