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39 吶喊

まずは陽動作戦だ。ってなにするの?


「あそこに燃えやすそうな建物があるでしょう?」


ムギホシが指をさす。そこには鉱山の入り口近くに貧相なビルが建っていた。


「盛大に燃やしちゃってね。監視カメラとかは反対に見つかった方がいいから、とにかく派手にお願いね」


ニッコリと笑う彼女。


「じゃあ派手にいきますか! まずはバフ魔法をかけるよ。で敵が来たら弱体化魔法で無力化。たまにレジストされるから、そいつらはよろしく」」


俺達は丘を下りてビルに向けて走る。そしてオークスタッフを出して魔法をイメージした。


「爆炎術の魔法だ!」


3つあるビルがあっという間に炎の飲まれる。このビルは無人とわかっているから気持ちいい。


「ほら、来たわよ」


鉱山の出入り口からゴブリンやヒューマン族などの下っ端らしい下っ端がわんさわんさと出てきた。


そいつらは実弾系かレーザー系のアサルトライフルやハンドガンを持っている。


俺の方は一応、俺とムギホシに防御魔法の一式をかけた。


一式というのは土防、風防、物理防御力UPに念のため魔法防御力UPもかける。


そのうえで、弱体化魔法の乱れ撃ち、そして透氷術の魔法で氷漬けだ。


ムギホシは両手の何も持たず敵の中で進んでいく。そしてその周りの下っ端達が一斉に倒れていくのはまさに電光石火だ。


「タツロー、こちらはまかせて先に行って! ロブロイを助けに行ってあげて。それに早く行かないとコテツがしびれを切らすわ」


「了解! お先に行かせてもらうよ」


俺は弱体化魔法の乱れ撃ちをしながら下へ下へと下がっていく。


防御魔法の一式をかけているのであとは走るのみだ。


虎鉄のナビのおかげで10層まで直行だ。


その後からムギホシも敵を無力化しながら歩いてくる。なんか俺が追いかけられているような気がしてきた。ホントだったら恐ろしいな。



********************************



5分後、10層に着いた俺はロブロイの捕えられていた部屋に来ている。虎鉄が「すぐの部屋」と言っていたのですぐわかった。もちろん虎鉄も一緒にいる。


ロブロイは30代のヒューマン族だった。


彼は捕まってからそんなに時間は経ってないが拷問されたのたろう気を失っている。


拷問と言っても地球の前時代的な拷問ではなく、機械で幻を見せる拷問だという。精神が消耗が激しいので2,3時間拷問されれば気絶するらしい(ナビ情報)。


これは癒しの魔法だけでは無理かもしれないな、と思って与精の魔法も付与してみた。


「どうかニャ? 大丈夫かミャ?」


「たぶん……」


俺と虎鉄はそのまま30秒ほど待ってみる。


「う……」


ロブロイが意識を取り戻した! は~与精の魔法も持っていてよかった。


「一応、身体の傷もないと思うけど立てるかい?」


俺はこういうことに慣れてなくて必要以上に丁寧な物言いになってしまうのだ。


『名称:ロブロイ

 種族:ヒューマン族

 職能:ハンター

 脅威度:緑 好感度:黄色

 ハンターランク

 健康状態:良好』


「見えるかニャ。『健康状態:良好』だってニャ」


さすが虎鉄だ。俺の知りたいことを教えてくれる。本当はナビに聞けってことだろうけど。


「俺達もあんたと同じハンターだ。ラシャヴァティ支部長に頼まれて助けに来た」


「あと、キーソン保安官もだニャ」


俺達はバッジを見せてハンターだと証明する。そのうえで二人の名前を聞いて安心したのだろう、ロブロイはこっちに手を差し出して立ち上がる。


「助けてくれて本当にありがとう。でも、こんな危険なクエストに銅のバッジが来るとは……。これから逃げれるのか?」


「逃げるというか、このコミュニティは潰すよ」


「そこに寝てる下っ端に聞いてみるかニャ?」


この時になって敵の下っ端5人が寝ていることに気付いたロブロイは唖然として、さらに聞いた。


「ここまで来るのに120人の敵がいたと思うが……そいつらは?」


「大部分は無力化されて寝ているよ。多分大勢は勝てないと思って10層まで逃げてくると思うな」


「強い鬼が追いかけてくるニャ!」


俺と虎鉄はそう言ってにんまりと笑った。

読んでいただきありがとうございます。

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