一章 火男 2
◇
アンダーグラウンドを後にした俺たちはオフィスに戻り、焼死事件の資料をまとめて今日の業務を終わらせた。ふと外を見ると空はとっくに暗くなっている。
「お先に失礼しまーす」
そう言いながら鞄に書類を詰め込んでいる成瀬。そんな成瀬にお疲れ様〜、と桔祢さんが返す。一応俺も、あぁ、とだけ手を上げて返した。小さい背中を向けながら帰っていく後輩を見つめると脳裏に浮かぶアンダーグラウンドで銃を撃っている小さい背中と重なった。それと同時に、その背中の向こう側の的、ダーツで言うところのブルに空いた十五個の弾が通った穴がストロボを焚かれたかのような残像を残した記憶のことも思い出された。
「どう?成瀬ちゃんは、役に立ちそう?」
その桔祢さんの言葉でドアから目線を外し、実直に返す。
「えぇ、お転婆で我儘なのが気に掛かりますが実力は申し分ありません。・・・・ですが経験を積んでないのでまだまだという感じですかね」
「まぁ、そこはおいおいね。でも凄かったでしょ?能力のおかげというのもあるけど、射撃の調整は彼女自身のれっきとした才能と努力の賜物だからね」
「そうですね。あんな細い腕で銃を思い通りコントロールするなんてのは普通は出来ませんよ」
「だよね!私の見識も捨てたもんじゃないなー」
ニコニコして机に突っ伏す35歳とは思えない桔祢さん。桔祢さんの見識力は俺のなんかより何倍も優れているのだろう。少なくとも俺は成瀬のことを甘く見ていたのだから。
「あー!!!ヤバイ、忘れてた!!」
いきなり桔祢さんが大声を出して慌てだす。一体どうしたんです、と聞くと成瀬に渡す書類を渡し忘れたとの事だった。そして、
「ごめんけど、成瀬ちゃんの家まで送り届けてくれる?住所を教えるからさ」
「まぁ、いいですけど・・・」
こうして急遽、帰り際に成瀬のアパートまで書類を送り届けることになった。
◇
成瀬のアパートは郊外にあり、築十五年の二階建てというなんとも新人らしい質素な住居だ。そう遠くはなく、歩いていける距離だったため俺は歩いて成瀬のアパートに向かっている。
時刻は午後九時三十四分。電柱についてる防犯灯が消えかかっているのかジリジリと暗闇の中で点滅している。夏ということもあり夜なのに暑く、汗が嫌でも出てくるので俺はジャケットを脱いで左腕にかけワイシャツの袖を捲っている。もちろん右手には成瀬に渡す書類を持っている。
午後九時四十三分、アパートに着いた。築十五年の割にはやけに古ぼけていて手入れがあまりされていない。ここの大家はさぞ杜撰なのだろうと思った。それよりも肝心の成瀬の部屋は二階の一番奥にある。そのためキシキシ鳴る古びた赤錆だらけの階段を上がって成瀬の部屋の扉前に立つ。一呼吸置いてからインターホンを押した。中からはガサゴソと物音がしドタドタと玄関の方、つまりこちらの方に気配が近づいてくる。ドアノブに手がかかる音が聞こえたかと思うとドアが開いた。
ーーーーーーー俺は驚いた。
そこにはウルフカットの銀髪、顔半分に火傷があり、昼間ずっと一緒に行動を共にした紛うことなき後輩が出てくるはずだった。いや、出てきたことは出てきたのだが昼間とあまりにも様子が違ったので認識の齟齬が生じたのだ。あの天真爛漫、明朗快活さが目の前にいる成瀬には全くもってなかった。
「センパイ?どーしたんすか?」
その一言で我に返り冷静になる。目の前にいるのは成瀬であることは間違いない。だが、中身が違う。少なくとも俺の知っている成瀬ではないという事だけが分かった。それでも俺は訊かなければならない事がある。
「ーーーーーお前、成瀬か?」
その場の空気は洞窟のように冷たく静かに感じた。心臓の音、唾を飲み込む音、遠くの方で鳴るパトカーのサイレン、それらが背中に流れる汗と交わる。先程までの暑さは今では針のように鋭い寒さになっていた。
