純情可憐
私は、どちらかと言えば、人を信じることが苦手です。ですから、ほとんどの場合は距離を取って、浅く人と関わることになります。もちろん、言うまでもなく「君子の交わりは淡きこと水の如し」とは大きく違っています。
ともあれ、そういう、私にも何人かの心を許せた人はいます。そのひとりについて書いてみました。「純情可憐」という言葉が本質の部分で似合う人だと思っています。
きみは、こころに羽をもち 高き空さえ舞うものを
羽を疑い、地に降りて 慣れぬ素足で地を歩む
きみは、想いをひたむきに 未明のときを歩みゆく
その淋しさに、可憐なる 花は凛々しく咲き初むる
きみは、乙女の恥じらいを いつもどこかに隠しもて
折れることなき、たおやかな こころは花と匂い立つ
きみは、己に不器用な 蕾のごとき頑なと
嫋やかなりしおみなごの 豊かなこころ重ねもつ
きみがこころの、きみならぬ 誰かを守る強さこそ
母なる性の豊さと 紛うことなく思わせる
きみの情けは澄み渡り 咲かせる花の一片に
湛えた露を惜しみなく 我に与えて、微笑みぬ
きみが与えし憧れは 消えることなく
我は、また
可憐な花の純情を 記憶のうちに描きだす