貢献と不穏
「今日は特別に暑いため
倒れそうな人のお体を冷やします!」
という張り紙を張って
私は今日も準備を完了させた。
キャロスさんの提案で冷やしても体調が悪そうな人には
塩水を提供することになった。
また、歳を取っている場合は
急に冷やしすぎないように配慮すること、
流行り病の噂があれば中止しろとも警告してくれた。
昨日稼いだお金は税金
の問題もあるからと
キャロスさんが持っていたけど
私では分からないことを管理してくれるなら有難かった。
「どうぞ!」
私とレンさんは5クランで
皆さんを冷やし続けた。
「レンさんのお水ください!」
レンさんを目当てにくる人もいたみたい。
「冷気魔法だ。やっぱりキャロスさんの指導?
それとも寒冷地の出身?」
やっぱり冷気魔法は貴重みたい。
そんななか、ふと目を閉じると
なんだか道にすごくもやもやが見えた。
探知ってどうやって切るの!?
そう思って目を開けると、貴族っぽいお兄さんが千鳥足で
歩いているのが見えた。
私はすかさず声をかけた。
「あの、大丈夫ですか!?」
此方を見た男が倒れ周囲が騒然とする。
レンさんが急いで水を生成しながら、日陰にその男を運ぶ。
塩水をわたし冷気と風による冷却の後、
ギルド内に移動してもらった。
私は冷やし続けていたが、ギルド内から怒号が飛んできた。
「庶民に冷気など、不要だ!
私が1万クランで雇ってやると言っているんだ!」
わわわ、助けたのに何でこんな事に…!
雇うって…私の事!?
「私は助けてもらいたくなどなかった!
私は特別で、頑丈なんだ!愚民が!」
どう見ても、庶民とは違うというプライドだけの反発
出ていく背中をじっと見守った。
「貴族なんて見捨てればよかったんだ。」
「ああ、やべえなありゃ」
「助けなかったらギルドごと潰されるだろ…」
貴族…相当嫌われてる。
でも、それと命は別だよね。
目を閉じると、並んでる数人のもやもやが違う事に気が付いた。
目を開けると、顔が赤かった…
もしかして、体調不良を感知できるの…??
「あの、そこの方とそこの方顔が赤いですが
大丈夫ですか?」
レンさんが驚いて私とその方たちを見比べて駆け寄る
「大丈夫です、ここに居るだけでも涼しいですから…」
「すみません、お願いします…」
私とレンさんはそうやって体調を見ながら
お昼をまたいでも5クランで人々を冷やし続けた
そうしてトレーニングと社会貢献、維持費程度の商売を兼ねた
今日の報酬は180クランとなった。
ギルド内で仕事を見ながら体を冷やす方が増えたから
利用者は昨日より少なかったんだよね。
それにしても今日の貴族の人…
何か嫌なことが起こらなければいいけど。
私は最近の治安を思い出し、
いやな気分になった。
私はまたバルドさんに支えてもらいながらギルドに
入って、椅子に座り背中を伸ばした。
「全く、無理しすぎだぜ!
二日連続なんて無茶苦茶だろ?」
「この街の皆さんが助かるなら
いくらでも頑張ります…」
…訓練をこっそりしないといけないしね。
目を閉じると自分がもやもやしてる…。
あれ…視界がグルグルする。
ふと冷えた感じがしてみてみると
ローラさんが慌てて近づいてきた。
「今治癒するから!
横にしてあげて。」
あっ…倒れちゃった…。
もう気持ち悪くて倒れる事なんて
無いと思ってたのに。
私は自分を意識して精神力を捧げて治癒魔法を…
フラリスさんが拒否したのか発動しない。
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力量を知れ
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その諦神さんの声を聴いて
私は休憩に専念することに決めた。
自分の体調不良を治癒しようとしても
体力を使うだけだもんね。
少し治癒してもらうと体が落ち着いた。




