5 球蹴り
「ちょ、ちょっと、待ってくれ」
“「球蹴りの……試合」って、何だ?”
シュネーはフォルダーと顔を見合わせ、慌ててケイバンを引き留めにかかった。
「た、球蹴りの試合とは何のことだ?」
慌てた様子のシュネー達に首を傾げつつも席に座りなおすケイバン達は、早速本題を切り出す。
「突然の事で申し訳ない。こちらの冒険者ギルドで良かったのかどうかわからないが、接点があるのはここぐらいしか思い浮かばなかったのでな、こちらに伺ったのだが良かったのだろうか?」
「まあ、驚かされたが、それよりも話が見えないことに困惑しているのだが。そもそも“球蹴りの試合”とはなんぞやというところなのだが」
「ははっ、なるほど、“球蹴り”自体を知らないか。まあ、我々の方では“サッカー”と呼んでいるようだがね……なるほど、では」
ケイバンが言うには、鋼の大森林では最近“スポーツ”というものが流行りだしているという。
その“スポーツ”というものは走ったり、飛んだりして他の者と競うものだそうだ。
そして中には球を使った“スポーツ”もあると言い、そのひとつが球蹴りである“サッカー”というものであるらしい。
その“サッカー”というものは、基本足だけで球を操作して競う“スポーツ”であるようだ。
そういえば、ここアレクサでも最近子どもや若者が球蹴りをしているところを見かけた記憶があった。
シュネーはそれを見て、“昔は剣や棒で叩き合って遊んでいたのに、くだらぬものが流行っているのだなあ“と思っていた。
しかし、その行為自体が“サッカー”ではないということをその後のケイバンの話で知る。