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1話 お勉強 〜陛下、殿下などの「下」のつく敬称について〜

なろうにきて最初に覚えた、王族とかの敬称について調べたもの。

※大幅に加筆修正しました。


後半は、エルフ書房世界の短編。

【ふんわりまとめ】


●「下」のつく敬称

極めて高い地位の者に対する敬称には、「下」という字が入る。

身分の低い者が、直接その地位の者を呼ぶのは、失礼に値するという考え方による。

高貴な人のいる一定の場所のそばにいる、取次ぎの人に間接的に呼びかけることで、敬意を表す敬称が発生した。

「下の取り次ぎの方を通して、貴方のことをお呼び致します」という意味がこめられている。


陛下へいか

漢字の意味は「階段の下」


・皇帝、王、后位(皇后・皇太后・太皇太后)の敬称。


※上記の考えをもとにすると、「階段の下の取り次ぎの方を通して、貴方のことをお呼び致します」という意味が、込められていることになる。


殿下でんか

漢字の意味は「宮殿・殿堂の下」


・皇太子以下、王族皇族や皇帝に臣従する国王に対する敬称。

訳語としては、欧州大陸の貴族や、その親族に対する敬称としても用いられる。


皇太子殿下こうたいしでんか

次期皇位継承者の第一順位にあたる、皇帝の男子のこと。

「~太子」の言葉自体が『いずれ~の地位を継ぐ「(男の)子」を意味する』。


日本においては、性別における称号の使い分けが行われず、男女とも皇太子と呼ばれる。

英語の場合、男性はCrown Prince、女性はCrown Princessとなる。


君主の地位が「王」である場合には「王太子おうたいし」。

大公・公・侯である場合、太子ではなく「世子せいし」を用いる。


妃殿下ひでんか

王族、皇族の男性の配偶者に用いられ、またはそれ自体が独立した呼称として用いられる。


※ただし、「妃殿下」自体が敬称ではなく、「『皇太子妃』殿下」、「『親王妃』殿下」、「『王妃』殿下」など「身位+敬称」の略である。


閣下かっか

漢字の意味は「高殿の下」


・身分や地位の高い人を敬って、その役職名の下に付けていう敬称。

貴族、大使などの高位の官職、軍の高官などに用いられ、またはそれ自体が独立した呼称として用いられる。


・現在では主に外交儀礼として、大臣や(他国の)将軍などの官名・職名につけられる。

また、イギリスなどの貴族の爵位に付して用いることがあり、公爵のみ「~閣下」となる。


※公爵以外の爵位、侯爵から男爵は「~卿」となる。


・軍では公式の規定だと将官までが「閣下」で、佐官から「殿」になる。

けれども、公式の場ではないときは、規定にこだわらず下士官を「閣下」とよんでも差し支えないらしい。


※下士官は、士官と兵との間に位置する下級幹部。

旧日本陸軍では曹長・軍曹・伍長ごちょう、旧日本海軍では上等兵曹・一等兵曹・二等兵曹などの総称。

自衛隊では陸曹・海曹・空曹がこれに相当するらしい。

軍については、後々詳しく調べていく予定なので、今回はメモのみ。



猊下げいか

漢字の意味は、「猊座(仏ないし高僧の座る座)の下」

師子座の下(=の側近の方)にまで、申し上げます。


主座の聖職者の敬称。使用例は、法王猊下。


・猊とは獅子(Lion)の別表記である。

仏陀の説法を師子吼(ししく。師子は獅子に同じ)、説法の座を師子座という。

また狻猊さんげいは龍の子(竜生九子)の内の獅子に似た一匹で、煙を好むため寺院の香炉の装飾の意匠にされ、転じて獅子座を「狻座」「猊座」とも言う。


※キリスト教→枢機卿などに用いる。

※仏教→教主、門主、門跡、管長、僧正などに対して用いる。


聖下せいか

正教会の総主教、カトリック教会のローマ教皇に対して用いる、新しい訳語らしい。



*****




 故郷は深い森の奥。大樹を崇める集落。

 本好きだったエルフは、とうとう人間の世界に足を踏み入れる。

 両親が五百年前にしていたと言う、冒険者を目指して。

 人間の世界は両親に聞いた事より複雑で、思ったよりも暮らしにくかった。

 暮らしにくい中でも、友人ができたのは、喜ぶべき事。


 金髪ポニーテールを振り乱し、エルフは机を叩く。

 人間の世界で初めてできた友人の一人は、白猫耳を伏せながら、冷静に対応しようとしていた。


「だから、王様と王子様の違いがわからないのよ!

発音が違うだけじゃない!」

「私は、さっきから、大違いだと教えているでしょう」

「あなたの説明が悪いのよ!

