邂逅 - 諦神側だけ
私が午前の業務を終えて、
食事に行こうとした時にあの声が頭の中に響いてきた。
<レベルを測り、七日に一度報告しなさい。>
魔女さんの声だ…七日に一度…!
体が震え、動悸がする。
あ、上がらな過ぎてもダメなんだよね。
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…なんだこいつは
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て、ていしんさんまで…
い、息が苦しい…。
「大丈夫かい!お水はいる?」
レンさんが私を見て駆け寄る。
ありがとう、少し落ち着いたよ。
「き、きになるから、レベル測定してから
しょくじに、向かいます。」
「あ、ああ。そう伝えておくよ
バルドも食うぞ!」
レンさんは手をあげて爽やかに答えた。
目で安心しろとアイコンタクトまでくれた。
「おお、レベル上がってるといいな!」
測りたくないよ…!
そうして二人が食卓に行く中、私は寂しく倉庫に向かう。
そしてレベル測定器に手を当てる。
"レベル5"
私の心臓が止まりそうなほどショックを受ける。
間違ってる…半分に誤魔化せてない…!
でも義に反すると腕が…正直にいうしかないよぉ…!
「レベル…5…で、す」
<ようやく魔具が効いてきたようね…!>
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レベル10…我の欠片を
飛ばし経験を得たか
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え、レ、レベル10…???
魔具が効いてきた?
ダメ、頭がグルグルする。
やめて、やめて、やめて!!
(お、落ち着いて日葵!わたしもいるよ…)
ふ、フラリスさん!
(いったん食事へ…一人はきけ…ん)
フラリスさん!しっかりして!
私はパニックになり泣いてしまった。
「うううう…死にたくないよ…」
<フフフフフ…それでいいのよ!私に屈すれば!>
魔女は高揚感のある声で話す。
日葵にとってはそれがさらに恐怖を煽った。
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不愉快だ、実に。
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あ、だめ、何とかしないと…!!
頭の中に複数の声が鳴り響く。
私は限界になる前に気力を振り絞って
1階に這って戻った。
廊下の冷たい感触を感じ、泣きながら階段の
デコボコを思うように動かない手足で慎重に下った。
まさか、こんなに大変だなんて。
何ということでしょう。
暗く寒い空間だった日葵の脳内が
新しく風通しの良い空間へと姿を変えました。
外装は匠の技が光る石の輪が設置されていて
気分によって見た目を変えることができるので居住者を
飽きさせることがありません。
玄関から入ると、まず見えるのはホールです。
壊れそうでいつも暗かったホールですが、
今では魔女と諦神の声が頭蓋をノックし続けるホールに大変身!
常ににぎやかな声が聞こえ精霊たちの温かみが素敵です。
質素な雰囲気だった寝室も
森をイメージした爽やかな空間となっており
明日を思い浮かべながらぐっすりと寝られることでしょう。
いつも母親が立っていたリビングも
今では様々な知識が綺麗に格納されており、
食事を取りながら今後の展望をじっくり考えるには最適な場所です。
まるで4人で一家団欒の時を過ごす幸せな姿が見える様。
では実際に居住者の方の反応を見てみましょう。
「まさか、こんなに大変だなんて。」
「一人は危険…」
「これを、喜ぶものが果たしてこの世にいるのだろうか。」
「不愉快だ、実に」