目の前の黒のタンクトップを着た成瀬らしき人物が笑って答える。
「何言ってんすか、センパイ。正真正銘、成瀬舞っすよ。でも、まぁセンパイがそんなふうに思うのも仕方ないかもっすけどね。桔祢さんオレの事言ってなかったのかな・・・・」
後半ブツブツ言いながら成瀬はいつまでも信じない俺に向かって部屋に入ってください、事情を話します、と言って中に案内する。俺は先輩として成瀬のことを知ろうと黙って後に続いた。
その部屋はいわゆる女の子部屋でとても二十歳の部屋とは思えなかった。ピンクのベッド、白い絨毯の上に置かれた丸い机、部屋中に溢れる動物のぬいぐるみ、今まで生きてきて見たことない空間がそこにはあった。呆気に取られている俺にこの部屋の住人には見えない雰囲気を漂わせている黒いタンクトップの成瀬が座ってください、と促してきたので白い絨毯の上にあぐらを組んで座る。
「いま、お茶を出します」
と成瀬。
断ろうと思ったがここまで歩いてきて汗をかき喉も渇いていたので素直に貰うことにした。
成瀬から貰った麦茶を飲んで一呼吸置く。今、目の前で丸い机越しに向かい合う後輩を改めてまじまじと見る。昼間の成瀬と何かが違うと暫しの間考えた結果、この違和感の正体が分かった。
今の成瀬は、男に見えるんだ。
あの口調にしても所作にしても昼の成瀬とはまるで違う。だから今の成瀬はこの部屋と乖離していて、それによって違和感が起こっているのだろう。また対比になっているのでどちらもがそれぞれ作用しあって印象がより強くなっている。言うなればコラージュ作品みたいなものだ。
そんなふうに熟考している俺に耐えかねて成瀬が、
「・・・・オレ、昼の時と全然違いますよね?」
俺は何も言わず黙って成瀬の話に耳を傾ける。
「・・・・所謂、二重人格ってやつです」
「やっぱりか、実は薄々そう思ってた」
「驚かないんすね」
「・・・まぁ、いつも似たようなの見てるしな」
俺は桔祢さんの顔を頭に浮かべた。そして数秒の沈黙。数秒といってもこの部屋全体の時間の流れは普通の何倍も遅く感じる。多分成瀬も同じだろう。
「・・・・センパイって優しいっすよね」
余りにもいきなりの言葉だったので反応が一瞬遅れる。そんな俺の何がだ、と言いたげな顔を見て察した成瀬が次の言葉を言った。
「だって、何も聞いてこないじゃないですか、オレの事について。・・・この、火傷の事も・・・・」
肌の色が変わった顔の右半分をさすりながら俺を見据えて呟く成瀬。その瞳は炎のようにメラメラとなぜか輝いて見えた。
「んー・・・・・・まぁ、な」
俺は口を濁す。成瀬は俺の事を優しいと言ったが、そんなのは優しさなんかじゃない。逃げだ。見て見ぬふりをしているだけだ。俺はいつもそうだ。他人のプライバシーに入ることを怖がって、表面上だけで付き合っているだけに過ぎない。誰に対しても同じ対応をするだけの自動人形みたいなものだ。
黙り込んでしまう俺に対して、何かを言おうとしている成瀬は少しして言う決意が出来たのか口を開く。
「オレ、両親を亡くして孤児院に預けられたんです。・・・・昼間は孤児院のみんなと遊べたから良かったんですけど、夜はずっと一人寂しくて。だから男の子を想像して夜の寂しさを紛らわしていたんです。毎晩その男の子と遊ぶ想像をしていたら、いつの間にか昼と夜とで今みたいに人格が変わるようになったんです」
俺は何も言わない。成瀬は勇気を持って自分の過去を話しているのに、俺は何も言えなかった。そこで成瀬が空気を読んで俺が返せるように話題を変える。
「・・・・・センパイは五芒の祖って知ってますか?」
「・・・・あぁ、知ってるよ。初めに発見された五人のアラヤのことだろ」
