夕暮れの真実
皿を返す時にお皿に少し残ったパンを見て、おばあさんは
「まだバッグの中はきれいだろうからそこに入れて後で食べな」
「布があったら包めるから、余裕があれば購入しておきなよ!」
とアドバイスをくれた。
昨日は夕方であまり見えなかったが、ふと料金表が目に入る。
「500クラン」は朝食と夕食付で個室の上級プランだった。
このおばあさん抜け目ない…。
一番安いプランは「70クラン」、その瞬間私の懐が痛んだ気がした。
けど、今の状況で共通部屋は服のこともあって辛いから、これでいいよね。
今回はよかったけど、お金でだまされないようにしなきゃ。
そんなおばあさんを見ながら、今日気づいたことを話した。
「あの、バッグの中から予定より100クランもお金が減っていたんですがこれって…」
するとおばあさんは笑った。
「昨日500クランを渡してもらったときに100クラン札もくっついていたよ。
ただ、嬢ちゃんのことを考えて、案内代を先にもらっておいたのさ。
宿は息子たちに任せて、縁の下ギルドまで案内するからついといで!」
「はい、そうだったんですね…案内ですか。よろしくお願いします!」
ありがたいけど、なんとなく物価がわかってきたから痛い出費な気もする。
バッグをしっかりと持ってそのまま、おばあさんに連れられて宿を出た。




