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ロキ「(ノ∀`)アチャー」

「何処にしまったっけかな………」


忍び込む筈が、また(・・)ロキがもたついていた。

ロキ曰く、“便利な物”を使って忍び込みたいらしいのだが、さっきから上着のポケットからガラクタを取り出してはしまってを繰り返していた。


「有った!」

取り出したのは小汚い水差しだった。


「何ですこれ?」

興味津々のトマシュが間近に近付きながら質問した。

「琥珀浄瓶」


アガタが水差しを擦ってみた。

「あれ?出てこない………」

「いやいや、コレは違うよ………そうだな。………バーグ君」


「はい」

フランツが返事をすると、水差しの口から空気が吸われ。フランツは吸い込まれた。

「うわ、わああああ」

吸い込まれまいと、フランツがショーンの左腕を使んだ。

「っちょ!?何で俺まで!?」

するとショーンも吸い込まれまいと、右腕でデイブの左腕を掴んだ。

「俺もかよ!?」

野郎3人は「うわああぁぁぁ………」と叫びながら小さくなり。水差しの中に消えた。


「正解は、西遊記の宝貝でした~」

「「「っちょと待ってぇい!」」」

西遊記を知らない全員が一斉に突っ込んだ。

「消えちゃった」

「消えましたね」


「まあ、落ち着いてよ」

ロキは軽く水差しを振りながら説明を始めた。


「大丈夫、大丈夫。3人は小さくなって、この中に居るから。ほら………あれ?」


中には、座席が動くタイプの遊園地の屋内アトラクションの様な。小さい映画館風の内装に安全バー付の座席が置かれていた。

「大丈夫じゃなさそうなんですが………」

そして、その周囲には倒れたフランツ達が居た。


フランツ達は1/100サイズにまで縮んでいたので、ロキがゆっくりと振ったつもりが、フランツ達にはその100倍。一振り10センチ程度の揺れ幅が10メートル相当の揺れとなり、フランツ達は狭い水差しの中で転がり回る羽目になったのだ。


「くぅあっ………っつ!」

頭を押さえながらフランツが起き上がった。


「あーゴメンゴメン。バーグ君、そこの扉に入ってくれるかな」

フラフラと立ち上がったフランツは、ガラス窓の真横に有る扉に向かった。


「あれ?鍵が掛かってますけど?」

ドアノブは殆ど動かず、フランツはロキの居る上を見上げた。


「あーっと、そうだ。横に電子ロックのパネルが無いかな?」

見ると、1~9までの番号のスイッチが付いたパネルが壁に設置されていた。

「有ります………けど」

「1243って入力してくれ。そうすれば開くよ」


言われるがまま、スイッチを押すと。扉から“カチン”と音がし、ドアノブを回せるようになった。


「入りますよ」


外からフランツを見ているロキ達からは、フランツを中心に建物が動く形で見えるが、中に居るフランツ達からはロキ達が見えず。声がする上の方角も、天井が見えるだけだった。


「ソコから左を向くと金属製の電源盤が有るでしょ。それのブレーカーを入れてくれ」

中に入ると、映写機とレーザーディスク、VHS、DVDデッキ等。一通りの映像器機と、幾つかの映画のDVDのパッケージが置かれた机などがあった。


始めてみるDVDのパッケージの絵から“SF映画”のディスクなのだろうとフランツは理解できたが、“映画のBGM集か?”と思った。

何故なら、両面で2時間映画を観ることの出来る、直径が30センチは有るレーザーディスクは知っているが、半分未満の直径12センチ程度のCDサイズでレーザーディスクと殆ど変わらない影像美に大容量のDVDなど想像できなかった。


