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5話 お勉強 ~騎士について:名誉称号の騎士~

ふんわりまとめは、随時加筆予定。


今回の騎士は、貴族の階級ではない、騎士です。

騎士になる方法などを、書いています。


短編小説では、数字は漢数字(一、十)で統一していますが、まとめ部分はアラビア数字(1、10)で表しています。

年代が漢数字だと、ピンと来なかったので…。

【ふんわりまとめ】


騎士きし

ヨーロッパにおける騎士とは、主に中世において馬に騎馬で戦う者に与えられた、名誉称号。

また、そこから派生した階級を指す。

※名誉称号は、名前だけ保証される様子。称号としての騎士を「騎士号」という。



●重装騎士の登場

・8世紀初頭

当初の重装騎士は、馬から降りて戦っていた。

東方の西晋の時代に発祥のルーツを持つあぶみが、フランク族に伝えられると一変する。

馬の鞍に鐙がつけられ、足の置き場ができる。それは、騎乗したたま身体をしっかり支えて、武器を振るうことを可能にした。

鐙が出現するまで、騎乗者は両足の大腿部で馬の胴を締め付けて乗馬していた。姿勢は不安定で、馬の激しい動きに追従するのは難しかったのである。


西晋せいしんは、中国の王朝。265年~316年。三国志の魏から禅譲を受けた司馬炎によって、建国される。


・9~10世紀

蹄鉄と拍車が普及する。


蹄鉄ていてつ

馬の足の裏につけられる金属。歩くことによって摩耗する馬のひづめを守ることが目的らしい。起源は不明。

ちなみに蹄鉄で調べると、現在の日本の競馬では、蹄鉄をつけていない馬は走れない規則があるとでてきた。

おそらく、それぐらい蹄鉄は大事なものなのであろう。


拍車はくしゃ

馬術において脚扶助による騎手から馬への推進の合図(扶助)を強化する、副扶助のための道具である。

乗馬する靴のかかとの部分に装着する。馬に苦痛を与えるための懲罰の道具ではない。

乗馬用の靴(多くは長靴)には、かかとの上に拍車置きと呼ばれる突起があり、細いベルトで固定される。

※西部劇だと、ガンマンのブーツのかかとに付いた、ギザギザの輪っか。ウエスタン式の輪拍と呼ばれる。


・11世紀後半頃

有力な戦力として、戦闘の主役となるに至ったらしい。

封建制の成立期には、領主と主従関係を結び、主君のために軍役などの奉仕を行う人々が出現した。

騎士は有力者に軍事奉仕をする見返りに授与される、特別な身分を意味するようになる。


●金の拍車

中世ヨーロッパでは、剣と共に、騎士の象徴。

騎士となる若者には、騎士叙任式の際に授けられていた。


なお、「金拍車の戦い」は史実。

1302年7月11日にベルギーのコルトレイクにおいて、フランドルの都市連合軍がフランス軍を破った戦い。

市民中心の歩兵軍が、初めて重装騎兵である騎士軍を破った戦いとして知られている。

戦場に騎士の象徴とされた金拍車が多く残されたため、この名がついた。

ベルギーでは、フランドルの独立を守った戦いとして記憶されており、祝日となっている。




【騎士になる方法】


●小姓 pageペイジ

騎士の城や屋敷に仕える、7、8歳から10代半ばくらいまでの少年のことをさす。

7歳頃から小姓となり、主君の下に仕え、使い走りなどの仕事をする一方で、騎士として必要な初歩的技術を学んだ。


大部分は貴族や荘園主の子弟。

王の宮廷をはじめ、生家より家柄が上の貴族に奉公して、使い走りを務めたり、家庭内の仕事をまかされたりする。

将来の騎士にふさわしくなるため、馬及び武器の扱い方やテーブルマナー、また、チェスの遊び方などを教えられた。


ただし、すべての子供が騎士になるわけではなく、聖職者になったものもいる。


