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お腹の双子は異父兄弟?

私の名前は鼓カノン、現在妊娠8ヶ月のシングルマザー候補。

元々オッパイは大きかったけれど、その上お腹まで膨らんで来ちゃったの。

だけど休んでばかりもいられません、魔法少女の私は今日も平和の為に戦います。


ある日私は、お腹の中にいる胎児の経過観察の為、産婦人科を訪れていました。

「赤ちゃんは二人とも元気に育っていますよ。」

笑ってそう言った看護師さんに対し、お医者さんの方は少し神妙な面持ちです。

そう、私のお腹には二つの命が宿っている。もちろん双子自体はそこまで珍しい事ではない、問題は私は受けた出生前DNA診断という検査の結果だった。

「今、なんて仰ったんですか先生……?」

私は驚いてお医者さんに聞き返しました。

「はい、こんなケースは珍しいのですが。」

医者はカルテを眺めながら言った。

「双子の胎児はそれぞれY染色体の型が違っているようなのです…。」

Y染色体とは、赤ん坊が親から受け継ぐ因子の内、男性からのみ遺伝する物質だ。

それはつまり、二人の赤ちゃんの父親が別人であるという事を示していました。

「お母さん、この事は何か心当たりがあれば、お話して頂けないでしょうか?

もちろん、必要とあらばご主人には口外しません。」

お医者さんは言った。

「そんな、心当たりなんて……私はシングルマザーになる訳ですし。」

私は頭の整理がつかなかった、そりゃあそうでしょう? 自分のお腹にいる胎児の父親が二人いるだなんて。

「そうですか……。わかりました、また何かありましたらいつでも来てください。」

とりあえずは検査を終えて私は病院を後にしたのだった。

帰り道の電車の中、私の心はずっと上の空でした。

(いったいどういう事なのかしら、何かの間違いじゃないかな……?)

そんな時ふと、私の頭の中に、あの日の夜の事が思い起こされます。


彼との約束を交わした日の夜、私はいつものように魔法少女に変身して町内のパトロールをしていました。

すると、何やら遠くの方で黒い煙が上がっているのが見えたんです。

私は急いで煙のあがった場所まで飛んでいくと、そこには怪人たちと戦う一人の魔法少女がいました。

それは私と同い年くらいの女の子で、さらにその後ろには小さな男の子がおり、

彼女はその子を守っているようでした。

(なんて酷い事をするの……!?)

私は彼女を取り囲む怪人たちに戦いを挑みました。

「食らいなさい、マジカル☆ビーム!」

そして胸からピンク色の光線を発射して、怪人たちを蹴散らしたのです。

「あなた達、大丈夫? 私が来たからにはもう安心よ!」

そう言って彼女を見ると、彼女は怪訝な顔をしていました。

(あれ?)

そうして突然その子は私に抱き付いて来ました。

「ええっ!?」

「残念だったな、その女は既に我々の催眠にかかっているのだあ。」

周りにいた怪人の一人が言いました。

「催眠……? どういう事、あなたたち一体!?」

「クク……我々はこの少女に暗示をかけているのさ。」

(何ですって!?)

「さぁ我が魔法少女よ、この女にお前の力を見せてやれ!」

「きゃあぁぁっ!!」

何がなんだか分からなくなり、私の記憶はそこで途切れてしまいました。

そして気が付いた時、私は泣きじゃくりながら家までの道を歩いていたのです。


どうやらその時の事が原因で、私の胎内には二人分の生命が宿ってしまったようでした。

そう結論付けると、電車を降りた彼女は頭を抱えながら家に帰って来ました。

「ただいま……。」

「お帰りなさいカノン。赤ちゃんの具合はどうだった?」

出迎えてくれたのは、母のリズムでした。

「うん、順調だって。このままなら無事に予定日には出産できるだろうって…。」

私はお腹を摩りながら言いました。

「……まあ!」

お母さんは嬉しそうでしたが、私は憂鬱でした。

そうしてよろめきながらなんとか自室に戻ると、

ベットで仰向けになり、そのまま眠りこけてしまうのでした。

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