6話
私の父様と母様は国の重要人物。国王と国妃だった。父様と母様が使用人たちに殺されて、お城という家も燃えて、何もかもなくなってしまった。そして、他の国は国主のいない不安定な国を攻め入る。
国主のいない国は衰退し続け、遂にはクレアシオンという国は滅びた。地図上から無くなった訳ではない。クレアシオンという名の国が無くなっただけだ。
攻め入った国のプラウシィード国の領土となったために……。
生まれ育った国はこれから面影もなくなってしまうのだろうか。国主が変われば、政策も変わる。全ては国主のやり方次第。国が衰退するか、発展するか。
突然の国王の死で貴族たちは慌てながらも急いで会議の場を設けた。国を治るのに王を決めようとした。
しかし、私という存在も死んでいるためにその場凌ぎの変わりも中々決まらず、遠い血縁の中から選ぼうにも王になれる存在が十人はいた。
それらの親や子どもたちが王になろうと醜い争いをしていたために、年月が経って、国が弱体化し、攻められてしまった。
国の宰相や重要な役職に就く者たちが生き残っていたら、国がなくなることはなかったのだろうか。
あの日のことを私は忘れることはない。絶対に使用人たちを探し出す。そして、できることなら……。
国が奪われたことを聞いたのは、悪魔と契約して一年と二ヶ月くらいのとき。よくそこまで持ったとセツは言った。
国を取り仕切るものもいない。頭が切れるものもそこにはいなかったというのに、よくそこまで持ったよなっと……。
軽く言った。その時の私はなんとなくしか分からなかったけれど、今なら分かる。
国を守るのに他の国の情報を取り入れて指揮できる人も国を守ろうと純粋に思う人もいなかったことが……。
王座に就くことばかり考えたものたちの争いが国を弱体化させて、疲弊した国を取られたんだ。終わっていたんだよ。父様と母様、私たちの味方の方々。宰相や騎士の団長などが国にとって必要な人たちが罠に嵌められ殺されちゃった時に、私の生まれ育った国は終わってしまった。
ただ、それだけのこと。
私は悪魔のセツについていくのみだ。そして、あわよくばあの人たちがどうしてあんなことをしたのかを知る。
私が我儘ばかりだったと言った使用人。確かに私は、欲しい物を欲しいと言えば貰えた。だが、自重はしてたし、なんでもなんて言っても、貰えなかったものもある。
例えば、王座とか……。これは、例え話で実際に欲しいなんて口に出したことはない。しかし、父様に欲しいと声を発したところで絶対貰えなかったと思う。
父様と母様ができる中のなんでもだ。国のことも考え、国民のことも考えたなんでも。だから、私が我儘を言ったとしてもダメだったら、駄目だと言ったはず。
溺愛はされていたし、大切にもされていた。だからこそ、父様は時には厳しかった。なのに、あの使用人は私に我儘を言い過ぎるからと一時、私たちを殺す理由に使った。
本当の理由は父様への恨み、憎しみだったのに、我儘という理由を使って私を殺す理由は甘すぎる。だって、父様が時には厳しく私を叱っていたことは使用人たちは知っていることだ。
父様への恨みなら、父様に関わる人を殺しても可笑しくはない。それなのに、一時でも私という存在の駄目だったところの理由、危機感を使った。
使用人の代表者は家族や友人、土地を奪われたと言った。
国王だから汚い仕事をしなければいけない時もある。それに、使用人たちの身元は調べられていて、それなりの身分はあるはずだ。
何かが可笑しい。その何かはまだ分からない。
父様が調査した情報が今この場にあればわかったかもしれないのに……。
真実は先に伸ばされる。