「聞いてる?」

「ああ、すいません。ブレーカーですね」


異世界の魔王の筈なのに、矢鱈と英語の媒体が多い上に、一部では有るが見慣れた物があるのでフランツは視線を奪われたが、ロキの呼び掛けで我に帰った。


ガチャリと電源盤のスイッチを入れると、横の機械に通電し。スイッチや操作盤上のLEDが光った。

「入れました」


「じゃあ、光った装置が在るでしょ。主電源を入れてくれ」

パチッとスイッチを入れると、座席の安全バーが一斉に開き、床全体が少しだけ動いた。外に対して水平になったのだ。


「じゃあ、席についてくれ」

指示された通りに、戻ろうとした時に、フランツは棚に列べられたDVDのパッケージに釘付けになった。


それは前世で死ぬ数ヶ月前に映画館で見た、SF映画だった。

(………?何だ?)

死ぬ前に見たのはシリーズの2作目。しかし、目の前にはシリーズ続編が数作と他のSF映画とのコラボ作品が公開年度順に並べられていた。


「何だコレはっ………」

パッケージの1つを手に取り、裏面を見てフランツは息を飲んだ。

「1997年?」

表面に主演女優の顔が載っているが、パッケージなので記憶より老けて居るような気がするが、確証は持てなかった。

「2012年………2017年!?」

どれも、フランツからしたら4半世紀先の未来の映画だった。


棚の別の段には他の映画シリーズのDVDも並べられていたが、半分以上観たことがない物だった。

「コレは………観た事が有るが、役者が違う。リメイクか。泥棒トカゲ………?いや、恐竜か。着ぐるみか?」

そして、フランツの中ではコメディ番組の探偵イメージしかない俳優が主演の映画を偶々手に取った。


「死んだ2年後か。かぁ~観てみたかったなあ。コレはクレムリン宮殿か………っ!」

パッケージのクレムリン宮殿………ではなく、俳優の頭にフランツは驚愕した。


「え…。コイツ禿げんの………」

知ってる俳優の1人が丸禿げになっていることに、軽く衝撃を受けた。





「えっと、イシスちゃん以外はこの中に入ってもらうよ。何せこの人数だ、見付かりたくないしね」

中に居るフランツ達には聞こえていないが、ロキが外に居るアガタ達に説明を始めた。

「さっきバーグ君が保護装置を起動してくれたから、この琥珀浄瓶が揺れたりしても中で吹き飛ぶ心配は無いよ」


そうは言われたが、中で3人が気絶しているので、正直入りたくはなかった。

「じゃあ、エルナさん」

「はい」


返事をしたエルナがゆっくりと吸い込まれた。

「ニナ・ジュワフスカ婦人」

「はい」

続いてニナ。

「トマシュ・ジュワフスキ君」

「はい」

「アガタ…」

「はい!」

トマシュに続き、アガタが途中で大きい声で返事をし、2人も吸い込まれた。


「せっかちだねえ。それじゃあ………」

「ロキ様」

「なんだい?」


フランツに喚ばれ、うっかりロキが返事をしてしまった。

「あ!」

「あっ!」

風が巻き起こりロキが縮みだした。

「あああぁぁぁ……」


「………えー」

1人残されたイシスは困惑した。

「イシスちゃーん。取っ手の赤いボタンを押して、それで吸い込み機能がオフになるから」


ロキの指示でスイッチを押し、中を覗き込んだ。

「えーっと、どうしようかな………。イシスちゃん、忍び込める?」

「………ええ、出来るかと」


ロキは、イシス1人で忍び込んで大丈夫かと心配していたが。イシスからすれば、ロキが邪魔だと思っていたので願ったり叶ったりだった。


「じゃあ、ここから指示出すから」

ロキは座席を見渡し、中のメンバーに指示を出した。

「じゃあ、みんな座って。万が一装置が壊れても安全バーを着けてれば怪我はしないだろうし」


「ロキ様、エルナなのですが。人馬なので座れないです」

「あ…」



この小説、最初は


三蔵法師=人馬

沙悟浄=サハギン

猪八戒=オーク

孫悟空=出所したヤクザ


で進める、西遊記パロの予定だったんやで

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