●従騎士 esquireエスクワイアまたはsquireスクワイア

小姓が14歳くらいになると、今度は従騎士となる。見習い騎士は、銀の拍車を付ける。

主人である先輩騎士について、身の回りの世話を担当するようになり、戦場で補佐役を務めた。

戦場へ甲冑や武器の持ち運びや修理も担当し、戦いの際に主人に甲冑を着せ、実際の戦闘にも参加するようになる。


●騎士の叙任

17歳から20歳前後で、一人前の騎士と認められ、叙任を受ける。

叙任は、主人の宮廷や屋敷で、多くの人々が見守る中、華やかに行われることが多かったが、中には、戦場で叙任される者もいた。


叙任の儀式は基本的には、主君の前に跪いて頭を垂れる騎士見習いの肩を、主君が長剣の平で叩くというものらしい。


※以下、色々な説明書きが、ネット上に点在していたので、適当に抜き出したもの。


鎧を身につけた騎士見習いは自分の剣を鞘から抜き出し、主君(叙任者)に預ける。

主君は剣を受け取り、跪いた騎士見習いの肩に剣の刃を置く。

または、肩、または首を剣のみねで三度軽く打つ刀礼を行う。


主君は、騎士叙任の宣言と騎士に与えられる誓いの文句を唱える。

それを唱え終わると、主君は騎士となる者に向かって剣を向ける。

騎士となる者は向けられた剣の刃に口づけをする。


または、主君は肩においた剣を従騎士に与えてから、叙任する言葉を呟く。

そして従騎士が騎士道の誓いを唱える。


******



 深い森の奥から、人間の世界に出てきたエルフ。冒険者となり、フォーサイス王国の王都に住み着く。

 数は少ないが、友人に恵まれ、日常生活を過ごしていた。


 今日は、王国の祝日。エルフは、剣士の家に遊びに来ていた。

 作家を目指すエルフには、憧れの英雄がいる。青の英雄の直系の子孫は、笑顔で出迎えてくれた。


「ユーイン君、約束通り、遊びに来たわよ♪」

「いらっしゃい、リリー。今日は、さすがに迷わな……」

「よう、ユーイン。お茶会をするんだって? 僕も混ぜろ」

「にゃ。リリー嬢が我が家に来たので、保護して連れてきました」

「えっと……俺の家は、東区だよ。なんで、西区の外れのクリスの家に着くわけ?」

「青の英雄について考えて歩いてたら、いつもの癖で、子猫ちゃんちに着いちゃったのよ」

「二日に一度はケガをして、私の診察を受けに来ますからね。

リリー嬢は女性なのに、無茶し過ぎです」

「だって、町の外に出ないと生活費が稼げないんですもの!

子猫ちゃんなら、傷跡残さずに治してくれるから、安心して診てもらえるしね」

「にゃ……診察費が生活費を圧迫したら、本末転倒です」

「とか言いつつ、子猫ちゃんはおまけしてくれるのよね♪」

「あっそう。ノアは、なんで来たわけ?」

「僕は仕事帰りに、二人に出会った。あんたの家でお茶会をするって言うから、ついてきた」

「子猫ちゃんの入れてくれるお茶って、美味しいのよね♪」

「にゃ、来る途中で、おやつも買いました♪

これは、ユーインの家へのお土産です」

「はぁ……仕方ないな。分かったよ。三人とも入って。

あ、お土産は、ありがとう」


 魔法医師の猫娘が、一緒にやって来た。冒険者のエルフは、行き慣れた子猫の家に到着してしまったらしい。

 猫娘の家から剣士の家への道中では、鍛冶屋に遭遇。

 剣士はため息をつきながら、お気楽な三人組を応接間に通した。


 猫娘が薬草茶を、準備する。しばらく時間が、かかりそうだ。

 応接間を見物していたエルフと鍛冶屋は、壁際に飾られた、立派な全身鎧にひかれた。


「ほう。こいつは、装飾用の鎧か。この金細工の模様は、三百年前くらいの業物だな」

「えー、ノアは、作られた年代まで分かるの?」

「当然だろ。僕は金細工の国宝職人の弟子だぞ。勉強くらいしている」

「確か……ユーイン君の家は、帯剣貴族なのよね?

