2話 お勉強 ~帝国と王国と公国の違い~
ふんわりまとめ、随時加筆中。
【ふんわりまとめ】
●帝国編
・皇帝、帝国
諸王の王、または王の中の王を、皇帝と言う。
「女帝」は女性の皇帝のこと。
皇帝はいくつもの異民族を包括する、普遍的な国家の首長。
皇帝の下で諸侯・諸侯王(臣民公爵含む ※後述)が「国」を治めた。
「帝国」とは、皇帝が統治する国家を指す。
・皇族
皇族は、皇帝の親族のうち、男系の嫡出の血族(既婚の女子を除く)、及び、その配偶者の総称。
太上皇帝は、皇帝を退き存命中の皇帝のこと。上皇とも言う。
皇帝(天皇)の配偶者は「皇后」「皇妃」という。
太皇太后は、先々代の帝王の正妻(皇后)もしくは、当代の帝王の祖母に対して用いる尊称。
皇太后は、先代の天皇・皇帝の皇后のこと。
皇太子は、帝位継承の第一順位にある皇子を指す称号。日本では、他国の女性の第一順位者も、「皇太子」と呼ぶようになってきている。
女帝の配偶者を「皇配」あるいは「皇婿」という。
・大帝
立派な治績を残した、偉大な皇帝を指す称号。
●王国編
・国王、王国
国の君主(国王)を指し、その君主号である。
また、特定の領土を持たずとも、ある部族や種族の長たる者を王と呼ぶ。
よって、皇帝が居る国では身分上は、皇帝より下となることが多い。
「女王」は、女性の国王のこと。
・王族
定義は、皇族と呼び名が変わるだけで同じようなので、割愛。
女王の配偶者は王配や王婿と呼ばれる。
王妃は、王の正妃(第一夫人)のこと。
先代の王は、先王。東では太上王とも、呼ばれた。
太王太后は、先々代の王の正妻もしくは、当代の王の祖母に対して用いる尊称。
王太后は、先代のお国王の皇后のこと。
王太子は、王位継承の第一順位の王子。日本では、王女の場合も王太子と呼ぶ様子。
・大王
大帝と同様に、偉大なる王を指す照合。
●公国編
・大公
王の下、公爵の上に位置する地位。
王族の王以外のものや、分家の長が称することが多い。
諸侯と呼ばれることもあり、主君である国王や皇帝の権威の範囲内で、一定の領域を支配することを許された臣下である貴族のことである。
跡継ぎは、公世子、又は大公世子と呼ばれる。
※~太子は王族や皇族の後継ぎ、世子は貴族の後継ぎ。
・大公国
大公が君主となる国。大公爵とも呼ばれる。
・二種類の公
王族公爵
「第一人者、君主」を意味するprince
本来の意味は独立した領邦をもつ君主のことであった。
国王と名乗ることまでは承認されないが、実質的に君主と見なされる貴族が、名乗りだしたらしい。
臣民公爵
「指導者、指揮官」を意味するduke
とある帝国の帝政後期に属州での独自指揮権を持つ公職とされた。
またそうした流れから、帝国近辺の部族と手を結ぶ際、その部族の長に与えられる事も多かった様子。
*****
深い森の奥から、人間の世界に出てきたエルフ。
冒険者家業を始めたが、まだまだ知らないことの方が多い。
冒険者ギルドの武具販売店で、数少ない友人を見つけた。
「ねえ、ねえ、王様って言葉、知ってる?」
「国王のことだろ? 僕だって、それぐらい知ってるぞ。
弓を貸せ。いつもの通り、弦の張り直しでいいな?」
武具店の片隅で、簡易手入れ所の当番をしていた、新人鍛冶屋。
エルフのかかりつけ鍛冶師で、数少ない友人だ。
「まぁ、よく知ってるわね。ノア君も、この国の人間じゃないのに。
教えてあげようと思っていたのに、残念だわ」
鍛冶屋の問いかけに頷く、エルフ。背負っていた愛用の弓を下ろしながら、口調は悔しがる。
弓を受け取ろうと、手を伸ばした鍛冶屋の動きが止まった。青い瞳に、警戒の感情が浮かぶ。
「……おい、リリー。どうして僕がこの国の者じゃないって、知っているんだ?」
「だって、鍛冶をするのは、普通ドワーフでしょう。
でも、ノア君はひげ面でも、背が低いわけでもないから、ドワーフの可能性は消えるわ」
武具店の精算所を担当するドワーフを指さしながら、会話を続けた。
「たぶん、東方出身じゃないかしら?
