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異世界の死霊術師  作者: 主任
3/4

第3話:捕縛


「うっ……ここは……?」


 まだふわふわとして安定しない意識を取り戻しながら、辺りを見渡す。

 場所は依然洞窟内だが、篝火や焚き火がある事からキャンプ場を彷彿とさせた。


「お頭! 男の方も目が覚めたみたいですぜ!」


 俺が目覚めたのを確認し、仮面を着けた男が大きな声で呼びかける。

 周りには同じ仮面を着けた人が何人か居た。


「へぇ、アンタがあのアホな罠にかかったっていう男かい。なかなか男前じゃないか」


 奥から出てきたのは同じように仮面を着けた女だった。

 お頭と呼ばれているだけあってか、他の男よりも服装や仮面が豪華だ。


「誰だ……!? そして何が目的だ! それと……レナはどうした!」


 身体に力を込めるが、拘束用のロープが擦れる音がするだけで解放される気配は無い。


「はっ! オマケに芯も強いときたかい! ますます気に入ったよ!」


 女首領は目の前で豪快に笑い、そこに別の仮面の男が話しかける。


「というか珍しいッスね、このへんに非武装の生者が来るなんて。連れの女はこっち側だったみたいッスけど」


「確かにな……ん? そういえばお前は何であの連れの女と普通に喋ってたんだ? しかも見えてる様子だったしな……」


「何でって……まあそういう体質としか……見えるようになったのはついさっきだけど……」


 そう言うとしばらく女首領は考え込むような動作をして――2本のナイフを懐から出した。


「なっ! 何を……」


 本格的に身の危険を感じ、暴れてみるも、やはり拘束からは逃れられない。


「ああもう! 動くんじゃないよ! 別に殺しゃしないから!」


 そういうと女首領は逃れようと必死に動く手を掴み、2本のナイフの先端で一つずつ傷をつけた。


 捕まった手を見ると血こそ出ているものの本当に小さな傷、それこそ痛みなど感じないレベルの傷だった。


「お、お頭……これって!」


「二つの傷口からちゃんと血が出てる……! 」


 女首領と男の会話に周囲にいた手下達もざわめく。


「どうしたんだ? 血が出てるくらいで騒いで……」


 奥の方にいた手下の1人がそう言ったが、根黒も全くもって同意見だった。


「バカッ! 俺達の目的を忘れたか! 受肉できるまでこの洞窟で暮らすって言ってただろ!」


「てことは森に行けるようになるって事か?」


「森だけじゃねぇよ! 外ならどこでも行けるんだよ!」


「おっ、お頭! やりましたね! これでこの湿っぽい穴蔵ともおさらばですぜ!」


 全く状況が理解出来てない根黒をよそに、手下達は思い思いに騒いでいた。


 しかし、そんな手下とは対照的に女首領は1人、押し黙っていた。

 仮面のせいで表情から何を考えているかは分からないが、そんな女首領の様子を見て、手下達も騒ぐのを控えようとしたが……


「ぐすっ……」


――辺りが一瞬にして静まる。


 手下達もこれは想定外だったのか、先程とは違うベクトルで騒ぎ始める。


「うぐっ……良かったよ……! 本当はこのままダメかと思って……」


「おおおお頭!? どうしたんですか!」


 手下の言葉にビクリとし、我に帰ったのか、数回咳払いをして続ける。


「あ………………お、お前はあの女を助けて欲しいんだろぉ? だったらこっちの要求を」

「あ、そのキャラ続けるのか」


 



 一瞬にして場が凍りついた。


 

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