あたしに理解できるように、言ってちょうだい」

「……どこまで、説明レベルを落とせば、理解して頂けるんですか」


 白猫耳を伏せる猫耳娘は、なにも悪くない。

 完全に、金髪エルフの八つ当たりである。


「……先に、あなたの住まう土地の力関係を教えて下さい。

あなたの同族のエルフ限定でお願いします」

「力関係って、なあに?」

「にゃ……すみません、しばらく考える時間を下さい」

「分かったわ、早めにお願いね」


 猫娘のお願いに、剣幕を止めてあっけらかんと答えるエルフ。

 十才くらいの外見の猫娘、猫しっぽが垂れ下がる。十五才くらいの外見のエルフに背を向けた。

 両手でこめかみを押さえる。うつむき、独り言をつぶやき始めた。

 俗に言う、頭を抱えた状態である。


 待つこと五分、猫娘の猫耳がピンっと立った。エルフに向き直る。


「あなたの所に、族長か地域のまとめ役をしている方は居ますか?」

「ええ、居るわよ。長様は故郷の皆をまとめているわ」

「お年はいくつですか? 長老か若長かで、こちらの説明内容が変わります」

「長老様は、八百才と少しだったと思うわ。

長様は、お父さんと似た年だから六百才くらいね」

「了解しました」


 猫娘は、頭の中で自分なりに翻訳中。

 エルフ族の寿命は、人間や獣人の十倍あるらしい。約千年と聞く。

 本好きエルフの年齢は、百五十と少し。人間換算なら、十五才頃。

 長老や長は、八十才と六十才くらいか。


「あなたの故郷を、我が国に例えましょう。

長さまが国王陛下ですね、長さまの奥さんが国王妃陛下。

長老が先代の国王陛下に近いでしょうか。

長さまの跡継ぎが、王太子殿下です」


 猫娘、頑張った。エルフに分かりやすいように、噛み砕いて教える。


 エルフの長老が、先代の国王。現在の長が、現在の国王。

 長の跡継ぎが、王太子殿下だ。だいたい、合っているだろう。


 エルフは、微妙に納得しかけ、思いとどまる。難しい顔で、質問してきた。


「へいかとでんかって、なあに?」

「敬称ですね。長老さまの『〜さま』に当たる部分と考えたら、あなたも理解できる気がします」

「長様の『様』ね。それなら分かるわ。

どうして、ちがう発音なの?」

「違う理由は、私には分かりません。昔からの決め事のようなので。

とにかく、国王とその伴侶を陛下、そして、過去に国王を勤めた夫妻も、陛下とつけるようです」

「まあ、昔からの決め事なの」

「さっきの『様』と同じ考えで……殿下は、陛下以外の王族などにつけるようです。

長老の家族や、親戚の呼び方と考えれば、なんとかなるんじゃないですかね。

間違えているとわかれば、その都度、自分の中で修正してください」

「長老様の家族や、親戚ね。覚えたわ♪」


 猫娘、無責任に言い放つ。

 陛下は現在や過去の国王夫妻、殿下は陛下以外の家族や親戚の敬称。

 たぶん、間違ってない。エルフにも理解できるように、レベルを引き下げたのが原因だし。


「では敬称で余談になりますが。

あなたの故郷では、大樹を崇めるとおっしゃっていましたが、専属でなさる方は?」

「専属って、なあに?」

「にゃ……長老や長以外で、代表役でお祈りするような人です」

「ああ、猊下ね。祈りの巫女様や神官様のことでしょう」

「……猊下と言う言葉を知っているとは、驚きですね。

エルフにも、神官や巫女が居るんですか?」

「そうよ、私の両親が皆に教えたの。人間界の常識だって。

お祈りする人は、なんとか猊下って呼ぶらしいわね」

「にゃ……間違ってないけど、ちょっと違う気がします。

神官の中でも、位が高い方につける敬称だったかと。

あなたの言う、長さまとかと同等の敬意を集める役職につけるはずです……たぶん」


 人間は、高位の神官を、『なんとか猊下』と呼ぶはず。

 猫娘も自信がない。普段、猊下なんて、呼ばないし。

 多少間違っても、気にしない。ふんわり知っておけば、なんとかなるだろう。


「じゃあ、私の両親は、なんて呼ばれてたのかしら?

お父さんは弓で魔物と戦ってたわ。

お母さんも戦うけど、お父さんと違って魔法だから、作戦を立てたりしたって言ってたの」

「さすが、五百年前の青の英雄の仲間として、我が王国で伝説になるだけありますね」

「ええ、凄いでしょう♪」


 子供っぽく、胸を張るエルフ。しっかり頷き返す猫娘は、大人びて見える。

 成長が遅く外見が十才くらいでも、猫娘の実年齢は十二才だ。

 おそらく、エルフの精神年齢が低いのだろう。


「その凄い方々の役職名称でしたら、我が国では最前線で戦う者は、騎士とか兵士になります。

母君のような作戦の立案者は、参謀や軍師と呼ばれる事が、多いようですね」

「あたしのお父さんはなんて呼ばれるの?」

「にゃ、……難しいですね。

現場で指揮する、一番偉い立場でしたら、将軍になるかと。

騎士団長は、将軍たちをまとめる役職……戦う方々の中で一番お偉い感じですかね」

「まあ、お父さんは、皆をまとめるから、団長なのね。

お父さんって、お母さんの言うように凄ったんだわ」

「敬称としましては、閣下ではないでしょうか。

自分より目上の方につける呼び方になります。

将軍閣下みたいに」

「かっかね……人間の世界の敬称って、たくさんあるのね」


 またもや、ふんわりまとめる猫娘。

 騎士を目指す幼馴染の剣士なら、もっと詳しく知っているだろうが。

 人間の世界に疎いエルフ、あっさり納得する。

 そのうち、はっきりした事を覚えるだろう。



自分のための資料集作成と、小説の練習を兼ねて、書き始めました。

情報源は、WIなんとか。ネットをさまよって、あちこちから拾ってきました。

だから、間違っている情報もあるかも。


でもふんわりだから、気にしない♪

自分がなんとなく分かれば、大丈夫なはず。


2016年10月27日 誤字脱字修正。

投稿してから、気が付きました……。

連載小説だと、修正日時が投稿日の後ろに載る様子。


2016年12月21日

ふんわりまとめ、大幅に加筆修正。


2017年5月29日

文章構成、変更。皇太子について加筆。

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