私の両親が言っていたのよ。
青の英雄の武具を作ったのは、青い瞳と青い髪の人物で、東方の出身者だったって」
「……おい、根拠はなんだ? 外見が似てるだけで、決めつけないでくれ」
「だって、青色は白色の反属性じゃない。
白色の世界の理は、鉱物……金属を司るのよ?
鍛冶師は相性のいい、白や銀の髪や瞳を持った人が、なることが多いわ。ドワーフですらね。
それなのに、反属性である青の髪と瞳を持つノア君は、鍛冶師になってるんですもの。
一族の決まりか何かで、修行中なんじゃないかしら?」
「……くそっ! あんたが青の英雄の仲間の子孫だってこと、失念していた」
世間知らずの言動から、アホの子認定されやすいエルフ。
しかし、冒険者をするだけあって、野生の勘や観察力はある。冷静に、的確に言い当てた。
鍛冶屋は、右手で自分の顔を覆った。しばらく押し黙っていたが、ついに観念する。
「……あんたには、負けたよ。確かに、僕は東方の出身だ。
そして、青の英雄の装備を作ったのは、僕の一族の者に間違いない」
「まぁ、やっぱり当たっていたのね♪
きっと、ご先祖様の作った業物を見るために、ノア君は西に来たのよ。
いつか、青の英雄の装備を超えるものを、作るために!」
「……もう、好きにしてくれ。それから、弓を貸せ。
僕が直したら、さっさと帰ってくれ」
将来の作家を目指すだけあり、想像力を爆発させるエルフ。
右手を顔から外した鍛冶屋は、エルフの弓をひったくった。
背中を向けると、緩んだ弦に手をかける。不機嫌そうに、修理し始めた。
「ねぇ、ノア君、ノア君」
「うるさい、気が散る」
「ノア君、聞いてる?」
「黙ってくれ」
「ノア君、ノア君ってば、話を聞いてちょうだい!」
「ああ、もうなんだ。手短に話せ!」
エルフは鍛冶屋の背中に、呼びかける。何度も、何度も。
集中できない鍛冶屋は根負けし、ついに振り返った。
「ノア君は旅をして、この国に来たんでしょう?
帝国って、知ってる?」
「帝国? 滅んだ南の帝国のことか?」
「帝国って、なあに? 滅ぶの? 不思議な言葉ね」
「……あんた、世間知らずのくせに、どこでそんな言葉を知ったんだ?
僕には、そっちの方が不思議でたまらない」
「この前、図書館で借りた本に出てきた単語よ。
お父さんたちも知ってたけど、今と昔では意味が違うかもしれないから、ちゃんと調べなさいって言われてたの。
調べたけど、よく分からなかったわ」
「王立図書館か? なら、僕の教える本を借りて読め。
僕がこの国に来た時に、勉強した本の一つだ。
弓の手入れをしたら教えてやるから、黙って、大人しく待ってろ」
「わかったわ。早く直してね♪」
エルフよりも、王国に住む期間が長い鍛冶屋。
好奇心旺盛なエルフを大人しくさせながら、修理作業に戻る。
故郷に置いてきた、聞き分けのない妹を思い出し、ため息をついた。
調べた情報源はwiなんとかなので、本当にふんわりのまとめ。
本格的に辞典を引いてないので、ふんわりの情報ですね。
●小説裏設定
鍛冶屋は、短編小説「僕も愛しい人と婚約を」の主人公。
最強婆さんの「結婚前に世界を知ってこい」の一言で、婚約者を残して、しばらく故郷を旅立つ羽目になりました。
長命な種族で、寿命は千年くらい。
ゆえに「青の英雄の装備」を作った族長爺さんは、存命中です。
爺さんが生きているうちに、爺さんの最高傑作(英雄の装備)を超えた武具を作りたいと、王国に流れ着きました。
2016年1月22日
女帝や女王の配偶者の呼び方について追記。
2017年5月29日
文章構成変更。