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プロローグ 「拝啓 百年後の君へ」
以前小説新人賞に出していたものです。二次で落選したのでアップしました。最後まで読まないと意味が分からない部分が多いのですが、気楽に楽しんでいただけるよう頑張ったつもりです。
青年は、青いヘッドホンのようなものを外し、机の上に置く。それから、淡い光を発するコンピュータの画面に向き直った。
部屋は暗く、机の上以外の様子が分からない。青年はしかし、明かりをつけることもなく、黙々とキーボードを叩いた。パソコンの光に照らされ、青年の茶髪が青白く浮かび上がる。
「……これで、最後だ……」
青年は口元に、疲れたような笑みを見せる。
「やっと……」
そして青年の指が、エンターキーを押した。
『 メールを送信しています
■■■■■■■■■送信中□□□□□□□□□□
送信しました 』
青年は安堵の息を吐き、椅子に座る。
「……頑張れよ……」
そう言い残し――――青年は、床に崩れ落ちた。