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27 ハンター・ユニオン

話は逸れてしまったが、お金の話はまだ続いている。



まずは泊まるところを確保しなければいけない。


安い宿とかあるのだけれど、それでも2,3泊したら金はなくなる。


あまり安いと不安になる――巫女のムギホシもいるし――1人1泊1万クレジットは必要だろう。


そいえばバトゥのヘソクリっていくら残ってるんだ。


「あと残り1000クレジットです」


「えっ10万9000クレジットはどこに行ったんだ? さっきの飲み物ってそんなに高かったのか!?」


「わたしとタツローのお茶は高くないはずよ?」


「実はコスモ・ル~チュが思ったより高くて……」


俺とムギホシのお茶が一人1000クレジット、コスモ・ル~チュが10万7000クレジットだったそうな。バトゥも虎鉄の喜ぶ顔が見たかったのだろう。その気持ちわかるぞ。


「その値打ちはあるニャ……」


でも高すぎてそうそうは食べれないけど。


では、急いで金策に走らないとだな!


たとえば冒険者ギルドとかあれば……ないかな、やっぱり。あるんだったらアイテムボックスにあるモンスターの皮とか骨を売るんだが……。但し、肉は食べるので売らない。


バトゥは「ありますよ」と簡単に答えた。


「冒険者ギルドのことはわかりませんが、それは推測すると互助組織ですよね。それならハンター・ユニオンが該当します」


「そんな組織ってあったの知らなかったわ」


ムギホシも驚いている。


「出来たのがルーン戦争後の300年前と言われています。

 認知されたのは200年前くらいなのでムギホシ様が知れないのも不思議ではありません。

 人間が作った民間の団体です。依頼者から仕事を仲介してハンター・ユニオンに属する人に斡旋します。

 主な目的は、モンスターの討伐ですね。

 あと所属したらハンター・ユニオンの身分証明書も発行してもらうことができます。

 人間の活動範囲なら大体存在する組織です」


「なほどで。出来たのが近頃って話ね」


2,300年前が「近頃」になるのか。でも大体わかったぞ。


「モンスターの素材を売るためには、そのハンター・ユニオンの登録が必要なんだろう」


「タツロー様、冴えてますね。当たりです」


いえ、それほどでも……。あれ、これってお世辞?


「モンスターとは、そもそもルーン戦争で魔人ジーニー族が開発した対人間用敵性動植物です。

 それが戦争が終わったあと野生化したのが現在のモンスターと言われます。

 そして倒したモンスターの死骸から有用なものが発見されて、ハンター・ユニオンが買い取っているというわけです」


それはわかりませんでした。魔人ジーニー族って以前名前は聞いたけどここまでは聞いていなかったな。ムギホシは「あれ? そうだったけ」ととぼけている。


「そして、もう1つあります。現地で話すと申しました情報収集の件です。ハンターになれば色々な情報が入ってきます。それは大量に……。このバルボア・シティの有力者ともパイプができるかもしれません」


「それはイイな。決まりかな」


「じゃあ、そのハンター・ユニオンに入ろうニャ!」


「色々詐称しないといけなさそうだけど、それならわたしも入るわ」


ムギホシはエルフだってことを隠さないとダメだから登録できるかな。行ってみればわかるか。でも……


「登録する時って、どうやって会員になれるのかな」


「実は私も詳しくは存じ上げないのですが、人間による面接があるようです」


「テストとかないよニャ?」


「そこまではなんとも……」


「人間による面接があるのなら大丈夫よ。わたしに任せなさい」


ムギホシがなぜか太鼓判を押した。今度こそ行ってみればわかるな。


俺達は酒場を出て、またバトゥの案内でハンター・ユニオンに行くことにする。


酒場を出る時に、店の人に虎鉄がなにやら話しかけていたのだが――


「コスモ・ル~チュは完売だってミュ。しばらくこの星に入らニャいだってニャ……」


ご愁傷様です。他の星で買えばいいってことさ。



*********************************



その2時間後――。


ハンター・ユニオンは超高層ビルの100階から110階を占めていた。


100階が総合受付とテーブルが幾つか置いてあるオープンスペースがある。小綺麗な場所で打ち合わせとかできるようだ。色んな種族やアンドロイドの人が100人はいるだろう。


1つ上がった101階の新規会員受付にいる俺達。ここはさらに人はいっぱいだ。ナビによると236人とのことだ。


しかし、100階の総合受付と違ってこの階はうらぶれた雰囲気を感じる。ここなしかこのフロアにいる人達は荒くれどもがいる確率が高いというか……。



で、登録についてだが……簡単にハンター・ユニオンの会員として登録できてしまった!


