恐怖のお昼ご飯
私はお昼ご飯の時間が怖かった。
ある想像が出来たからだ、そして
その想像通りの出来事が訪れた。
「日葵ちゃん!
今日も涼し気に輝いてたよ!」
始まっちゃった…
「うん、なんかいるだけで涼しかったよ。」
「警備としてもいると助かるぜ!」
冒険者カウンターで全員に見られてたもんね…。
バルドさんとフレアンさんの反応は
仕方のない事だった。
「日葵ちゃん…?」
「冷気魔具を冒険者カウンターに導入したのですか?」
皆からの質問と注目が頭の速さを超えて押し寄せる。
「ちが、違うんです。やることが思いつかなくて…」
「今日は特別にお仰ぎしますって、来た人を
扇いでたんだ。
断ったけどお金も置いて行かれちゃったね。」
レンさん詳しく説明しないで…!
「まあまあ、頑張ったんだから凄いわ。」
リーファさんが場を収めようとしてくれる。
「今じゃ冷気娘って評判だね。」
「レン、お前が居酒屋でそう呼んだのが最初だぜ!」
「水と冷気と風なんて高級ギルドだね。」
あっついもんね、魔具は体力もいるし
精霊より効率が悪くて
人が使って涼しくするには相当頑張る必要がありそうだから。
「仕事を見つけてくれるのはありがたい。
そうだな、冷房もいつか導入しよう。」
「冷気娘だったかお嬢ちゃん!」
マッツェンダさんも効いてたのかな、あの噂。
「突然扇ぎ始めたからびっくりしたよ。
でもだんだんギルドが涼しくなって
面白かった!」
「1秒で20度下がるって評判だったぜ日葵はよ!」
「…それ兵器じゃない。詐欺よ。」
「今やってみてくれませんか?」
夕暮方紫苑さんからのお願いにこたえるべく
私は祈って黒い長方形を生成…崩れた、失敗だ。
もう一度祈って黒い長方形を生成した。
二回祈ったから負担も二倍で少し視界がぼやけた。
そして祈って冷気を込める。
「おあおぎします!」
私はやけくそで皆さんを遠くから扇いだ。
「不思議なサービスね。ありがとう」
何で聞いたんだろう、嫌な予感がした気がする。
「そこまで冒険者カウンターは人員過多だったんだのね。
フレアンちゃん!依頼者カウンターに来てくれるかしら?」
「分かりました!」
「うん、いいと思うよ。
僕はパンの買い出しとかに行ったほうが良いかな。」
「マッツェンダさん。彼に頼んでいいですか?」
キャロスさんは敬語だ。
依頼者だもんね。
「ああ、いいぜ!何度も言うが運命共同体だからな。
それに俺にはお嬢ちゃんに扇がれる使命もあるし
カリムが行ってくれるなら助かるからな。」
「面白いわね。草取りの時の冷気を使ってくれているのね
私も空間に冷気を使おうかしら」
「お、いいね。冷気補助は楽だよ。」
「いや、裏からの魔法は監視を警戒する者もいる。
あくまで日葵だけにしてくれ。」
疲れと恥ずかしさで思考が追い付かないよ!
「日葵ちゃんも早くパンを食べなさい!」
私はその声で我に返りパンを食べて
その後午後の業務を始めた…。




