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引き籠り娘と理想の彼くん

私の名前は花咲カノン。

どこにでもいる普通の女子高生……だったのですが、

とある奇病に掛かり、今では部屋から出るのも難しい引き籠り。

薬の副作用で情緒が不安定になったり、昼夜逆転したりと、もう大変。

だけどそんな私にもただ一人、理解ある彼くんがいました。


「よいしょ、よいしょ。」

私は重たい体を抱えながらヨタヨタと家の玄関まで歩いて来ました。

「カノン、今日は良い天気だよ。散歩にはちょうどいい日和だ。」

彼くんはそう言いながら玄関に車椅子を用意します。

巨大な乳房のせいで足腰に負担が掛かる私は、外出の為に専ら車椅子を利用していました。

「行ってらっしゃいカノン。気を付けてね。」

台所から出てきた母親がそう言って見送ってくれました。

私の最愛の彼くんは、身体の不自由な私にいつも優しくしてくれる素敵な人です。

ですがこの巨大なオッパイのお陰で、私は否応なく男性からの視線を釘付けにしてしまいます。

だから散歩というのはあまり好きではないのです。

「もぉ、なんでこんな面倒臭い事……。」

彼くんに車椅子を押されながら、カノンはブツクサと呟きました。

「あはは、ごめんよカノン。」

彼くんは爽やかに笑いながら謝ります。

「ほら、こうすれば僕も一緒に歩けるし、楽だろう?」

彼くんは車椅子から私を立たせると、両手で身体を支えて歩き出します。

私はというと、巨大な乳房が彼の身体に押し付けられて大変恥ずかしいのです。

そしてそれを知った上で、このイケメンの彼は私を辱めるのです。

「疲れるし、もう帰ろうよ。」

私は抗議の声を上げましたが、

「じゃあお姫様抱っこにしようか。」

と彼くんは意地悪を言います。

カノンは仕方なく歩き出します。

「ほんと、ひどい人だよね……。」

「そんな事言うなよ。」

彼女が文句を言うと、

彼くんは少し困ったような顔で言いました。

「例えば、例えばだよ?俺とカノンが結婚して娘が出来たとする…」

「な…なによいきなり!」

カノンは恥ずかしさで顔が赤くなるのを感じました。

「だから仮の話だって。」

そう言って彼くんは話を続けます。

「大きくなった娘と俺がもし二人きりでお出かけなんかしたら、カノンはどう思う?」

私は少し考えてから答えました。

「……ちょっとは妬くかもね。」

私がそう言うと、彼くんは悲しそうに笑いました。

「そうだろ?でも俺はそうなって欲しくない。だから今から練習して、子供が出来たときに三人で外出できるようにしておきたいんだ。」

私は一瞬納得しそうになりましたが、

「そんなの関係ないじゃない。私、多分育児放棄しちゃうもん。」

と口を尖らせて抗議しました。

「ははは、僕もそう思うよ。だからこうして練習してるんだ。カノンの面倒もちゃんと見るし、妊婦生活の不安だって聞いてあげるし、お産の時だって手を握らせてもらうよ?」

それを聞いて私は胸がキュン!っとなってしまいました。

公園までやって来た私達は、広場にあるベンチに二人で並んで腰かけます。

春先のポカポカ陽気で、お昼寝したら気持ち良さそうな日でした。

「ほらカノン。膝枕してあげるよ。」

彼くんはそう言いながら自分の膝をポンポンと叩きます。

「……恥ずかしいからやだ……。」

「大丈夫、誰も見てないよ。」

そう言うと彼くんは私を横向きに寝かせて、自分の膝の上に私の頭を載せました。

「……重くないの?」

「軽いくらいだよ。」と彼は笑います。

「それならいいけど……。」

私は恥ずかしくて顔を背けながらそう言います。

(重いに決まってるじゃん……バカ。)

ここまで来るのもなかなか大変でした、道には車椅子で超えられないような段差もあったし、細い道路は回り道をしないといけなかったり。

階段では車椅子から降りて、慎重に二人で登り降りしなければいけませんでした。

「はぁ、もうクタクタだよぉ。」

その後なんとか無事に家までたどり着いた私達でしたが、

カノンは玄関まで来るとそのまま座り込んでしまいました。

「お疲れ様カノン。ほら、今日のご褒美だ。」

そう言って彼くんは散歩の途中で買ったらしいたい焼きを差し出しました。

「わぁ、ありがとう!」

私は素直にお礼を言いました。


そしてその夜、私はいつものように魔法の杖を使い、

踊りながら呪文を唱えました。

「変身!マジカル☆チェンジ!!」

すると私の胸が光り輝き、その光はパジャマを内側から破っていきました。

そして、光の中から可憐な魔法少女が現れます。

「よーし、それじゃ夜のパトロールよ!」

そう言ってカノンは家の外へ飛び出すと、昼間に彼くんと歩いた公園までのルートを辿り始めました。

「ここを超えるのが大変だったのよね。」

私は道路の途中で立ち往生した段差や細い道に来ると呪文を唱えます。

「マジカル☆リノベーション!バリアフリーな道になーれー。」

そう言うと、段差は無くなり、道幅は車椅子でも通れる広さになりました。

階段にもスロープが追加され、これなら車椅子のままでも登り降りが出来るでしょう。

私は道順を一通り確認すると満足し、家に戻りました。

そうして変身を解くと、達成感を感じながら布団の中へ潜り込みます。

(これで彼くんとの結婚に、また一歩近付けたんだわ♪)

カノンは目をキラキラ輝かせながら天井を見つめ、

そのままスヤスヤと眠りに就くのでした。

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