20話
元人間が悪魔の子どもを生めるのは、契約した悪魔とだけ。
他の悪魔と元人間がある行為に及んでも子どもはできない。
力の親和性がどうとかこうとかいわれているが、実際は心の問題。心が通わない行為で悪魔の子どもは生まれないということである。また、人間を悪魔にした存在の影響を強く受けていて、契約を結んだものとのつながりが密なため、契約者以外の悪魔と契ったところで子どもは望めないという説もあった。
一方的な愛情で子どもは生まれない。
「狡猾な悪魔が求めるものとは、負の感情などではない。本当に悪魔が求めているものは、たった一つのものなのだ」と誰かが言った。それに対して、一人の者が「悪魔なのにおかしなことだ」と小さく笑った。
愛姫やユアとしての記憶を失ったシア。彼女はデレアスモスにお姫様のように扱われていた。
着替えもお風呂も移動でさえも、彼が手を出す始末。そして、彼は正常な判断をできないであろうシアに何度か手を出していた。
キスなどは日常化してきていた。また、両手で数えられる範囲であるが、ある行為も数回程度していた。
シアは心ここにあらずであった。何をしても心が満たされないのである。ただぼんやりとしている中でちらつく金色に対してはとても気になっていた。だから、金色について考えるけれど、それをわかっているからなのかいつも彼が私を呼ぶの。優しく甘い声で耳元で囁いてくる。
「我のことだけを考えていろ」
その一言に私は彼に強く惹かれて、彼のことだけで胸がいっぱいになるのよ。なぜなのかはわからないけれど、彼のことだけしか考えられなくなるの。でもね、時間が経つとまた金色がちらつく。この金色は何だろうか。私はその金色を知りたい。
デレアスモスは窓から外を覗いているシアの様子を見ていた。シアがいつも自分ではないものを考えているのは気づいていた。それが我より弱い姫君の契約者であることを知っている。だからこそ、我は焦っているのだ。姫君を我のものだけにしたいという欲求は膨れ上がるばかりだ。
姫君の身に流れる血には価値がある。しかし、それはいつの間にか関係なくなっていた。
姫君が傍にいることで、心が安らかになる。日常に色を付けてくれるのだ。名前を呼ばれるだけで、私は満足してしまう。この存在を手放してなるものか。
お願いだ。シアとしての偽りの自身を望み、我の方を振り向いてくれ。偽り続ければ、それも真実になるとどこかで聞いたことがある。そんな言い分こそ嘘のようなものであるが、我はそれを心から願ってしまうのだ。
記憶を消したのに、姫君はあれのことを考えている。思い出そうとしている。契約とは、ここまで強いつながりがあるものなのか。我のものにならないなら、殺してしまおうとさえ考えた。だが、いざ殺してやろうと手を動かすとそれができない。ピタッと動きが止まってしまうのである。
「どうしてだ」
「デレス、どうかしたの?」
デレスとはデレアスモスの愛称である。シアは彼を覗き込んで様子を伺う。
「なんでもない、シア」
次の瞬間、デレアスモスはシアの唇を勢いよく奪った。舌を絡めているので、聞いてはいけないような音が辺りに響く。
長いキスが終わり、煽情的なシアの表情を見たデレアスモス。彼はベッドにシアを運び、激しく彼女を暴いていった。