「はい。それぞれがとても強力な能力を持ってて、危険指定されている人達っす」
五芒の祖。アラヤは人間の域を超えた存在だが、この五芒の祖と呼ばれる五人はもはや化け物といってもいいだろう。十年前、何もない大地に突如として百メートル越えの氷塊が発生し、その後に周囲一キロメートルが氷漬けになるという騒動があった。それが五芒の祖の中の一人によるものと言われているらしい。言葉があやふやになるのは国の機密事項で、それぞれがどのような名前でどんな能力を持っているのか極一部の人間しか知らされていないためであり、俺もせいぜい二人しか名前を知らない。そんな事をこの後輩はなぜ聞いてきたのか、俺は訊いた。
「それがどうしたんだ?」
重苦しい確固たる表情で言葉を返してくる成瀬。
「・・・その内の一人、火守暁。オレの両親を殺して、オレから何もかも奪った張本人です。・・・この火傷もその時に負ったものです」
顔の火傷に細い指で触れながら淡々と語る。いや、淡々ではない、それは抑制だった。感情を押えた成瀬の目は今にも燃えそうなぐらい憎悪に満ちていた。
「・・・・オレはアイツを殺すため、エネルゲイアに入りました」
「復讐なんてやめておけ。そんなことをしてもお前の両親は喜んだりしないだろ」
「センパイ、クサイっす。そんな理由じゃないすよ。そうしないと自分の中で踏ん切りがつかないだけっす。この火傷とも・・・・・」
俺も成瀬も沈黙する。これじゃまるで通夜だ。周りのぬいぐるみや淡紅色の部屋に反して俺たちはブルーにこんがらがっている。すると青い空気にピロロロと稲妻が走った。それは俺のポケットの中にあるスマホの着信音と振動だった。俺はこの場から逃れるように成瀬にすまん、と言い玄関の方でスマホを取り出す。電話は桔祢さんからだった。
「もしもし乾です」
「私だ。焼死体事件、八人目の被害者が出た。被害者の名は赤坂成行、五十三歳。至急現場に来るように。場所は・・・・・・」
桔祢さんの声は無機質で氷のように冷たい。その声から聞かされる情報が俺には信じられなかった。赤坂警部が八人目の被害者。その事が頭の中でリフレインしエコーがかかって繰り返される。俺は考えるよりも慌てて荷物をまとめ、成瀬の部屋を出た。
「ちょっ、センパイ!!」
後ろで成瀬の声が聞こえるが構っていられなかった。
赤坂成行は十年前、俺が災害とも呼べるある事件で両親を亡くした時にお世話になった人物の一人だ。あの時は俺も十七という歳だったので右も左も分からず困っていた。そんな時に俺を桔祢さんに紹介してくれたり、飯を食わせてもらったり、本当に至れり尽くせりの恩人で、あの時の少年にはとてもありがたい存在だった。
最近は会う機会もなく半ば疎遠状態にあったが取り扱う事件が似たようなものばかりで名前をよく耳にしていて、名前を聞く度に無精髭を携えて目尻に皺を寄せている笑顔が浮かんだ。
だが、良いところもあれば悪いところもあるのが人間というもので、赤坂のおっさんは時折、周りが見えなくなる。所謂、意識してしまうとそれしか見えなくなってしまうのだ。それに頑固なところもあり、なかなか折れないというところもその事に拍車をかけていた。
それを俺は悪いとは思っておらず素晴らしいことだと思っている。だが、それは失敗しなければの話だ。おっさんはその癖が出ると大抵失敗してしまうのだ。
ーーーーーもしかしたらその悪癖がこの期に及んで出てしまったのかもしれない。
俺は走る。それは周りから見れば異様な光景だろうと思う。なぜなら、俺の体は疾風のごとき残像を残して移動していたからだ。それは能力によるもので無意識に発動をしていた。それほどに俺は焦っていたのかもしれない。
(嘘だと言ってくれおっさん・・・・っ!!)
