陽だまりの君
「暗み、また余ったの?もう学校こなきゃいいのに」
クラス替えで一緒になったのはいじめっ子のマリちゃん。
「おう愛美、今誘おうと思ってたんだ。一緒に組もうぜ」
「翼君。うん、ありがとう」
私を無視しないのは幼馴染の二人だけ。不真面目だけどモテる生徒会長「黒崎 翼」と、名士の息子で読書家「赤城 海」。制服をだらしなく着崩していても、翼君はイケ面で魅力的だしもてるのはわかる。赤城君とは小学校のとき以来話してない、隣の席なのに。昔みたいにみんなで話したい。
「返して」私のシャーペンをとって笑うマリちゃん。最悪なことに翼君もいない、屋上ででもサボっているのだろう。
「なんか雑音が聞こえたような。あっ、居たんだくらみ。」
笑いが起こったところでチャイムが鳴る。返してもらえなかった、気乗りしないけど赤城君に借りることにした。
「ごめん、シャーペン貸して」
彼はこちらも見ずに無愛想に渡してきた、嫌われたかと思って悲しかった。
「愛美一緒に帰ろうぜ」
登下校は翼君と一緒にしている、テスト前だから近所のカフェで勉強することにした。
「で、ここはxって置いたからこれで答えが求まった。わかった?」
「うん、ありがとう。すごいよね、翼君も赤城君も二人でトップ争いじゃん」
「ま、俺が勝つけど。才能ってもんよ。愛美はもてないし駄目駄目だからなー、寂しく孤独死か!?」大げさに言っておどける翼君。私はそんな翼君が好きだけど
「ちょっとー、不吉なこというのやめてよ」あまりの言い草に少し腹を立てて抗議する
「冗談だよ。それに駄目駄目じゃない愛美とかかわいくないぜ?」突然のフォローに顔が熱くなるのを感じた。本当だよといって翼君は大きな手で私の頭をぐしゃぐしゃする。私は髪が乱れるからやめるよう言ったけど嬉しかった。
暗くなって帰っている途中、シャーペンを返し忘れていたことに気づいた。
「ごめん翼君。さき返ってて、シャーペン返さないとだから」
「アイツのとこ?」うなずくと、彼はふーんといって歩いていった
豪邸のチャイムを鳴らすと端正な顔のやつれた少年が出てくる。親が出るとばかり思っていたので面食らった
「あ、赤城君?今日借りてたの返しに来たの。学校だと嫌だろうし」
「あー。これくらいやるのに」そんなわけにいかないと言おうとする前に
「でもありがとう。まあ少し上がってけよ。なんか出すから」
「うん」私は成り行きのままあがることにした