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DOORs  作者: 日凪セツナ
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第三章 「Ⅱ」 星暦3014/9/15

 曇天の街を、シュナは走っていた。その顔は必死の形相に歪んでいて、束ねられた銀髪が横に流れている。夏の暑さがまだ残る空気の中、既に顔は上気し、額には大粒の汗が浮かんでいる。動きやすいレジスタンス支給の服は風通しは良いものの、それが余計に体を冷やして体力を奪って行った。

 シュナの息は既に荒い。目には涙すら浮かんでいた。腰に括られた大量のポーチが、一歩ごとに揺れて腰を痛めつける。左手の装置はツァールトがリストバンドを挟んでくれたので痛みはしないが、その重さが消えることは無い。シュナは足を止め、膝に手を遣って息を整えた。前髪から汗が滴り、目に入って酷く沁みる。

「……って、待てコラシュナぁ――――!」

 曲がり角から、ナイトが現れた。シュナは青い顔で走り出す。

「待てって言ってんだろうが!」

「いいい嫌だ! 待ちません! だって、」

 シュナは、悲鳴にも近い震え声で叫んだ。

「ナイトさんは鬼だから――――!」

 鬼ごっこである。



 中央広場の時計塔前には、ぐったりとしているアフティとフィリア、ツァールトが座っていた。その隣でソレダーが立ち上がり、シュナを引き摺ってきたナイトに手を振る。

「これであとは……サロスだけか」

「ナイトとソレダーの兄弟は駄目だったか……行動の連携が取れすぎる……」

 ツァールトは汗を拭きながら、大真面目な顔でメモをする。その横に放り出され、シュナは地面に倒れ込んだ。

「二人対五人で勝つとは……流石」

 アフティがツァールトに寄りかかった。ツァールトは苦笑して頭の汗を拭いてやる。フィリアがそこに乱入した。

「ズルい、僕もお願いします!」

「全く……いつまでも甘えん坊なんだから」

 それでもツァールトは、嫌そうな顔はせずに二人の頭を拭く。その光景は微笑ましくも在り、何処か寂しいものも在った。

「シュナ。どうかな、街の構造とかは覚えられた?」

「え? あ、まあ、少しは」

「なら良かった。サロスとナイトが戻ってくるまで、何か食べていようか」

 ツァールトは露店へと歩いて行った。残されたのは、十三歳のアフティと、十四歳のソレダー、フィリア、シュナの四人だ。

 アフティは相変わらず、何処か敵意の在る視線をシュナに向けてくる。が、ソレダーやフィリアは、ここ数日でシュナとはかなり打ち解けていた。

「僕と兄さんもさ、ツァールトさんに拾われたんだよ」

 ソレダーがそう言ってシュナに向き直った。

「へえ?」

「ツァールトさん、兄さんと一個しか違わないのに、凄く大人に見えるよね。頼れるお兄さんって感じでさ……此処だけの話、兄さん、もう少しで自警団に掴まるところだったんだ」

「ふーん、何か悪いことでもしたのか?」

「そりゃ、まあ……貧民街で生き抜くには、さ……」

 ソレダーが目を逸らす。シュナはそれ以上追及せず、アフティ達を見遣る。

「皆は?」

「僕は中央街出身。元々レジスタンス志望です。年齢的にアプサラスに回されたんですよ」

 フィリアはシュナに汗拭き用の布を差し出した。シュナは礼を言って受け取る。

「アフティは……」

「あんたには関係ない」

 アフティはそう言って顔を逸らした。余りにも不愛想なその様子に、シュナは眉宇を顰める。ソレダーが小さくアフティを咎めた。

「全く……ごめんねシュナ。アフティ、ちょっと威嚇してるだけだから」

「……うん……それより、ソレダーはナイトさんの手伝いに行かなくていいのか?」

「兄さん、サロスとはサシでやりたいって言ってたし……あの二人、文字通りの好敵手(ライバル)だから」

 ツァールトが戻って来る。両手に、湯気の立つ何かを持っていた。

 シュナは汗を吸った左手のリストバンドを外した。装置が手に触れ、ひやりとした感触が伝わって来る。ツァールトが四人の前にしゃがみ、持っていたものを差し出す。

「お腹空いただろう。お昼までの繋ぎだよ」

 ツァールトが差し出したのは、芋の揚げ団子だった。以前はそう高価なものではなかったが、食糧危機が迫る今では、貧民街出身では手の届かないような高級おやつである。

「い、良いんですか? 今、高いでしょう」

「食べるために買ってきたんだから。食べてよ」

 ツァールトはフィリアに苦笑を見せた。そして、先に一つ、自分が口に入れる。それを見て、少年達は次々と団子に手を伸ばした。シュナも、恐る恐る一つ頬張る。じゅわっ、と、揚げたての衣から油が染み出した。香ばしいそれをそっと噛み砕くと、申し訳程度に入れられている餡が甘い香りで口の中を満たす。