夏の夜の夢であって欲しいと強く思った。
その光景は葬式のようだった。午前零時を過ぎ、暗闇の廃墟の中、ある新人は泣き崩れ、ある中年の刑事は肩を落とし、誰もが参列者のように悲嘆にくれていた。そんな中、俺は不思議と冷静だった。自分でも驚くほど落ち着いて周りを見渡す。するとその中に見知った顔を見つけ近寄る。俺をこの場に呼んだ桔祢さんだ。桔祢さんからはいつもの笑みがなく、何を考えているか分からない。その表情はマネキンのような真顔に見えれば、仏が半眼の眼差しを張られたブルーシートへ向けているようにも見える。
「来たか、一。残念だが赤阪警部は殉職されたよ」
桔祢さんは殉職と言った。つまりおっさんは職務中に命を落としたということになる。俺の危惧した通り、例の悪癖が出てしまったのだろう。ブールシートの向こう側におっさんの死体があるというのに体は言うことをきかない。脳からの伝達を拒む。呼吸も乱れて吐き気もする。赤坂のおっさんの顔が、思い出が、頭の中いっぱいに侵食していく。そして膝から崩れ落ちて俺は涙を流した。
哀咽しながら目から落涙する。地面に染み込んでいく雫を誰にも見られないように、体を丸めて覆い被さりながら。目から出てくる玻璃のような雫は永遠に止まらないように感じた。
「赤坂警部は最後の最後に大仕事を成したぞ」
そう言って桔祢さんは滅多に吸わない安い煙草を咥えマッチで火をつける。そして顔を埋めている俺に対して言葉を続ける。
「警部はね、犯人の手掛かりとなる証拠を死の間際に残したんだ。・・・警察の意地ってものを見せてもらったよ」
紫煙を漂わせながら桔祢さんが今どんな表情をしているかは分からない。おっさんとは俺なんかよりも長い付き合いだったはずだ。そんな桔祢さんが真っ直ぐおっさんの死と向き合っているのに俺は何、俯いてるんだ。そう思うと自然と俺は泣くのをやめ、立ち上がって桔祢さんの話を待つ。そんな俺を見つめて桔祢さんは、
「警部の遺体とは別の血痕がそばにあってな。それもかなりの量だ。致死量とまではいかないがね。
それが何によるものか調べていると警部の手に二発撃った跡がある拳銃が握られていた。つまり、犯人は警部に少なくとも撃たれたということだ。
実際、銃の音で第一発見者が遺体を見つけてるわけだしな」
桔祢さんは煙草の火を消し、吸殻をケースの中に入れながら淡々と言う。赤坂のおっさんに対して揺れる感情がないように思えるが、桔祢さんは犯人を一刻も早く捕らえる事がおっさんへの手向けだと理解してるのだ。どんなに自分が悲しくとも表情を崩すことなくおっさんが残した犯人への手がかりを無駄にしないために。
俺は何も言えなかった。おっさんへの想いが断ち切れないからではなく、桔祢さんのその意思に畏敬の念を抱いたためだ。この人には全然勝てないなと改めて思った。
一時間ほど捜査をして、赤坂のおっさんの携帯がなくなっているということ以外なにもなく、渋々引き上げる準備をする桔祢さん。
「私はもう引き上げるが、一、お前はどうする?」
「・・・・残ります。まだお別れを言ってないので・・・」
「そうか・・・ほどほどにしとけよ。明日から忙しくなる」
そう言い、背中を向け歩いていく桔祢さん。
俺はブルーシートがかかっている場所に体を向け、手を合わせながら黙祷する。
(今まで、ありがとうございました。・・・・必ず犯人は俺の手で捕まえるからな、おっさんーーーーーーー)
/2
