マッツェンダ
私たちは午後、冒険者用のカウンターで仕事をしていた。
すると、少しおなかの膨れたピンとした茶色の帽子をかぶったおじさんが
私のカウンターの前で立ち止まった。
ちょっと渋くてしっかりしてて、
毎日大変な活動をしているとわかる。
「マッツェンダだ、キャロスさんはいるかい?」
「はい、もし来たらギルド内にお招きしろと言われています。」
マッツェンダさんは周りを見渡して私に聞いてきた。
「こいつ等が新たな従業員か。随分強そうじゃないか。
貴族達より100倍は役に立ちそうだ。」
「ええ、とってもいい人達です。私も住み込みですが…」
するとマッツェンダさんは私を懐疑的な目で見てきた。
「…正気か?この娘さんも連れて行くと。」
何の話だろう。
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詳しく聞け
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…私は何となく、魔女に聞かれてはいけない話な気がする。
従ったらダメ…この心も読まれてるんだよね。
「貴族を迂回するって感じですか?」
何言ってるんだろう私、おかしくなったのかな。
「その通り。分かってるね娘さん。
凄く的確じゃないか。」
親指を立てて返してくれる。えっ…。
「まあ納得したよ。通してくれ。」
私はカウンターを開けて、マッツェンダさんを中に通した。
ローラさんがキャロスさんを起こしてくれたので
私はカウンターに戻った。
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なぜ聞かなかった。
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音声監視されているんです。
だから、下手なことは話せなくて。
そうして私は仕事をしながら
少しずつ今までのことを頭で思い浮かべることで
事情を説明した。
…
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魔女は我と同じだ。
説得を諦めている。
我にしたように
実力で示し返せ。
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実力で…?
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試練だ。魔女を
殺して自分を救う
試練
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…違う気がする。
確かに魔女さんは怖いし今は許せないけど、
魔女さんはまだ私以外を明確に傷付けてはいない。
なら、話し合ってみたい。
音声監視を逆手にとって、会話できるかもしれない。
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お前が義ある人間
なら示してみろ。
獣を説く無駄な努力を。
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私は、仕事後に魔女さんと対峙することに決めた。




