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帰路

最近気付きました。

「体調が戻らないのなら、1話の文字数を減らして投稿テンポを上げれば良いじゃない」と。


はい、日毎に体調が良かったり悪かったりするので、調子が良い日に書いたらチマチマ上げる様にします。

山脈からケシェフへ向かう街道を200名程の人狼の兵士達が隊伍を組み進んでいた。


『うーん………』


その中で魔王はかなり悩んでいた。


“エミリアに何て言って誤魔化そう”と。

『ただ眠っているだけ………』

『ムリムリ、カミルはニヤニヤしてんもん』


ヨルムの話だと、数日掛かるかも知れないが目を醒ますとは言われたが、カミルの様子は普通じゃなかった。

女騎士ドミニカの従士、ゲルベラが付きっきりで看病をしてくれていたのだが、薄気味悪かったと言っていた。曰く「夜中に急に苦しみだしたり、笑いだしたりして怖かった」と。


魔王の目の前にカミルや負傷者を乗せた荷車が進んでいるのだが、コロコロとカミルの表情が変わるので、ゲルベラ以外の負傷者は狸寝入りをしている。


『後さ、歯はどうする?』

コレまたゲルベラ曰く「歯が尖っていて怖い!」と言われ、口を開けてみると犬特有の尖った歯に生え代わっていた。

『現に今もニヤニヤ顔から歯がはみ出ているが、確かにコレは夜中に見ると怖いな………』


捕虜にした狼男の少女………。この場合、狼女か。

とにかく、“生きた狼男”と“狼男の死骸”をあれこれ調べてみたが、獣人症の呪いに掛かると歯が全て抜け落ち、犬科のそれに生え代わるのだ。

試しに捕虜の歯を2、3本もぎ取ってみたが、驚いた事に勝手に新しい歯が生えてきた。


『入れ歯で誤魔化せないんじゃな………』


「ねえ、カエ。さっきからドミニカさんがこっちを見てるのに気付いた?」

トマシュからだ。

「ん?ああ、こっちを見てるがカミルの方でなく、アルトゥルを見てるみたいだぞ」

どうもドミニカはアルトゥルが馬上で器用に読んでいる本が気になるようだ。


行軍中、“人目につかない場所なら”と暗黙の了解で各々好きなことをしていたが。途中、振り返ったゲルベラが前を行くアルトゥルをしきりに気にしていた。


「アルトゥルは何を読んでるんだ?」

「確かドワーフ語の本で、今年発刊された武鑑だったな」

「ブカン?」

魔王は知らない単語だったので聞き返した。


「ドワーフの大名や幕府の役人の情報が載った本だよ。家紋や当主、俸給、領地とか書かれてるけど、何でアルトゥルはそんなの読んでるんだ?」


ライネがヨロヨロとだが馬に乗った状態で近付いてきた。

「何でも、ドワーフと接触してウラン鉱石とか手に入れられないか考えてるみたいで。武鑑に転生者の知り合いの名前が乗ってないか調べるとか言ってたよ」


「ふーむ。しかし、転生者の知り合いか。今世で前世の名前を名乗っているとは限らんだろ?」

魔王の問いにライネは手を上げて答えた。

「ところがどっこい。フィリップ卿やヤツェク長老みたいに前世の名前を名乗っている場合も有るんだ」

アルトゥルがフランツを呼びつけて、何かを相談していた。


「と言うか、アルトゥルとフランツさんってもしかして知り合い?」

二人の様子が、まるで指示を出す上司部下の雰囲気が有るのでトマシュがライネに聞いた。


「………前世で同じ部隊に居たらしい」

ライネが聞いた話だと、二人は同じ101空挺師団に居て顔見知りだったらしく、ライネも前世で二人と顔を合わせていた可能性が有った。


<この海野って、日本の海野議員じゃないか?>

さっそく前世に見た名前を見つけ、冒険者として情報通のフランツを呼びつけて確認していた。

<恐らくは。ただ、身分が身分なので接触が出来ませんね>


アルトゥルが見つけたのは、ドワーフの杉平(すぎだいら)幕府の譜代大名、坂上家の元五男坊の海野靖彦だった。


この世界のドワーフは日本風の文明を割り振られており、魔王ロキが武士の杉平家を征夷大将軍に据えて実務を委せきっていた。神様でもあるロキ本人が他の魔王のところでトラブルが起きた際に対処するための措置だったのが、毎回何かしらのトラブルが起きるのですっかり定着していた。


そして、海野靖彦は元服と共に新たに出来た大名家の海野家当主となり、幕府の若年寄になっていた。

アルトゥルが海野靖彦が前世で日本の国会議員、海野靖彦だと確信したのが、海野家の家紋だ。前世、アルトゥルは上院議員時代に東京に立ち寄った際、海野家に招待されたのだが、その時に見た家紋がドワーフの大名家、海野家の家紋と同じものだった。


(海野靖彦だとすると、ひょっとするな)


中々、油断なら無い人物で。前世は、核不拡散条約(NPT)発効前に核開発を画策したが、共謀しようと接触した西ドイツ等から通報を受けたCIAが火消しに回る羽目になったと聞いていた。


『ライネよぉ、ドワーフとパイプはあんの?』

『無いよ。何せ、ファレスキが堕ちて海路が無いんだ。陸路は人馬の領地が有るから無理だし』


魔王がライネの袖を引っ張る。

『そんなにドワーフは重要なのか?』

ライネが顔の前で手をパタパタと振った。


『と言うか消去法かな。今のところ接触出来そうなのがアルトゥルが前世何かと縁があった日本の政治家なんだけど、ドワーフに日本人の転生者が多い傾向が有ってね。他に接触出来そうなマルキ王国の人はアルトゥルが大嫌いなコミュニスト………。考え方が違う人が多いから“無視する”って言い切ってたし』


『えぇ………』

“前世ではコッチコチの反共主義者”として有名だったアルトゥルが“無視する”と言っているのが正直ライネは驚いている。前世のイメージでは国外追放を主導する位はやるもんだと思っていた。


「あ、班長が泣き出したよ」

魔王とライネが見ると、確かにカミルの耳が垂れ下がり、啜り泣いていた。

「………あー、どうしたもんかな」

こんな状態で親元に戻す訳にも行かないし、何処かに預けられないか魔王は悩んだ。





タイトル変えて無かった。orz

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