第193話 進化する魔眼
化わっていく。
この身も魔眼も――。
「“天柩穿つ叛逆の剣”――」
蒼炎の不死鳥に漆黒を纏わせ、威力を上乗せした斬撃によって神の光を斬り払う。
「ヴァン、その姿は……?」
「魔眼の真髄。人類の進化の証……」
今の俺は三対六枚の黒翼を背に、激烈な力の波動を纏っている。
それは割れたバイザーが投げ捨てられ、外気に晒されている“天召眼”の力が作用した結果の姿。
エゼルミア陛下もこの血戦に備えるまでの準備期間で、“禁忌魔眼・解放”へと至っており、この戦いでも紫蒼の二重光を放ち続けていた。
つまり魔眼の力を御しきったことを意味している。
だが“天召眼”の性質上、瞬間単位での強化は出来ても暴発は必至。絶望的に支援に向かない能力であるという問題は、新たな次元に至っても大きな問題として残り続けていたはずだが――。
「四色の光を同時に……そして、今の私たちの状況……。魔眼の進化……」
直接、“天召眼”を作用させたのなら、俺は自壊していたはず。
故に俺が進化の光を纏っている理由は、世界を欺いた結果。
まず対象を定めずに“天召眼”の進化能力を顕現。“恤与眼”を中継地点として、その進化の力を別の対象に付与する。
際限なく進化し続ける能力暴走を魔眼同士の合わせ技で抑制し、制御下に置いたのだろう。
正に咄嗟の機転で生み出された鬼札。
皆も一緒に戦ってくれているということ。
「これで……ッ!」
「ぬぅっ!?」
この身が光速の世界へと掻き消える。
漆黒の剣戟を創造神へと叩き込んで、大きく後退させた。
「ふっ、大した童だ……」
そんな最中、膝をついたオージーンから残りの俺たちに白銀の魔力が分配される。
「何を……くっ!?」
戦場で魔力を全て他人に分け与えるなど自殺行為。
誰もが困惑した瞬間、雷槌が大地を砕き、オージーンの姿が大地の中へと消え去ってしまう。
「行けぇいっ!! 我らの未来を……!」
「貴方たちに託すわよ!」
フレイヤがフォローに入ってくれたようだが、戦況は混乱。
残された俺たちは、前へ進むことしか出来ない。
「ヴァン!」
「……行こう。これが最後の闘いだ」
俺が“天召眼”を宿すまでの撃ち合いでは、オージーンが負担の多くを引き受けてくれていた。故に限界を悟り、自分を犠牲にしてまで勝利する可能性が少しでも高い方に賭けたということ。
闘争と武に誇りを持つ巨人族の王としては、自分の闘いを放棄するなんてあり得ない判断だろう。
だからこそ、託された覚悟と意志には意味がある。
その覚悟を背負って戦う。
それが残された俺たちがすべきこと。
「貴様らの信頼など、俺には関係ない。だが障害は全て破壊して進むのみ!」
「前に進み続ける。その為には……!」
三対三。
これが最終決戦。
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