この前、子猫ちゃんのお兄さんから、教えて貰ったわ」

「アンディから? じゃあ、うちとアンディの家がどう違うか、分かってる?」

「子猫ちゃんは文官の法服貴族で、男爵家。

ユーイン君は武官の帯剣貴族で、侯爵家よね」

「にゃー、五爵位の貴族階級は、どう違いますか?」

「男爵家が五番目で、侯爵家が二番目に偉かったはずよ」

「にゃ、正解です♪」


 忙しい冒険者生活の合間に、勉強した甲斐がある。エルフは王国の貴族について、少しずつ覚えてきていた。


「今日は、騎士について教えてちょうだい!

ユーイン君は、騎士なんでしょう?」

「あー、俺は、まだ見習いだから。

うちの国では、十五才のときに王国に忠誠を誓う『忠誠の儀』って言うのがあるんだ。

忠誠の儀で銀の装飾のされた盾を授かり、騎士見習いって、肩書きがもらえるんだよ。

俺は青の英雄の子孫だから、特別扱いされて、銀の盾の他にも、家宝の聖剣を授かったんだけどさ」

「あら、まだ騎士じゃないの?」

「うん。騎士は国王陛下から叙任される『叙任の儀』を経てからだね。

叙任の儀で、金の装飾のついた剣を授かって、やっと一人前になれるんだ」

「その金銀細工や武具を作るのが、僕の親方の仕事だな」


 騎士になるためには、段階がある。いきなり騎士になれるわけではない。

 フォーサイス王国では、騎士の叙任の儀式のとき、金の装飾のついた剣を授かって、ようやく一人前の騎士と認められる。

 剣士は、まだ半人前。見習い騎士になるための、忠誠の儀式を済ませただけだ。


「なんで、騎士見習いは銀の盾で、騎士が金の剣なのかしら?」

「えっと、由来は色々あるんだけどさ。

一つは、俺の国では、忠誠の儀は、国を守る兵士になりますって、国王陛下に誓う儀式なんだ。

国を守るから、防具の盾なわけ。盾は持ち上げれば、未熟者でも扱えるって言うのが理由らしいね」

「あら、剣は違うの?」

「うん。剣は攻撃する武器、人を傷つける危険な道具なわけ。

正しく扱うには、肉体的な技量と、精神的な強さが必要だからね。

心身ともに成熟し、危険な道具を正しく扱える人物って、認められた証なんだよ」

「おい、別の由来もあるのか?」

「金と銀なのは、なんでかしら?」

「えっと……なんだっけ?