「シュナ、そんなに美味しかった? 何か見たこともないような幸せそうな顔してるけど」

「ふえっ!?」

 シュナは慌てて意識を現実に戻す。ツァールトがシュナの前にしゃがんで苦笑していた。

「ツァールトさんって、結構いいとこの坊ちゃんじゃないですか?」

 フィリアが二個目の団子を口に入れる。ツァールトは小さく笑った。

「昔の話だよ。今の僕は、アプサラスのリーダーだ」

「ふーん……」

 ツァールトはフィリアの頭を撫でる。フィリアはにっこりと笑った。

 間も無く、曲がり角からナイトが現れる。ナイトは左腕に、ぐったりとしたサロスを抱えていた。

「鬼の完全勝利か、参ったな」

 ツァールトは立ち上がり、ナイトに手を振る。ナイトは目を回しているサロスを放り出し、満足げににやりと笑った。

「俺達の勝ちだな、ツァールト」

「はいはい、参ったよ……さ、次の訓練だ、帰ろう」

「「ええっ!?」」

 まだ汗だくのサロスと、シュナが悲鳴じみた声を上げる。が、他の少年達は当たり前の様に立ち上がってツァールトに続いた。

「……過酷」

「しゃぁないな、行こう」

 サロスは立ち上がり、シュナの手を引っ張って立ち上がらせる。シュナは尻の砂を払い、歩き出した。

「なあサロス。レジスタンス第十七支部がこのアプサラスなら、レジスタンスってどれくらい大きなものなんだ?」

「レジスタンスは、中央政府とは一応独立してる私の軍隊だよ。一応軍らしい本部と幹部は居るが、支部毎にリーダーと研究者が居てそれぞれ独立している。支部は十人前後かな」

 サロスは歩きながら指を空中に彷徨わせる。

「全員で千人くらいいるかな、レジスタンスは。中には中央政府とくっついて保守派に傾く奴も居るな……ああ、ちゃんとアプサラスにも科学者は居るぜ?」

「へえ……」

「帰ったらそろそろ起きる頃かね……紹介するよ。女だ、お前と同い年の」

「えっ」

 シュナはサロスを見上げた。サロスは小さく笑う。

「ああ、天才だよ所謂」

 遠くでツァールトが二人を呼ぶ。シュナとサロスは慌てて後を追った。



 アプサラスの本部は地下であるが、訓練場は地上に在る。小さな倉庫の周りの空き地はそれだったらしい。シュナが模擬武器を持って倉庫を出てくると、既に少年戦士達は徒手による組手を始めていた。

「よし、シュナ。ナイトが抜けるから、入ると良い」

「はい……」

 ナイトは桁違いに強いらしく、ランキングで二位のサロスですら、既に負けた跡が在った。シュナは恐る恐るサロスに駆け寄る。

「―――っらっ!」

 サロスがいきなり、シュナの胸倉を掴もうと手を伸ばしてきた。

「うわっ!?」

 シュナは屈んでこれを回避。咄嗟に転がってサロスから距離を取る。そしてすぐには立ち上がらず、重心を低く腰を落としたまま、両手を顔の前に構えた。

「……ん?」

 その独特な構えに、サロスが一瞬眉宇を顰める。が、すぐに表情を改め、シュナに襲い掛かった。

 シュナは自分から一歩だけ踏み込み、サロスと接触する寸前で踵を返す。そして、空を掻いて伸び切ったサロスの腕を掴み、その推進力をそのまま利用して投げ飛ばした。サロスはシュナの前に、背中から叩きつけられる。

