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カノンとコピーカノン

私の名前は花咲カノン。

世界を守る魔法少女だったり、二人の子供のお母さんだったり、情報工学の研究者だったりします。

そしてようやく完成した新型ロボットを連れ、私は実用化へ向けた試験運用を行う事になるのでした。


「お母様!朝ですよ、早く起きて下さい。」

部屋で寝ている私の元に、お手伝いロボットがやって来ます。

「あ…。おはよう、マキナちゃん。」

私はそう言ってロボットに挨拶しました。

このロボの名前はマキナ・カノン。ちょっと長いので、最近はマキナちゃんと呼ぶようになりました。

「それじゃあ、私は仕事に言って来るから、あとはよろしくね。」

支度を済ますと、カノンは玄関へと向かいます。

「とりあえず今日は留守番と、洗濯物ぐらいはお願いできるかしら?」

私は扉を開けて朝の空を見上げながら言いました。

「はい!お任せ下さい。」

マキナ・カノンは力を込めたように言いました。

「ウフフ、なんだかウチにお嫁さんを迎えた気分だわ。」

そう言って彼女は出掛けて行きます。

「行ってらっしゃいませ、お母様!」

マキナ・カノンはそう言って元気よく彼女を送り出しました。

さて、私はこれから仕事です。

この仕事は大変ですがやりがいのある仕事です。

何故なら、このお仕事をする事で、私は人の役に立つ事ができ、その感謝の言葉や笑顔が私に向けられるからです。

そんな訳で今日も一日頑張るぞ!と気合を入れる私でした。

「おはようございまーす!」


カノンが外で仕事をしている間、マキナは家で掃除や子供達のお世話をしていました。

「マキナちゃんが来てくれてから、子供達の僕に対する態度がなんだか優しくなったんだよ。」

彼くんは嬉しそうにそう言いました。

「えーっ、そうかなぁ?」

「気のせいじゃないのー?」

二人の子供達はとぼけたように返します。

「さぁ、皆さま。お昼の準備が出来ましたよ?」

マキナ・カノンはそう言って、キッチンからみんなを呼びました。

「午後からは買い物に出ようと思っているのですが、何か買ってくる必要がある物はありますか?」

「ならアタシ達も一緒に行きたい!」

カノンの娘がマキナに言いました。

「俺も一緒に行く!」

息子の方も続けて言います。

「それじゃあ三人で行きましょうか。」

そんな子供達とマキナの姿を、彼くんは穏やかな表情で見守っていました。


「ただいまーーっ。」

その後、仕事を終えたカノンは自宅へと帰って来ます。

「やぁ、おかえりカノン。」

そう言って彼くんが出迎えてくれます。

「ああ、彼くん…。そうだ、マキナちゃんの様子はどうだった?」

私は気になって彼に聞いてみます。

「うん、とっても良く働いてくれてるよ。カノンがポンコツロボットだなんて言うから心配してたけど、少しそそっかしいだけで全然普通じゃないか。」

その返事に、カノンは少し驚いてしまいました。

「えっ、そうなんだ?あんな怖がりでへっぴり腰な子が……。」

そんな話をしながら、私はダイニングに向かいます。

「あっ、おかえりなさいお母さま。お食事はどうされますか?」

台所で洗い物をしていたらしいマキナ・カノンが出てきて挨拶をしました。

テーブルの上には、私の分らしい夕御飯が置かれています?

「これは貴女が作ったの?食材は?」

カノンは彼女に質問します。

「えっと、冷蔵庫に期限の切れた物や痛みかけの野菜があったので……、あとは息子さんに買い物を手伝って貰いました。いけなかったでしょうか…?」

マキナ・カノンはオドオドしながら返事をします。

「ふーーん……。」

私は素っ気なく返事をすると、席に座り彼女の作った料理を食べてみました。

「いただきます………、ごちそうさま。」

マキナ・カノンはその様子を、後ろでじっと見つめています。

「あの……、お味はいかがでしたでしょうか?」

カノンが食べ終わったのを確認してから彼女は聞いて来ました。

「ん?美味しかったわよ……。」

私がそう返事をすると、マキナ・カノンは笑顔になって言います。

「そうですか!良かったぁ、ありがとうございます!」

その言葉を聞いて、私は椅子から立ち上がりました。

「……今日はなんだか疲れたから、もうお風呂に入って寝るわ。おやすみなさい……。」

そんな言葉を言い残して入浴の準備をする私に対して彼くんは何か言いたげな顔をしてましたが、それに構わずカノンは浴室へ向かいました。

「はぁーーーっ……。」

風呂場で浴槽に浸かりながら、彼女は大きく息を吐きます。

(私って、他人から見るとあんな嫌な女に見えてたのかな…?)

カノンはお湯の中へ口元まで浸かりながら、そんな事を考えていました。

お風呂から上がると、居間ではマキナ・カノンが彼くんや子供達と楽しそうにお喋りをしています。

「あっ、お母さま。湯加減はいかがでしたか?」

そう笑顔で挨拶する彼女を見て、私はなんだか無性に腹が立ってしまいました。

そしてそのまま自室へ入り、ベッドに倒れ込みます。

「……なんで?」

布団の中でカノンは自問自答します。

(なんでロボットのあの子には出来て、人間である私には出来ないの?)

「ウウッ……、ウワアアァッ……。」

そう思うと彼女の目から涙が溢れ出し、そのままカノンは泣きながら眠るのでした。

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