ちなみに新規会員は10時から16時までの1時間毎に受付される。俺達は14時の回に間に合ったのだ。


バトゥだけは身分証明書を再発行するためにハンター・ユニオンとは別のビルに向かったので別行動だ。



「ムギホシが言ったとおりだったな!」


「ていうか面接は名前を言っただけで他はスルーだったニャ」


「そうだよな。他の人は簡単なテストをすると言ってたのに……」


「でもテストは30分くらいで終わってたニャ」


俺と虎鉄は信じられないと花を咲かせている。


「最初が面談だったのがよかったわね」


なにが起こったのかムギホシ(180センチ)の種明かしをしてもらおう。


霊理力れいりりょくを使ったの。3人の一番前をわたしにして、わたしとこのあと受ける2人も会員にしてねって」


霊理力とは、そういう風に使うのか!?


聞いたところによると、人を催眠状態にしてこちらの意図する通りに行動させたり念話や念視したり、あとはPKサイコキネシスとかできるらしい。


「あなたたちほどの力はないと思うけどね。そのうち使えるようになると思うわ」


「オイラより達郎の方が早いと思うニャ」


「霊理力はあなたたちの『力』の下位の能力だと思うわ。それよりも『力』は霊理力の上位互換だと言えばいいかしら。だから保安官に絡まれたとき、わたしだったら距離が遠くて難しかったと思う。今回は霊理力を阻害できる技術があったみたいだけど、もっと低い霊理力を想定したようだわ。わたしもまだまだいけるわね」


霊理力と「力」の差か~。考えたこともなかったな。俺はまだまだだ。な、虎鉄。


まぁしかしハンター・ユニオンの会員になれたのだ。これでハンター・ユニオンから依頼をクエストとして受けることができるし、モンスターの素材の売買もできるって寸法だ。


会員証は俗に言うカードサイズで材質はステンレスだった。

使用者の名前と人種名、あとハンターとしてのランクが刻印される。


人種名は、俺とムギホシがヒューマン族で虎鉄がケットシー族になっていた。


霊理力ってやっぱり凄い。


あとハンターのランキングは一番下位の「ランク1」だ。そこからクエストを完了したり素材の売買をするとポイントが貯まって既定ポイント数ゲットでより上位のランクに上がれるシステムだ。ランクの数字が増える毎にハンターとしてやれることが増えていくみたい。


今の最高ランキングはランク20だってことだ。


「よーし、頑張ってランクを上げるぞー!」


「ちがうニャ! その前に素材の売買ミャ!」


「いきなり目的を間違えるのはいかがなものかしら?」


失礼しました。流されやすい日本人だから……。


『本日、会員登録されましたタツロー・タナカ様、コテツ様、ムギホシ様いらっしゃいましたら受付までお願いします』


唐突に呼び出しが入った。なんか不味いこととかやってないだろうな。


「それを言うなら、不味いことしかやってないニャ」


そうだった! でも行かなきゃしょうがないね……。


俺達3人は揃って受付に出向いた。


「呼ばれたので大人しく出頭しました! 今日は素材の売買をして帰ろうと思います!」


「聞かれてないニャ……」


「これが地球人の大人なの?」


上司とか人に怒られるのが嫌いだし、怖いの!


そんな人の気持ちをさらっと無視して受付の女性(ヒューマン族)は通達した。


「最初のクエストを受けてください。

 これを完遂しないと正式なハンター・ユニオンの会員とは認められませんからご注意を。

このクエストの成功報酬で会員の「仮」のマークがなくなります。

 ちなみの素材の売買等のハンター・ユニオンの設備は使えませんので悪しからずお願いします。

 あなた達で最後です。クエスト成功には時間制限もあるので急いだ方がいいですよ」


「「「!!」」」」


そんな落とし穴があったなんて! 3人は顔を見合わせてしまった。

読んでいただきありがとうございます。

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