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神戸特別区の4つの高校は1校である。  作者: ヘイコウセン
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頑張れ茂松

この社会は不可解だ。

年功序列、歳上が偉い、1歳でも歳上が偉い。

法の下の平等? そんなものは無い。

寄付の呼びかけ?そのお金を日本に使えよ。

ここでみんなに問う、この社会を理解できるやつはいるのか?



4月。みんな大好き入学式。

でも、俺、茂松は陰キャだから入学式が嫌いだ。人と話せない。

1人2人ならまだ大丈夫なのだが、不特定多数になるともうダメだ。

クラスメイトがまともなやつらでありますように、

そう願いながら阪神工業地帯の車窓を眺めていた。


俺たちが入学する高校。その名も春真学院。しゅんしんがくいん。

春真学院のある地域は国指定の神戸特別区に認定されており、市民の9割が高校生だ。

神戸空港が予定よりも遥かにコンパクトにできたために発生した広大な埋立地を

利用し、日本の学力向上を図るべく高校を密集させた。

それが神戸特別区である。

そしてこの神戸特別区には4つの高校がある。

先程言った春真学院。

夏涼高校。かりょうこうこう。

秋葉学院。しゅうようがくいん。

最後の一つが冬高校。とうこうこう。

まあ、四季だ。

国は4つの高校を密集させ互いに刺激を与えることでシナジー効果つまり相乗効果

を生み出すのが狙いなのだ。

そのための新しいシステムもあるらしいのだが、公には明かされていない。

まあ、不可解な国が作ったシステムなんて、大したことないだろう。

そう鷹を括っていた。


そうして俺の思考がひと段落つくと俺の乗った電車はブレーキがかかり始めた。

終点に着くようで、慣れない車掌のアナウンスに耳を傾ける。

間違いない。終点だ。もう後には戻れない。ここは神戸特別区だ。

神戸特別区は埋立地になっており、外部との接触は在学中原則として禁じられている。

と言っても、本州にかなり近く普通にボートタワーやホテルオクラーなどの

神戸の夜景を楽しむことができるのだが。


電車のドアが開いた。俺、茂松は電車の中が全員生徒だったことに今やっと気がついた。

みんな同じ制服だけど(男子女子は別)どうなっているんだ?

ここは4つの高校に分かれているのではなかったのか?

と若干困惑しているうちにドアの前は生徒でいっぱいになっていた。

いっぺんに降りようとするから当然である。

その時突然、一人の少女がこけた。少女はキャッとも言わずこけた。

車両とホームの隙間に足を引っ掛けたのだ。

後ろがつまっていたから、後ろの爽やか青年が少女の背中を体重の半分くらいの力で踏んでしまう。

ごめんなさい。大丈夫?謝るのは社交辞令だ。でもイケメンは大丈夫の一言を添えた。

そして優しく手を差し出す。俺はそんな行動できっこない。

この青年の言動普通の女子ならハートズキュンであろう。

しかし少女はその王子の手を振り払い、冷たくきっぱりといった。

あなた何なの?私はあなたに手を差しのべてもらうほど落ちぶれてはいないわ。

そしてさっきのことがなかったかのように艶のある長い黒髪と共に立ち去っていった。


青年も周りの人達も、もちろん俺もその少女の冷たすぎる態度にポカンとした。

時が10秒ほど止まっていただろう。

やっと人々は活動を開始し、仲の良い人たちでざわつく。

何あの子、ちょっと可愛いからって調子に乗って。分かる〜。

俺は友達がいないのでボッチで苦笑しながら電車を降りた。


入学式が行われる四季館へ歩を進める。

道のりは調べていなかったが、みんなについて行けばいいだろう。

みんなの話題はどれもしょうもなかったが、やけに耳に入ってきた。


5分ほどだろうか。四季館に着いた。迫力に圧倒された。

四季館は中学の時とは比べ物にならないほど立派で堅牢な作りだったのである。

壁がコンクリートでできているらしい。ホテルのようだ。

これから始まる学校生活に期待してはいけないと分かっていても3割くらいは期待してしまう。

残りの7割は緊張と不安である。

流れるようにして四季館に入った。

そこには、、、









































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