なんか、古き王家がどうとかって、習った気がするんだけどさ。

この辺りは、クリスの方が詳しいよね?」

「にゃ……ユーインは勉強不足です。王家に仕える騎士の家柄なんですから、きちんと覚えてください!」


 軍事学校の生徒であるはずの剣士は、鍛冶屋とエルフの質問にくちごもる。

 古き王家の血を引く家柄の幼馴染に、丸投げした。

 猫娘は猫しっぽを逆立て、軽く怒りながらも説明する。


「にゃ、金銀の由来の一つは、フォーサイス王国建国の言い伝えが元です。

前に私の血筋は、獣人の族長の息子と、人間の王家の姫との間に生まれた子供が始祖だと、説明しましたよね」

「ええ、白の聖獣様の導きで、獣人と人間を和解させた白猫君よね?」

「はい。当時の人間の王は、金の髪と瞳を持っていました。

対する獣人の族長は、銀の髪と瞳、耳としっぽを持つ猫でした。

ゆえに、フォーサイス王国では、金と銀が、人間と獣人を象徴する色とされ、大事にされるのです。

ちなみに、我が家が代々白猫なのは、ご先祖さまが白の聖獣の加護を受けた名残だと、言い伝えられています」

「ふーん。そうなのか」


 白猫耳をピコピコ動かす猫娘を見て、鍛冶屋は軽く頷く。エルフは、わき上がった疑問を、猫娘にぶつけてみた。


「銀の盾が先で、金の剣が後なのは、なぜかしら?」

「これは、青の英雄の時代からできた習慣ですね。

さあ、ユーイン、出番ですよ!」

「なんで、俺が? クリスのご先祖が絡むんだから、君が説明したら良いでしょう」

「にゃー、何言ってるんです! あなたは、青の英雄の子孫ですよね」

「そう言うクリスは、祈りの巫女姫の子供の子孫でしょう」

「にゃ……もしかして、ユーインは、自分のご先祖さまの事を知らないんですか?」

「それぐらい、知ってるよ!」

「じゃあ、リリー嬢に説明してあげてください」


 口達者な猫娘は、会話の主導権を握っていた。さっき説明を丸投げされた恨みを、密かに幼馴染にぶつける。

 膨らんだ猫しっぽを元に戻し、強い口調で命令した。

 やり込められた剣士は、右手で黒髪をかきながら、説明を始める。


「えっと、巫女姫のこと、どれくらい知ってる?」

「フォーサイス王国のお姫様よね。お母さんがそう言ってたわ」

「正確には、クリスの一族出身の母を持つ、白猫獣人の王女だよ。

巫女姫は、フォーサイス王国が侵略されたとき、隣の獣人王国へ訪問していて難を逃れたんだ」

「侵略のとき、フォーサイス王国の王家の血筋は、王家も貴族も、全て消されたのよね」

「にゃ。巫女姫の母の血筋の男爵家、つまり私のご先祖さまも犠牲者です。

巫女姫が生き残っていなければ、我が家は再興できませんでした」

「それ、今でも謎なんだよね。

当時のクリスの一族は王家の分家扱いで、血筋を守るために辺境の領地に暮らしてたのにさ。

隣接する獣人王国に、逃げなかったんでしょう?」

「にゃ、青の英雄物語の謎の一つですね。

祈りの巫女姫にも、理由が不明だったと、伝えられています」


 猫娘と剣士は、自然と顔を見合わせる。五百年経っても、解けない謎。

 王家の分家が、目と鼻の先にある、安全な隣国に逃げなかった。

 故に、王家の血筋は途絶えかけた。

 思わぬところから、答えがもたらされる。沈黙していたエルフだ。


「……たぶん、黒い軍人のせいよ、侵略の指揮をとっていた黒い軍人は魔物だったから。

結界魔法で王国を閉鎖してしまい、内部の人は逃げられなかったんじゃないかしら?

決戦の時に、取り巻く結界を破るのが本当に大変だったって、お母さんから聞いたことあるの」

「おい、南の帝国には、魔物の群れを操れる存在が二人居なかったか?

王立図書館で読んだ本に、書いてあったぞ」

「うん。フォーサイス王国を攻めた黒い軍人と、皇帝妃に収まって帝国を乗っ取った赤い魔女だね。

フォーサイス王国を滅ぼした黒い軍人は、次に獣人王国を狙ったんだ」

「にゃ。だから、巫女姫は獣人王国の後押しを受け、祖国奪還と、南の帝国打倒を唱えたのです」

「呼応したのが、獣人王国内に来ていた、フォーサイス王国出身の冒険者たち。その中に、俺のご先祖さまが居たんだよ」

「仲間のために戦うって、あたしの両親も手伝ったのよね」

「おい、ちょっと待ってくれ。僕が理解するまで、待ってろ」


 東方生まれの鍛冶屋は、西の方で起こった、五百年前の壮大な戦いを頭のなかでまとめる。

 物語自体は聞いたことあったが、事実関係がややこしい。


 まず、人の形をした二人の魔物が、南の帝国を乗っ取った。

 一人が北に侵略をかけて、王国が一つ滅ぶ。

 猫娘のご先祖は、滅亡した王国で、唯一生き残った王女。

 王女は、祖国奪還と帝国打倒を掲げた。

 剣士のご先祖の冒険者は、王女に従い、故郷を救うために戦う。

 エルフの両親は、親友の冒険者のために、共闘してくれた。

 このときの長い戦いが、『青の英雄物語』として、現在に伝わると。


「……理解するまでが、長かったぞ。それで、騎士の金と銀の話と、どう繋がるんだ?」

「巫女姫は、獣人の特徴の銀の髪と瞳を持ってたんだ。

だから、当時の戦いで、青の英雄は銀の盾を掲げて戦ったんだよ。

これが、銀の盾のもう一つの由来だね。

それから、金の剣の由来は、リリーの両親なんだ」

「あたしのお父さんとお母さん?」

「うん。二人は、青の英雄の仲間だよね」

「でも、お父さんとお母さんは、剣を持ってないわよ? 弓使いと魔法使いですもの」

「えっと、両親から聞いたことないかな?

