1 シュネーの憂鬱
午前中のひと仕事終えた冒険者ギルドマスターの“シュネー・トライベン”は、執務室の窓辺に立ち、穏やかな日差しを浴びながら一服していた。
「ふぅ~、穏やかな良い日だな・・・」
そう、これは言ってはいけないフラグであった。
間をおいてせわしない足音と共に部屋をノックする音が響き、ドアが開く。
勢いよくギルドサブマスターである “フォルダー・バイン”が駆け込んできた。
「ギルドマスター、鋼の大森林の冒険者ギルドのマスター、“ケイバン”が来ました!」
フォルダーのいう“鋼の大森林”は、5年ほど前に突如として現れた大森林で、半径10kmほどの森林である。
5年ほど前にアルト大陸の荒野”アンファング”にて、ヴァンクローネ帝国VSグラール聖王国の両国間で勃発した大きな戦が行われた。
その際、対峙している最中に突如として鋼に囲まれた砦が出現し、あっという間に両国の兵力の半数が失われる事件が起こったのだった。
その結果、両国間は共に引き上げ、争いは無理やり中断させられることとなった。
突如メンツを潰された両国は、それぞれにこの砦の攻略を数度行った。
しかし、犠牲が増えるだけで一向に攻略の糸口が見えず、召喚した勇者の投入や戦略級魔術の使用も試みたが撃破されて敗北を重ねた。
その後、手管を変えて交渉に出たが、追い返され続けた。
次第に月日が経ち、いつからか砦周辺に緑が増えだし、半月後には森に囲まれるようになってきた。
1年後にはこの森が大きく成長するとともに拡大し、半径10kmほどの大森林へと変貌したのである。
大森林の木々は大きく成長し、やがては砦までも飲み込むほどに成長していった。
この森こそが現在“鋼の大森林”と呼ばれる場所である。
資料をまとめたサイトを作りましたのでこちらを参考にしてください。
https://jijaneelroad.blogspot.com/