「いっっ……」

 鈍い音がした。いつもは騒がしいサロスも、流石に痛みに耐えかねて無言になる。

 ツァールトが慌てたように駆け寄ってきた。サロスは横向きになり、背中を押さえて呻いている。

「ちょっ……待っ……死ねる、死ねるってこれ……」

「サロス!」

 ツァールトがサロスの腰をさする。他の少年達も組手を止め、心配そうにサロスに近付いてきた。シュナは極まりが悪そうに俯く。

「……シュナ、何をした?」

「ご、ごめんなさい……でも普通に組手しようとしただけで、その、体が勝手に……」

 言い訳にしか聞こえないが、シュナにとっては事実であった。ツァールトは暫しシュナを正面から見詰める。

「……サロスなら、背負い投げだろうが何だろうが、対応できる筈なんだけどな……」

「尋常じゃなく速いんだって、そいつの技!」

 元気を取り戻してきたサロスが怒鳴る。シュナは思わず肩を竦めた。

「……ナイト」

「あ?」

「シュナと、組手やってくれるかい」

「何で俺が」

 ナイトは不満そうな顔になる。が、ツァールトがじっと見返すと、頭を掻きながら近付いてきた。

「手加減出来ねぇぜ」

「それでいいよ。怪我しない程度にね」

「出来ねぇって言ってんだろうが」

 ナイトはシュナと向き合った。少年達は二人の周囲から離れる。ソレダーとアフティが、サロスを持ち上げて移動させた。

「い……行きます」

 シュナは先刻と同じ構えを取った。が、ナイトはサロスの様に駆け寄って来るのではなく、気だるげに、いつもと変わらない様子でシュナに向かって歩いてくる。

 それがシュナの反応を遅らせた。

 気付けばシュナは、ナイトのリーチ内に入っていた。が、ナイトが腕を振るその瞬間まで、シュナはそれに気付けなかった。

 無造作に横薙ぎに振られた左腕を、シュナは辛うじて身を引いて避ける。が、本命はその直後に来た。左手を振る反動で、ナイトの右の拳は加速され、シュナの胸元を捕えていた――――シュナが避けて居なければ。

「っ!」

 シュナは横に跳び、着地と同時に走り出す。ナイトの伸びた左腕を掴もうと、その右腕が伸ばされた。

 それをナイトは見逃さない。ナイトの右手がシュナの右腕を掴む。その痛みに顔を顰めながらも、シュナは体を捻り、右腕を自らの左側へと振ってナイトの体を開かせた。

「やあっ!」

 無防備になった腹に、シュナの蹴りが炸裂する。体は倒れ、水平に繰り出された蹴りとしては最高の形で決まったと言えた。

 だが――――シュナは愕然とする。

「残念だったな」

 憎たらしげに言うナイトの左手が、ナイトの腹の寸前で、シュナの足を掴んでいた。

 蹴りを素手で掴んで止めたのだ。

「さあ反撃だ」

 ナイトが左手を捻った。当然、それに合わせてシュナの足は捻られる。シュナは痛みに顔を顰め、足を引いた。

「うっ!?」

 右腕は捕まれている。右足は解放されたが、それは同時にナイトの左手も解放されたと言うことであり――――

 シュナの鳩尾にその拳が減り込むのには、さして時間は掛からなかった。

「ぐほぁ……」

 シュナは呻いてその場に膝を付く。ナイトは鼻を鳴らし、腕を組んでシュナを見下ろした。

「喧嘩は反射でするもんじゃねぇぞ。頭使え頭」

「うう……」

「終わったぜ、ツァールト」

 ナイトは踵を返した。束ねられたナイトの金髪が、三日月の様に靡く。

「うん、ご苦労様。やっぱり、流石にナイトよりは弱いか」

 ツァールトはシュナに近付き、手を貸してシュナを立ち上がらせる。そして、アフティを振り返った。

「ね、アフティ。彼はやっぱり人間なんだよ」

「…………」

 アフティはツァールトの前に出、シュナと初めて正面から向かい合う。

「……?」

 アフティの髪は、シュナやナイトに負けず劣らず長い。黒い艶やかな長髪は、左側は数本の三つ編みとなり、右側はそのまま後頭部の上方で括られていた。アフティはシュナの前に立つと、ぽす、とその胸に拳を当てる。

「……認める」

「へっ?」

「お前を認める」

 それだけ言って、アフティは踵を返し、ツァールトの隣へと戻って行った。

「えっと……何?」

「ごめんね、シュナ。レジスタンスへようこそとは言ったけど……アフティはアプサラスの『番犬』だから、シュナをすぐに認める訳にはいかなかったんだよ」

「……ごめん」

 アフティは小さく頭を下げる。黒髪がさらりと流れた。シュナは困惑顔で礼を返す。

「さて、実力も分かった……シュナの徒手組手ランキングは二位だね」

「ちょっ、待て! 待ってツァールト! 俺次は油断しないから!」

 サロスが飛び起きてツァールトに言う。ツァールトはにっこりとして振り返った。

「そもそも油断してたんだね?」

「あ……」

 サロスの顔から血の気が引く。ツァールトの目はもう笑っていなかった。

「さぁて、お昼ご飯にしようか皆」

「「はーい」」

「あ、サロスは工業区三周ね」

「ちょちょちょそれ八キロは在る……」

 文句を言うサロスをそのままに、ツァールト達はさっさと地下本部へと入って行く。シュナはちらりとサロスを見たが、サロスが諦めたようにストレッチを始めたのを見て、大人しくツァールトに従った。

