表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

155/197

第155話 灼熱の洗礼

 例の如く、変装用の外套(がいとう)を着こんで国元を離れた俺たち。

 現在進行形で大陸を南下、砂漠地帯に突入しているわけだが――。


「あづいぃ……っ!」

「ちょっと、貴女!? いつまでヴァンにしがみ付いているのですか!?」


 ニヴルヘイムを発って既に二週間近く経過した今、大きな問題自体は起こっていないものの、超熱帯という他ない気候には誰もが表情を歪めていた。


「だって暑いんだもの」

「それは私とて同じです! 引っ付いたら更に悪化するだけでしょう!?」


 先遣隊として同行しているメンバーは、俺とセラ、アイリスとエゼルミア陛下、それとアムラス。その上、ニーズヘッグを加えた面々。言ってしまえば、四国同盟の最高戦力。

 何故、前回は国元に残して来たニーズヘッグまで共に歩んでいるのかと言えば、敵の本拠地かもしれない場所へと乗り込むに当たって、セラの安全を少しでも守るためという理由から。


 更に先の神獣種の襲来と“混沌の罪杯(カオス・グレイル)”の介入――はっきり言って、次同じことがあれば、俺たちが残っていてもニヴルヘイムは破滅する。

 それならニヴルヘイムの守りを手薄にしてでも、事態を動かす方に力を入れようと提言したのは、セラの姉であるソフィア殿下。

 前回の闘いを含め、今まではセラたちを前面に押し立てて国を守って来たのだから、次は国民にも重責(リスク)を負ってもらうとのこと。これは賭け。犠牲失くして勝利はない――と出発前夜に残したソフィア殿下の言葉は記憶に新しい。グレイブやシェーレたちも同様に俺たちを送り出してくれた。

 つまりこれまでの日々の中で同じ覚悟を抱いていたということだ。あの状況の国から離れることに気が進まないのは当然だったが、そんな覚悟を示されては、残った連中を信じるしかない。

 故に現状、だったはずなのだが――。


「しかし本当に暑すぎるわねぇ」

「全く、本当に全く……」

「正直、何とかの背比べというか、どっちもどっちっていうか……」

「陛下……」

「――!」


 ぐでーっと、もたれかかって来るエゼルミア陛下と、何故か逆サイドから同じことをしてくるセラの真似をしてか、ニーズヘッグも俺の頭の上で伸びている。アイリスたちの呆れたような視線も、中々のダメージだ。

 まあこんな感じで色々とキャラが濃くはあるが、死闘の旅を乗り越えた面々とあって連帯感がないわけじゃない。緊張してガチガチになるぐらいなら、これぐらい肝が据わっている方がいいのだろうというのは、俺も同感ではあるものの――。


「暑い……」


 両腕に広がる暴力的な感触とは別に、拭えない汗の不快感が消えることはなかった。


「ホントにね。これなら裸でいる方がマシよ」

「いえ、せめて水着にすべきでしょう」


 それは両サイドの二人も同じだったんだろう。片手で気怠そうに得物を振るうと、進行方向から強襲してきたスコルイーターの群れが凄まじい勢いで蹴散らされていく。

 静も動もない駄々っ子の様な攻撃で一般兵士が辟易する相手が消滅していく様は、何とも言えない哀愁を感じさせる光景だった。


「論点はそこじゃないと思うんだけどなァ……」

「そちらの皇女も思考回路が麻痺しきっているようですね」

「北国育ちだ。無理もない」


 だが直後、本当に女性陣が水着姿を披露することになるとは、この時は誰もが予想だにしていなかった。

更新のモチベーションとなりますので、まだお済でない方は【評価】と【なろう内でのブックマーク】をどうかお願いします!

下部の星マークで評価できます。

☆☆☆☆☆→★★★★★

こうして頂くと号泣して喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