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レベルアップが命取り?建内 日葵と不思議な服  作者: 和琴
決意を胸に、私は準備する
120/158

ついにリザード屋

日葵はレンたちとともに家を出て

ついに川沿いに立つリザード屋にたどり着いた。


少し遠くには折れた木が川に沈んていて

水面に光が反射する中

印象的な姿を晒していた。


リザード屋の開店時間、

待機している人の姿が見えた。

店の横側から排水路みたいなものが、

川の下流に向けて繋がっている。


「どうしたんだろう、入らないのかな。」


「あの、リザードのリド君の機嫌が悪いので

 5分お待ちください!

 お肉を与えておりますので。」

魔物も生き物だもん、そういう事もあるよね。


5分後とうとうお店が開店した。

普通の建物の9戸分ぐらいの広々としたサイズに驚いた。


「広い!」

「広いよね。」

「靴を置こうぜ!」

「風呂に入るときは靴を脱ぐルールなんだ。」

私に気を使ったのか、説明してくれる。


靴を見ると、すでに消えていた。

私はここまで魔法の服だったと初めて意識したかもしれず

改めて驚いた。

探索服には確か靴も付くんだよね…よかった。


私はそのままお金を払うところに行くと

レンさんたちが払ってくれた。


大人料金4人分400クランになるところ、

私が12歳で初めてのお風呂と

聞いたことで350クランに受付の人がまけてくれた。


「先にリザードさんの姿を見たいな。」

右手には檻とあってまずはリザードさんの様子を見に向かう。


どのぐらいの距離から見られるんだろう。


(電撃に気を付けてね。

 ヘルスパークリザードは本来

 上級冒険者で立ち向かうようなモンスターだよ。)


そうなんだ。

…私が知らないのに警告してくるってことは

フラリスさんから見たら相当危険なんだろう。


私は廊下の端で目を閉じる。

「もしかして、体調良くなった?」


そこには穴の開いた葉っぱをつけた若木があった。

「違和感あるけど、かなりね。」


「良かったね、いつも話してくれてありがとう。」


私は目を開けて檻のほうに向かう。

後ろにはローラさんがついてきてくれていた。


私は廊下からそっと顔を出して覗くと

紫と黄色の縞々のリザードさんがお肉を食べていた。

これがリド君かな。


檻は複数の層に分かれていて電撃にも

対応しているようだった。


他の子は遊びみたいに金属に向かって

時折電気を発しており

流してほしい時には職員さんが液体を用意して

電流を出した子に管経由で与えているようだ。


「あれはお砂糖や水の入ったもので

 それをくれるから喜んで電気を出すらしいわ。」


「…ここで長く健康に生きられるんならいいよね。」


「ただお湯を沸かすだけじゃなくて

 国も最終防衛線としての価値があるから

 経済支援しているぐらいなのよ。

 ここはちょっとした防衛施設でもあるの。」

私はリザードさん達の気を紛らわせたくなかった。


「うん、エサやりも見れたしお風呂に行きたいな。」


私は廊下に戻り、ふと売店を見た。

リザードの盾があった。


「今ならあるかもしれないけど

 防犯の問題もあるから先にお風呂に行きましょう!」

その声に導かれ、

私は手をはばたかせながらお風呂に向かった。

日葵はまだ知らなかったが、ヘルスパークリザードとはかつて

文字通り「地獄の雷」と呼ばれ、50年以上前までは上級冒険者が

専用の防電空間を作る魔具の腕輪をはめたうえで五人がかりで討伐に挑むほどの

凶暴なモンスターだった。


人に懐く性質が発見されて以来、繁殖と調教によって“ペット化”も進んだが、

その根源的な戦闘能力は何ひとつ衰えていない。

不機嫌な時は危険すぎる故入店規制をしているのだ。

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