 階段を降りながら、シュナはアフティに駆け寄った。

「アフティ、」

「…………何」

「後で、その髪の毛のやり方教えて」

「……は?」

 予想外、といった顔でアフティはシュナを振り返った。

「気になってたんだよ、右側から見れば只のポニーテールだけど、左から見ると編み込み在るし、その編み込みの先端は何処かに消えてるし……」

 慌てたように言葉を紡ぐシュナを暫時見詰め――――アフティは小さく笑った。

「教えてやるよ。お前も髪長いもんな、シュナ」

 シュナ。そう呼ばれたのは初めてであった。シュナは笑って頷く。

 その様子を後ろから見詰め、ツァールトは満足げに微笑んだ。



 汗だくで死にそうなサロスが帰ってきたのは、十数分後の事だった。サロスはふらつきながら上着を脱ぎ捨て、会議机に倒れ込む。

「も……無理、俺……腰痛いし……」

「お疲れ様。シャワーを浴びてきなよ、お昼は出来てるから」

「……ウィッス……」

 サロスはバスルームへと続く扉に向かう。

「なあ、ツァールトさん」

「うん?」

「アフティの、『番犬』って、どういうことだ?」

 シュナが、ツァールトに駆け寄って訊く。ツァールトはサロスの昼食を並べながら、小さく笑った。

「少年部隊……志気を高めるにも、大人とは違う言い訳が必要でさ。だから、僕達はヒーローになることにしたんだ」

「ヒーロー?」

「うん」

 ツァールトは机に寄りかかる。

「レジスタンスになったからには、市民のヒーローにくらいなろうって、ね。皆異名を持ってるんだよ。格好良いだろ? その方が」

 そう言って微笑むツァールトは、酷く大人びた雰囲気を持っている。

「……彼らはまだ子供だよ。正面から戦場に立つには若すぎる。まだ―――」

 ツァールトは俯き、仄暗い笑みを見せた。

「まだ、愛情を知らなさすぎる」

 シュナの背を悪寒が走った。

「だから僕が、甘えさせてあげるんだよ。思いっきりね」

 そしてツァールトは、シュナの頭を優しく撫でる。シュナは暫時俯き、ツァールトを鋭く見返した。ツァールトは気圧されたような顔になる。

「……何?」

 シュナは答えず、背伸びをしてツァールトの頭に手を伸ばした。そしてがしがしと、乱暴に、茶色の癖毛を引っ掻き回す。

「ツァールトさんだけが無茶しなきゃいけないじゃないか。そんなの仲間じゃない」

「……シュナ……」

 ツァールトは自分の頭に手を遣って、驚いたように目を瞬かせる。そして、ふっ、と微笑んだ。

「ありがとう、シュナ。僕は完璧な兄で居る必要は、無いんだね」

 シュナも笑みを返す。二人の様子に気付いたフィリアが、慌てたように駆け寄ってきた。

「何々、何の話ですかっ?」

「何でも無いよ」

「えー」

「何でも無いったら。さて、」

 ツァールトが手を叩く。ソファで寛いでいたナイト達が振り返った。

「此処で皆に残念なお知らせだ」

「?」

「えー、後五分で……」

 ツァールトは指を一本立てる。

「本部の監査が来ます」

「………………」「………………」

 本部の監査。その言葉の意味を、シュナはまだ知らなかった。

「ごめんね、これ五分前にならないと言っちゃ駄目なんだよ。一応抜き打ちだし」

「い……」

 ナイトが青い顔で本を落とす。

「一大事じゃねぇかあ――――――!」

 ナイトの悲鳴で時間が動き出した。少年達は散らばっていたトランプを瞬く間に片付け、ばたばたと奥の部屋に走り込む。シュナが困惑したような顔になる横で、ツァールトも壁際に並べられているケープを羽織った。間も無く少年達も、同じケープを羽織って戻って来る。ほぼ同時に、インターフォンが鳴った。アフティがインターフォンに駆け寄る。

「整列っ!」

「「はい!」」

 ツァールトの声一つで、少年達はランキング順に一列に並ぶ。シュナはその端に収まった。

「……?」

 ふと横を見れば、見慣れない女が居た。寝癖の在る茶髪に黒瞳で、ケープの代わりに白衣を羽織っている。半分閉じられた目は不満げで、少年達とは違った雰囲気を持っていた。

 扉が開く。入ってきた大柄な男は、ツァールトを見、敬礼をした。ツァールトもそれに従う。

「アプサラス代表、ツァールトです。監査の方でしょうか」

「ああ……だが、アプサラスの功績は良く知っている。今日も訓練をしていたと市民に聞いた。今日は、ソリア博士に用が在ったのだ」

 男の言葉に、シュナの隣で女が顔を上げた。

「ソリア博士。アプサラスには新しい科学者を呼ぶから、本部に来ていただきたい」

「………………」

 ソリアはツァールトの横までくると、じろっ、と男を見上げた。

「それがレジスタンスの為となるならばいいでしょう。しかし、」

 ソリアは腕を組み、形だけの笑みを見せた。

「アプサラスを抜けるつもりは在りません。此処には良い研究対象が居ますから」

 そう言って振り返ったソリアの目は――――シュナを捕えていた。

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