白黒ドリーム
「実は、こないだ借りたペンを返しに行ったとき赤城君に告白されたの。それからね、たくさんメールとか電話とかきて困ってるの。それに、最近つけられてる気がして」
最初のうちはちゃんと話も聞いてあげてたけど、一日中来るから困ってる。
「そうか、それは大変だな。はっきり嫌だとか言った方がいいと思うぞ。それでもどうにもならなければまた考えるとして」いつもはふざけてるのにこういうときは頼りになる。
「うん。がんばるよ」
「危ねーし帰りは送ってくよ。大丈夫、愛美は俺が絶対に守るから」
私の手を包み込んで言う翼君。ドキッとした、こんなにかっこいい翼君は初めて。
「あ、ありがとう。翼君」
私はドキドキしながらお礼を言った。
憂鬱な通学路、私にとっては苦痛。
「愛美、テストどうだった?」
「まあいつもよりよかったと思うよ。それと、1位おめでとう」
「おう」
話しているうちに教室についてしまった、ああいやだ。
「はい皆注目ー。昨日告白して、俺たち付き合うことになりました。ってわけで、こいつにて出すなよ。」
これも作戦なのかな、恥ずかしい反面、ちょっと嬉しかった。絶望的な表情で見つめてくるマリちゃん、皆あっけに取られている。私は顔の体温が上がるのを感じた。
「また俺に嘘ついたね。黒崎なんか好きじゃないって言ってたくせに」
小声で呟く赤城君。私は何もいえなかった、でもこれで止むといいな。
「愛美。テスト終わったし打ち上げしよーぜ」
「うん。」
カラオケとか飲食店とか回るけどどこも開いてなかった
「じゃ、俺んち来る?親いるけど」
「えっ、うん」
平凡な家にそぐわず、翼君の部屋にはたくさんのトロフィーや賞状があった。
「すごいね。翼君は」
「おう。才能ってもんだよ」自慢げに言いながらも照れ笑いする翼君
「ごめんね。私につき合わせちゃって」
「いいんだよ?俺は本気でお前のこと好きだから。でも愛美も俺のことすきだったっぽいしいいよね。俺はさ、愛美だけいてくれればいいんだよ。嬉しい?もてる俺と付き合えて。一見不釣合いだよね、でも大丈夫。俺にはずっとお前しか見えてないから。ああ可愛いな、愛美。ふふふふ」
普段との違いにひるんでいると、不意にベッドに押し倒される。いきなりキスされた。初めての感触に私は動揺する。舌が絡んできて、息苦しくなったところで翼君は離れた。
「犯されると思った?冗談だよ、今は。それと、もし俺以外の奴と親しくなんかしたら。そいつのこと殺しちゃうかもね。今俺と別れてもあいつに付きまとわれるからやめたほうがいいよ。あとね、俺も連絡先消すからさ。ライン、一回消してくれるよね。お前が他の奴と何かを共有してるとか嫌だから」
「・・・うん。わかったよ」
いつもと変わらない飄々とした姿が、とても恐ろしく感じた。