オフィスは殺伐としていた。昨夜あった焼死体事件によるものである事は誰も何も言わないがなんとなく分かる。先輩なんか目にくまができてるし、桔祢さんも昨日みたいな丸みが全くなくて怖い。
正直言って私はこの空気は苦手だ。
「おい、成瀬」
「は、はいっ!!」
驚いて先輩の方を見る。
「襟が立ってる」
「あ、す、すみません・・・・」
変に緊張して声が上ずってしまう。先輩は別に怒ってる訳じゃないという顔をしながら書類を整理しだす。桔祢さんの方を見ても頭を抱えてパソコンと向き合って嘆息している。かくいう私は雑務をこなして場に溶け込もうと必死だ。
そんな陰鬱な雰囲気の中、ピロロロロと携帯の着信音がなった。音の発生源はどうやら先輩のものらしい。携帯を見て相手を確認した先輩がオフィスから出ていくのを眺めながら時計を見ると時刻はもう十六時だった。昨日が特別なだけで案外、暇なんだなと思いながらとっくに先輩が出ていった扉をじっと見ていると先輩が怖い顔になって戻ってくる五秒先の未来が視えた。
五秒後、視た未来と全く同じ顔で先輩がオフィスに入ってくる。目つきが獲物を狩る肉食獣のように鋭く、話しかけようものなら噛み殺されそうな雰囲気だ。そんな猛獣とかした先輩に桔祢さんが悠然に話しかけた。
「どうした、一?お前、今とんでもない顔してるよ。まるで親の仇にでもあったような・・・」
「いえ、何もありません。俺はいたって普通ですよ」
先輩はそう言うが絶対に先の電話で何かあったに違いない。桔祢さんも私と同じことを思っているだろうにそれ以上は何も訊かなかった。
時間が過ぎて、仕事が片付く頃には午後十九時になっていた。外は夏ということもあり、まだ明るかったが、相変わらず先輩の顔は暗いままだ。しかもなぜかソワソワしていて、まるで餌を前に尻尾を振っている犬みたい。
「桔祢さん、今日は大事な用があるので先にあがります」
先輩がそう言うと桔祢さんは、ん、了解、とだけ返し先輩はあっという間に机にある書類、パソコンを片付けて疾風の如くオフィスから出ていった。
呆気にとられている私に桔祢さんが静かに話しかけてきた。
「成瀬ちゃん、悪いけど一の後をつけてくれる?あれは私の勘だと件のアラヤに会いに行くんじゃないかな」
「え?分かるんですか?」
「ほら、赤阪警部の携帯がなくなってたでしょ。その携帯を犯人が持ていて、一の番号にかけてきたと思ってね」
「でも、なぜ先輩にかけたんでしょうか?接点はないと思うんですけど」
「それは至って単純な話で向こうさんは一と殺し合いたいんだろうさ。一って、アラヤ業界じゃまぁまぁ有名だし、私もだけど」
「なんで殺し合うんですか?」
「それも単純で、奴は殺しが趣味なんだよ。今までの被害者たちを調べれば分かる。それぞれが全く関係のない人達だったからね。動悸がないんだ。そんなの好き好んで殺しをやってるとしか思えないでしょ?いわゆる快楽殺人者ってこと。
この手の輩はアラヤでは多くて珍しいことじゃない。自分の力に溺れているのさ。
・・・それよりも、一の動向を探ってくれるかな?」
「も、もちろんです。私もさっきの先輩は気になりますし・・・」
「そうだよね、ありがとう。一のこと頼んだよ」
「はい!」
私は桔祢さんに帰りの挨拶をしオフィスを出る。
オフィスの隣の部屋は、エネルゲイア専用の銃置場になっており、暗唱番号を入力し登録された指紋を認証する事で入れる。そこで昨日受け取ったベレッタをスーツ下のホルダーに入れ、私は先輩の後を追った。復讐はよせと言った先輩の役に立ちたいというその一心で・・・・。