初めての面談
私は朝起きる。
「んんん~」
背伸びをする。
体があったかく、あれだけ運動して
全く痛みがない。
数日ぶりかのいい目覚めだった。
ヒントの次の日の目覚めは本当にいい。
服の補助もあって、訓練し放題
でも訓練しすぎるとさすがにレベル偽装
…バレるよね。
私は下に降りると、キャロスさんが私を
呼びに来たところだった。
「さっそくだけど今からマッツェンダさんの
出してくれるヘルプの面談だ。
給与については感謝も込めて
住み込み50・通い120クラン予定
になってるから間違えるなよ。」
私は依頼者カウンターに行き
個室でキャロスさんと二人で面談を始めた。
6人は優に入れそうな個室で
落ち着いた空間に緑の装飾が映える。
彼女は自信あって快活な挨拶をしてくれた。
「よろしくお願いします。フレン・ルシアーンです。
仲間からは『フレアン』と呼ばれています。」
綺麗で筋肉も付いた女性だ。
金色の髪が素敵であこがれる。
親しみやすそうな気配がある。
「人と話すのが好きなので、この仕事には自信があります。
ちょっと雑なので、事務より案内志望です。」
…判断に迷う。どこでも、働いてくれそうだ。
キャロスさんは普段より1段階優しそうな声で話す。
なんだか今日は仕事が出来る人だ。
「キャロス・ノードです。
案内も必要ですがより高度な仕事から
確認させてください。
最近は依頼件数が増えています。
月に数百枚書類を処理してもらうこと
なりますが依頼書受領書は作れますか?」
依頼受領書を見せる。
草取りの時の受領書だった。
依頼書は魔道印刷所に依頼を出した
定型用紙に要点だけ記載すればよい。
受領書も番号や日時で合わせて
そこに受領者情報とギルドスタンプ
承認者のサインを押すだけだ。
それを見て、フレアンさんは嬉しそうにする。
顔が明るくなった。
「この受領書が作れればよいのでしょか。
私は学校の時も教える側で読み書きは出来ます。
こういう紹介するのも憧れてたので、
カウンターをやりたいです!」
私からも質問する。
「建内 日葵です。
縁の下ギルドの依頼を知っていますか?
受けたことはありますか?」
顎に手を当ててすぐ答える。
私たちの目をちゃんと見ている。
「ないですが、日々の雑用と聞いてます。
体力で仕事を割り振ればいいと考えます。」
うーん。
大まかには正論…でも少し雑。
凄く素直な人なのかな。
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人の生き死にに
関わる覚悟を問え
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…諦神さん。
「カウンターが通す依頼の結果に
よっては依頼者・冒険者の
生活に大きくかかわります。
割り振った後どのような形
になっても受け止める覚悟はありますか。」
びっくりして私を見た後、もじもじして
言葉が乱れる。とても動揺していた。
「そ、そうだね。もしカウンターになっても
よく考えないと。
すごいね。その年齢でそんな。」
フレアンさんは目に見えて汗をかいていた。
ごめんなさい、そんなつもりじゃ。
「日葵、言いすぎだ。
フレアンさん。
問題なく仕事できると思います。
また、後日よろしくお願いいたします。」
フレアンさんはにっこりと笑って
明るく返事をした。
「はい、宜しくお願い致します!」
次に入ってきたのは
凛々しい顔をした大柄なお兄さんだ。
ひげが気になるけどおおむね清潔だ。
マッツェンダさんは人を見る目がある。
「ローステイン・カリムです。
よろしくお願いします。」
落ち着いた声だ。
「普段は測定とか周囲警戒が担当で
ロースって言われるけど、カリムのほうが良いです。」
言葉遣いが少し怪しい。
「カリムさん。
キャロスノードです。
警備は最近の事件の結果、衛兵の増派が
決まっているので、依頼の相談・案内役として
ギルドに入ってほしいのですが
可能ですか?」
初耳だけど確かに増派される理由はそろってる。
刃物で押し入ろうとした冒険者、
捕まっていない弓矢を打った人、
短刀を盗ろうとした迷惑な隣町ギルドの冒険者達。
しかもあの時の衛兵さんは手も足も出なかった…。
諦神さんが知られていなくとも十分。
ロース…カリムさんは意外そうな顔をする。
「何があったんですか?
こんな平和そうなギルドで…。」
キャロスさんは憂鬱気味に答える。
あまり言いたくはないのだろう。
「押し入り事件が数回、
ハチュッシャまで嗾けられました。
私はレベル38でギルドに残るので
何か事件があれば頼ってください。」
カリムさんはキャロスさんにもともと
興味があったようだ。
レベルを聞いて瞳が輝いた。
「レベル38!凄いじゃないですか。
強いって噂、本当なんですね!
ちょっと魔法教えてください!」
「いいですよ。業務が終わりましたら。
むしろ私も教える練習をさせてください。」
ガッツポーズをするカリムさんは印象的だった。
「やったー!」
私も少し深堀してみよう。
「建内 日葵です。
私からも質問させてください。
周囲警戒ではどのように周りを伺って
いるのですか?
ギルドの仕事には生かせそうですか?」
キャロスさんが案内役を勧めた理由
少し考えてみたのだ。
私を感心した目で眺め
にっこりとした笑顔で答える。
この人たち、優しそう…。
「はい、感知魔具での警戒から
定期的な周囲の見渡しですね。
ギルドでも音と目で困っている人
一生懸命探します。」
キャロスさんが締める。
「ありがとうございます。
問題なく働けると思います。
魔術の指導も致しますので
どうかヘルプの際はよろしくお願いします。」
二人目も問題なかった。
「次の3人目が依頼者カウンターへのヘルプだ。
リーファのほうも大変だから
恒常的な増員も考えてるけどな。」
そのほうが良いよね…と思うとその次に
予想外の言葉が飛んできた。
「お前の友達のアリッサが働きたいって
言ってきたから今読み書きを練習して
もらっているところだ。
依頼者カウンターは丁寧じゃないといけないからな。」
あ、アリッサちゃんと働けるかもしれないの?
嬉しい…。
「といっても1か月は後だから…すまんな。」
私は仕方ないと思いつつもこの服を憎んだ。




