きっかけ
ファンタジー世界に住む病弱な少女に突如起こった物語。
彼女はある日、祠に触れ意識を失ってしまう。
そして過酷な運命を強いられることになる。
主人公はすっきりとした面長の輪郭に、東洋的な風貌
前髪をぱっさりと切っている一目見ても華奢な女の子だ。
その見た目以上に体が弱く、日常生活もままならなかった。
名前は建内 日葵。
今日も学校を楽しみにしていた、それなのに通学途中
外の日差しが強く体調を崩してしまった。
「ううっ!息苦しいし気持ちが悪い…
あと少しだよね…でもこのまま歩いてもっと気持ち悪くなったら
みんなの迷惑になっちゃう。」
その足は気持ちと真逆に向いた。
…
…
家に帰り、母に事情を伝えると優しい笑顔をしていたが、
私は何度も謝罪を繰り返すしかなかった。
「お母さん学校を休んでしまってごめんなさい。」
日葵の母である建内 輝美は心配そうに笑顔を浮かべた。
「いいのよ、体が一番だもの。ゆっくり休んでね」
「(学校 行きたいな)うん、明日動けるほうがいいもんね」
学校は近い。鐘の音が響くたび情けなさが増していく。
家で娘が勉強できるよう準備をしていた輝美は未来の娘の姿を想像した。
家で寝ている姿しか、思い浮かばなかった。
夫の建内 ヘンダーソンも、病弱な娘のことを占い師にまで相談して回るほど困り切っていた。
「12歳なのにまだ6レベルなのよね。 ほかの子たちは8レベルあるのに…」
今年の春、近所の医師に診察してもらった。
医師は計測器のランプを指でなぞりながら呟いた。
「6レベル、しかも普通の子と比べると体力が無い様です。」
医師は続けて、事務的に説明を行う。
「計測器で測定したレベルは生活で頑張れば頑張るほど上がります。
また、成長した際には魂の祝福により病気が回復することがあります
が娘さんのレベル6は、10歳平均以下ですよ。」
「…あの子だって本はたくさん読んでいるのに」
その話を思い出し、輝美が手を止めて考えたときだった。
日葵は窓から近くの森を見ていると何かが輝いているのを見つけた。
それは近くの森にある祠であり、元気になるように毎日窓からお祈りをしていた場所だった。
今日は明らかに様子がおかしい。
祠の中が虹色と黒色の輝き、空気が歪む。
その光は今すぐ止めないと悪いことが起きると
語り掛けられた気がしてその光に向かって動き出した。
まるで祠から伸びる糸に引っ張られるようだ。
「いやな感じがして凄く不快!どうにかして止めなきゃ…」
焦燥感に駆られ、窓を開けて素足のまま飛び出した。
転げ落ち、頭を打った。痛っ!ささくれが足に刺さった。
石も踏み抜いて、大地を駆ける。
光の不穏さと不吉さに私の心は凍り付き、
体は光を止めようと動き続ける。
「光を止めなきゃ、早く!」
「何やってるの日葵!止めなさい!」
風は祠から押し戻すように吹いている気がした。
体の調子も変な感じだ、でも止められないの!
祠の前で最後の抵抗を試みたが操られるように手は祠を開ける。
その中に安置されていた木の幹が見えた。
「ううっ!っ…」
私は呪いに触れてしまい、全身に激痛が走り、意識が遠のいて…。
この世界でのレベルの基準:
1レベル-幼児
5レベル-幼稚園児
8レベル-少年少女
10レベル-青少年
12レベル-一般的大人
15レベル-肉体労働者/駆け出し冒険者
20レベル-兵士・初級冒険者
25レベル-中級冒険者・騎士
30レベル-上級冒険者・兵隊長
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