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6 サッカー

どうやら“サッカー”とは、11人の集団を1チームとして2チームで対戦し、それぞれの陣地に置かれた大きなカゴへボールを入れて得点を競う競技であるらしい。

しかも一切手を使ってはいけないようであった。

それを聞いたシュネーは“何が面白いのか”などと思ったものだが、ケイバンの話の続きは興味深いものとなっていく。


もともとは“鋼の大森林の主”がいくつかのスポーツを子どもたちに教えたのがきっかけということだった。

やがて住民や冒険者の間で広まり、今では娯楽としてすっかり定着しているとのことだった。

確かに帝国においては娯楽といえば賭け事や酒場くらいしかなく、娯楽といえるものは限られていた。

そもそも、“娯楽を楽しむ経済的な余裕はない”というのが実態だ。


噂では鋼の大森林の生活水準は帝国よりも高く、商人も足繁く通い景気が良いと聞いていた。結果として一般的に娯楽が持てるほどの余裕はあるのだろう。

シュネー自身も立場上むやみに“鋼の大森林”へ赴くことはできずにいたが、噂が真実であると思えてきた。


しかし、所詮は球蹴りのはずだ。

確かにこの街でもそのまねごとをやっている様子もうかがえるが、それと我が街との関係性が見えてこない。


そのようなことを思っていると、

「まあ、俺が冒険者ギルドと区長を兼任していることもあってだな、どのチームが一番強いか決めさせろと要望が多くてな。勝手に決めろと言っても、その時々でルールが多少違うからやりづらいらしい。あと、やっている奴らっていうのはうちの所の住人だけではなく、ここの冒険者のチームもあるのだよ。まあ、もちろん聖王国の冒険者チームもあるのだがな」

「ほう、そんなことは初耳だな」

言葉どおりシュネーには報告もないし、噂さえ聞いたことがなかった。


「まあ、もともと遊びで冒険者同士が組んで作ったチームだから、冒険者ギルドとは直接関係のないものだしな」

「ならば放っておいても良いのではないか、趣味や遊びなら」

「初めのうちはそれでも良かったのだが、試合になると見物人が出だしてな。それもだんだんと増えてくるようになって、参加者もだんだんと力が入りだしてきたのだ」


確かにたとえ下らぬ遊びでもギャラリーがいれば、熱の入れようも違うのであろう。

「まあ、見物人がいるとなればそういうことになるのかもしれんなあ」

シュネーも容易に想像ができたので同意する。


「そして、いつのまにか勝ち負けにこだわり出してな。それでも帝国と聖王国側の冒険者チームがなかなか勝てないようでな。どうも、そいつらが言うには敵国の中で戦っているようで、全力が出せないみたいなことを言い出す始末でな。確かに現在交戦中ではないとはいえ観客の大半が住民であり、帝国と聖王国から追われてきた者達もいるからな。当然身内びいきとなって“鋼の大森林”側のチームに声援が送られることになる。帝国と聖王国側の冒険者チームからしたらやりにくいことこの上ないだろうよ。しかし、これは致し方ないことだろう。だからそれぞれの国でやりたいようにやれと返答したのだが、やる場所がないなんてゴネてな。そこでうちの主に相談したのさ。ならばせっかくだから統一したルール作りと両国のサッカー場を作れば良いと言ってくれてな。早速ルールの草案を作ったから場所の提供とその相談がてらこちらを訪ねたってところだ」


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