青の英雄が、墓には金の剣を入れて欲しいって、遺言したんだよ。

『我が剣は、生涯、金の絆と共にあった。

エルフの親友たちや、再興したフォーサイス王国の王家の色と共に。

我が肉体が世界の理に戻ろうとも、金の絆は永遠に消えぬ』ってね」

「それ、英雄物語の『黄金の絆』じゃない!

お父さんとお母さんが、いつも泣きながら、話してくれたわよ。

どうして、あたしったら、気付かなかったのかしら!

ユーイン君、青の英雄は、他にも何か言ってなかった?

なんでもいいから、教えてちょうだい!」

「えっと、……あ、日記の写しがあったと思う。父様に聞いてみようか?」

「ぜひ、お願い!」


 時代を越えて、両親の絆を知り、エルフは感動に震える。更なる資料を求めて、剣士に詰め寄った。

 英雄の日記の写しがあることを、思い出した剣士。二つ返事で、日記を探しに応接間から出ていく。

 部屋に残された三人は、雑談をはじめた。


「にゃ。リリー嬢のご両親の話でしたら、うちにもいくつか残されてますよ」

「ほう、どんな風に?」

「私が一番好きなのは、祈りの巫女姫と緋色の皇子の婚礼のときに、母君が花を降らす魔法で祝福した話とか。

青の英雄が故郷の幼馴染と婚礼するときは、空に虹を描いた話です」

「あの幻影の魔法ね。あたしも使えるわよ、今度見せてあげるわ。

二つとも、外でやる方が綺麗に見えるのよ」

「にゃ、楽しみです♪」

「おい、親父さんの話は、残ってないのか?」

「にゃー、我が家に伝わる寝物語で良いですかね。

『前に一矢放てば、大地の魔物を蹴散らし、一筋の道を作る。

空に一矢放てば、暗雲を切り裂き、太陽の光を導き寄せる。

友が作った天の光指す道を、青の英雄は駆け抜けた』と言うものです」

「それは、なんかの戦いの場面か?」

「はい。青の英雄がエルフの協力で魔物の群れを割り、黒い軍人に近づく場面だと、祖母が言っていました」

「……まあ、短いのに、情景が目に浮かぶようね。さすが、お父さんだわ」


 作家志望のエルフは、目を閉じた。エルフの森の奥で隠居している、すばらしい両親を思い出しながら。


「にゃ、リリー嬢?」

「クリス、そっとしておけ。リリーにとっては、両親が英雄なんだ。

あんたにとっての祈りの巫女姫や、ユーインにとっての青の英雄のようにな」

「にゃ、了解しました。薬草茶が煮出せましたので、飲みます?」

「ああ、もらう」


 鍛冶屋の慈愛の眼差しに、猫しっぽを揺らし、楽しげにお茶くみをする猫娘。

 祈りの巫女姫の時代から伝わる、男爵家伝統の配合の薬草茶だった。




予約投稿に、初挑戦。無事に掲載される事を願って。

(そして予約投稿完了! 誤字見つけて、修正しました……)


ふんわりまとめの情報源は、wiなんとか。

英語文は、翻訳機能で斜め読みしています。


●短編裏設定

エルフ書房世界観のフォーサイス王国では、騎士になるためには、髪か瞳が青い人物が最適とされる。

五百年前に活躍した聖騎士、青い髪と青い瞳だった、「青の英雄」の影響。

青の英雄の直系の子孫ながら、黒髪と黒い瞳を生まれ持つ剣士は、かなり苦労しています。


短編は、騎士の象徴である、剣と金の拍車が元ネタでした。

それゆえに鍛冶屋は金繋がりで、金細工師が元ネタに。ゴールドスミス(金細工鍛冶師の意味)の姓を持っています。


2017年6月3日 構成変更。


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