表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

カノン先生と闇の魔法使い(2)

私の名前は花咲カノン。

魔法少女としての活動も一段落し、今は後進となる子供達の教育に取り組んでいます。

だけど世界の平和を守る為、まだまだやらなければならない事は残ってるみたい……。

そんなある日、闇の魔法使いさんが私の元を訪ねて来ました。


「こんにちは、カノン先生。大した物ではありませんが、これ…お土産です。」

そう言って彼は今川焼きの包みを私に手渡します。

「どうも……それで、今日は一体何のご用でしょう?」

「いや、特に用は無いのですが……最近カノン先生とお会いして無かったので、たまにはお話でもと……。」

彼は、今この世界で活動が許されている闇の魔法使いさんの中で、最も強い力を持っている方なのですが……。

その割には腰が低く、こうして時々私の元を訪れたりします。

彼の持ってくるお土産はいつも私の好物ばかりで……何故そんな事まで知っているのかは分かりませんけど、これも彼が私の魔法のファンであるからでしょうか?

「不躾なお願いなのは重々承知しているのですが…、実はカノン先生に、私の弟と会って欲しいのです。」

「弟……ですか?」

「ええ、と言っても長年家に引き籠っている不出来な男なのですが…。」

闇の魔法使いの社会にも色々複雑な事情があるようです。

闇の魔法には他人の心に働きかける物もありますし、無闇に詮索するのは御法度ですね……。

「あいつは今、実家にいるのですが、どうにも気難しい所がありましてね……。カノン先生が来ると聞けば、ひょっとしたら会ってみる気になるかもしれませんから……。」

そんな訳で私は彼の弟さんに会いに行く事にしました。

しかしこれが私の今後の人生に大きな影響を与える事になるとは……この時は夢にも思いませんでした。

「マサト、お客さんだよ。」

彼の母親らしき人物が家の奥の方へ呼び掛けます。

「えっ?誰……?」

部屋の片隅でスマホを眺めていた少年が、ゆっくりと立ち上がるとこちらへ歩いて来ました。

「こんにちは、花咲カノンと言います。」

「……。」

無言で軽く会釈する少年。

彼こそが闇の魔法使いの弟であるマサトくんだ。

「今日は私のお話を聞いて欲しいのと……それからこれ、お土産です。」

「どうも……。」

差し出した包みを受け取りながら、彼は少しだけ微笑んでいる様にも見える。

きっと良い子に違いないとその時の私は思ったのだった。

それから私は彼としばらくお喋りをして、交遊を深める事にしました。

いきなり仲良くなるのは無理なので、まずは顔見せからです。

「それではまた今度来ますね。」

私が帰り支度を始めると、咄嗟に闇の魔法使いが挨拶にやって来ます。

「ありがとうございます。あいつが何か失礼な事をしませんでしたか?」

「いいえ、何も。とても礼儀正しくて、少し恥ずかしがり屋さんですね。」

「そうですか……いや、いつも家に引き籠っているので心配していたのですが……お陰様で安心しました。」

そして今日は顔見せだけだと言う事を話し……次の日曜にもまた遊びに来る事を約束したのでした。

こうして、私とマサトくんの交流が始まる事になったのです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