ギルド生活の始まり 第1章 - 終
おばあさんに連れられて、ホテルの出口から右側に向かって歩きそのまま進む。
道からは洗濯物を干す主婦や学校となる協会に向かう子供
ミルク売りの夫婦等様々な人とすれ違う。
街の雰囲気やすれ違う人々を観察しながら
「私、独り立ちしないと」と何度も自分に言い聞かせた。
50メートルほど歩くと、ギルドについたと教えてくれた。
茶色で木と石造りの3階建ての建物の前に立つ。
看板を見ると"縁の下ギルド"と書かれていて
"冒険者派遣・家事雑用 請負所"と下に小さく書かれていた。
「さあ、ここが縁の下ギルドだよ。
一緒に入るよ!」
おばあさんが扉に手をかける。
「は、はい!」
私は手を引かれながらそのギルドがどんな所か
想像し、ざわつく胸に手を当てて開く内扉に視線を集中する。
少しずつ開く扉の先に
数人の若い冒険者さんが壁の依頼を見ながら話し、
その近くの一人用にしては広いカウンターに黒いフードを被った
おじさんが腕を組んで椅子に座っている。
そんな様子が目に入ってきた。
おばあさんが説明してくれる。
「あそこの黒いフードのあんちゃんがキャロスっていう
冒険者に依頼を渡すギルドの管理人だよ。
もう一つ依頼者向けのカウンターがあって、そっちにはもちょっと外見のいい
のが受付をしとる。
こっちは冒険者用だから、みえんなあ。」
紙と木とインクの混ざったような独特な香りが漂い、
仕事場であるという雰囲気が私にとっては新鮮だった。
「ここがギルドで、あそこが仕事の受付なんですね…」
キャロスさんがカウンターを開けて近付いてきて、私とおばあさんに話しかけてきた。
「ホテルのおばさんじゃないか、依頼者カウンターは裏の入り口だって何度言ったら…」
そこまで言って私を見た
おばあさんは私をキャロスさんに突き出して、驚くようなことを言ったのだ。
「この娘さん、あんたのギルドに住み込みで働かせてやってくれんか?」




