00 どこかの宇宙で
おひさしぶりです。
新作を始めました。書き溜めてはいませんが失語症なので書くのに時間が掛かってしまいます。すみません。よろしくお願いいたします。
俺はダンジョンの大広間のようなところで戦っていた。
「ギギギィギャ!」
断末魔の声を上げて倒れる。
3匹のゴブリンの最後の1体を斃したのだ。
「後衛職の魔法使いだからSPを節約しながらだと一人はちょっと厳しいな」
俺は独り言ちつつ――
「しかし前衛だと言うのにのムギホシはどこに行った? 知らない間にいなくなっているんだけど」
今は何故かいない前衛の一人に文句を言った。
「爆弾は仕掛けてきたニャ」
そう言って通路の陰から出てきたのは、音もなく移動できる虎鉄だ。さすが忍者。
頼りになる前衛の二人目だ。
「それじゃあ急いで逃げたいんだけどムギホシがいなくて」
そのとき廊下の壁がさっきのバトルで盛大に壊れて大きな穴が開いていることに気がついた。
ちょっと気になって穴の見てみると、そこから穴は別の部屋につながっている。
――あ、ムギホシがいた。
黒い甲冑を装備した暗黒騎士……いやバトルマスターの紅一点だ。
「まったく後衛を置いて消えるなよなー」
「ちょっといいからこれ見てよ」
部屋に入ってみると反対側に金庫のような大きな扉がある。
「金庫の壁を壊しちゃったのかな」
「『かな』じゃないでしょう」
「また達郎の魔法狂が出たニャ」
「魔法狂とか言わないで欲しいな。ちょっと威力が出すぎただけだよ。でも金庫ということは、ここに置いてあるのは宝物か?」
真っ黒い金属のインゴットは大量に置いてあるのが見えた。
「ねえ、タツロー見てよ。エルフィン合金だわ」
「なんて量だミャ!」
「うわ! 本当だ。 ウハウハだな!」
5メートル四方の壁一面にエルフィン合金が堆く積まれている。
無言で頷きあう俺達……
「「「いただきだ(ニャ)!」」」
と言っても回収する役目はアイテムボックスを持っている俺と虎鉄の仕事だ。
「早く回収してちょうだい」
「へいへい」
「ミュウミュウ」
とえあえずエルフィン合金は金より密度はあるが重量を気にしないアイテムボックスに入れたので一安心だ。
「よし! 回収完了だ。今度こそ逃げよう」
金庫から出て出口へ向かおうとしたところで――
「うわ! いっぱい来たよ」
今度はオークと魔狼の一団がやってきた!
視界が赤に染まる。目の前は敵ばっかりだ。こうしちゃいられない。急いで逃げないと!
「こっちだ!」
俺は視界に表示されるマップを確認しながら叫ぶ。
後方からオーク達がマシンガンを撃ってきた。
俺はパーティ全体に物理防御アップの魔法を重ね掛けして、虎鉄とムギホシに物理攻撃力アップの魔法も掛ける。
虎鉄は雷撃手裏剣を投げて後ろからやって来るオーク達を倒している。
ムギホシも敵に向けてお手製の手榴弾と地雷を投げている。
なんと前からオークの軍団も大量にやって来た!
オーク達がレーザー銃を撃ってくる
「剣こそエルフの道、星神様と共にあれ……今宵のライトケインは一味違うわ」
ムギホシは腰から光る杖の『ライトケイン』を抜いてオークの一団に向かってゆく。
あっという間にムギホシの周りのオーク達が倒されていった。
俺も炎術の魔法で前後の敵を倒して援護する。
今度は全長3メートのアンドロイドの一団もやってきた!
「またデカいのが来たな!」
ちょっと楽しくなってきた俺は、また全体魔法を撃とうかな、と思ったところに――
「後ろの敵は倒したニャ。あとは前の方をやるニャ。ミャニャニャー!」
虎鉄が影分身【夢想】を繰り出した!
虎鉄の身体が残像を残して消えるとアンドロイドが倒れていく。
「ハハハ……援護するか」
俺も全体魔法はやめて個別に雷術の魔法で援護する。
「もうすぐハンガー・ベイだぞ。がんばれ! その先を曲がれば――」
「外が見えたわよ!」
そこには星々が瞬く銀河があった――
宇宙船の離着陸を行うドッキング・ベイと格納庫があるところだ。
「お迎えは来てるかニャー」
『迎えに来ました』
「バトゥ、ナイスタイミングだ!」
思わず感嘆の声をあげる。
宇宙空間から俺たちの宇宙艇が現れた。
「わたしが援護するから早く乗って!」
『爆発まであと残り1分です』
「偏向シールド発生装置を先に壊して正解だったニャ。早く乗るニャ」
「OK、OK……早くって、こんなのもいやがるのか!」
格納庫の奥の方から5メートルほどのパワードスーツが数十体現れた。乗っているのは……あっ魔人だ。
「どうするほっといて逃げるニャ?」
「アンドロイドとかオークもまた増えてくるわ」
「それじゃあ、いっちょやるか!」
『「「……」」』
「お先に逃げるニャ」
「まってまって、わたしも逃げるわよ」
と虎鉄とムギホシが言ったところで――
「今のところ俺の最大出力だ。雷帝槌の魔法! 出でよミョルニル!!」
俺の両手から閃光の束が迸って敵のパワードスーツを爆破していく。
俺はその光景を見ながら言った。
「俺たちって滅茶苦茶だなぁ……」
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宇宙要塞が爆発してゆく。
その宇宙要塞に比べると米粒みたいな大きさの宇宙艇が飛び出した。
「いやー疲れた。でもいい汗掻いたな! 帰って風呂に入ろう」
「ケットシー向けのオヤツが食べたいニャ」
「エルフィン合金が手に入るとはね。これで目標に近づくわね」
俺はたちは頷いて笑った。
「^_^」バトゥはこの顔だ。
じゃあ、ホームに帰ろう。
そんな宇宙で毎日を送る俺は田中達郎、32歳。故郷に帰るために旅をしている21世紀の地球人で魔法使いだ。
読んでいただきありがとうございます。
あと2話ほど投稿しますのでよろしくお願いいたします。