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作者: 庭木 深更


あなたが、何の臆面もなく、正しさだけを信じる強かな人間でありたいならば

あなたは、敵を見つけなければならない。


敵は、どこにだっている。

学校だって、職場だって、ネットの中にも。

日本中、探すのに困らないほどに溢れている。


敵を見つけたならば、大声で叫ぶのだ。

「ここに敵がいる、こいつが敵だ」と

大勢で指差し、痛めつけ、その首を白日の下に晒すといい

あなたは、正義の大きな力を感じることだろう。

誰もがあなたを讃え、同調し、全てを肯定する。

眩しいほど輝かしく灯る、大義名分。


敵を探せ。人の正しさを証明するものなど、それしかないのだから。

敵を探せ。弱くてちっぽけな存在だって構やしない。

敵を探せ。拳を振り上げ、皆が待っている。


どうしようもなく、正しき人よ。

あなたは、もう満足してはいけない。

その道に帰り道などない、

あるのは、疑心暗鬼に追われながら進む茨の道。

歩みは止められない、あなたの番が来る、その日まで。


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