(6)オマエガ、イタカラ
「……っ!?」
誰かのぼやき声で目を覚ました蓮は、その姿を見て驚いた。自分しか搭乗していないはずのレファメイシャンに皐の姿があったからだ。
「お前!?何でここにっ……っぃてぇ」
蓮は驚いて皐に尋ねようと、上体を起こそうとしたが、先ほどの衝撃で気を失っており、尚且つ、頭をぶつけたようだ。
「あぁ、やっとお目覚めかよ」
普通にそう答えてくる皐に戸惑いながら聞いた。
「何でここにお前がいるんだよ」
「何でって、猫柳隊長の搭乗機が太陽の欠片に吹っ飛ばされたから、様子を見に来たんだろ」
「なっ……」
「それで、もしものことを考えて俺にも操縦できるかどうか確認していたところだ」
「……その必要はない」
「見ればわかる。……頭打ったのか?大丈夫か?」
「あぁ。問題ない。おい、この機体、何で動いてるんだ?」
「え?」
「太陽の欠片のせいで、電力がなくなったはずだが……」
蓮は少しずつ、気を失う前の記憶がよみがえってきているようで、徐々に現状を把握していった。
「俺の宝玉で電力をレファメイシャンに供給してんだよ」
「へ?」
蓮は理解できないというように首を傾げた。
「だ・か・ら。俺の宝玉は雷の力が備わっているから、それを使って、レファイメイシャンを動かしているんだよ」
「………………………はぁ!?」
理解できたようなできていないような感覚に襲われた。
「そ、そんなことが可能なのか!?」
「今現時点では可能のようだな」
にやりとほくそ笑む皐に苛立ちを覚えながらも、蓮は太陽の欠片や他の隊員の状況を把握することにした。
皐の宝玉のおかげで通信機能も申し分ない。その他の機体の位置情報や自分の機体状況の表示も何も問題はなく、全て通常通りに作動していた。
「こちらレファメイシャン、トレーラー聞こえますか?」
無線でトレーラーに連絡を取ると、歓喜の声とともに返事が返ってきた。
「猫柳隊長!?大丈夫!?」
「あ、はい。すみませんでした山吹大佐。レファメイシャンは通常運転が可能です。こちらで太陽の欠片に応戦します」
「応戦って!?どうやって………」
「大丈夫です。考えがあります」
蓮はそういうと通信を切ってしまった。
「…………考え、あるのか?」
恐る恐る皐が聞いた。
「……あるわけねぇだろ。今から考えるんだよ」
蓮の即答に、言葉が出ない。
「おい、大佐にあんな大口叩いといて、そりゃねえだろ」
「うるせぇよ」
「喧嘩してる場合じゃないだろ、二人とも」
二人の言い合いを遮るように、夏樹が宝玉を通して会話に入ってきた。
「何で俺達の会話が分かる!?」
「あぁ、宝玉で通信してるんだよ。この狭いところにいたら、そりゃ会話は丸聞こえだな」
ハハハと笑う皐だったが、ふと気がつく。
「なぁ、レファメイシャンのミサイル弾数は?」
「ん?一発あったけど、ミサイル発射するところ自体が壊れちまってる」
「……………ええ!?」
少しの沈黙のあと、二人の危機迫った声が機体内に響いた。
「もしかして、弾数がないんじゃないかって思ったら、ミサイル撃つこと自体が出来ないのか!?」
「そういうことに……なるな」
「……おまえ、よくそれで大佐にあんなこと言えたよな」
「だから、うるせぇよ。今気付いたんだよ」
「じゃれ合うな二人とも。落ち着け」
再び夏樹が間に入る。
「落ち着けるかよ!」
「策はある」
「さすが、夏樹だな」
「なんだと!?」
妙に安心仕切っている皐とは対照的に、蓮は不安を隠せなかった。
「でもミサイル撃てないけど、どうするつもりだ?」
蓮は夏樹の考えを聞いた。
「ミサイルならあるわ」
すると、いつの間にかヒーヴァル付近に移動していた綾芽が答えた。
「綾芽いつの間にそんなところに?」
「さっきよ。大丈夫、あいつの相手なら代わってもらったから」
不思議そうに聞く皐に返事をしながら綾芽が作戦内容を説明した。
「今、ヒーヴァルにミサイルが一発だけ残っているわ。これを使うの」
「でも予備電源でミサイルは撃てないだろ?」
「撃てない、じゃなくて、撃たない、でしょ?撃てば動けなくなって終了。ならば、その一発で仕留めれば動けなくなっても周りが運べばいいじゃない」
「あいつを!?一発で!?」
蓮は驚きを隠せなかった。
「そうだ。つまり、止めをミサイルで刺すんだ。そうじゃないと機動部隊が戦っている意味がない。俺たちはあくまでサポートだからな。それに今まで何発ものミサイルを食らっても、そんなに弱っているようには見えない。おそらくは体内にある核に直接打撃を与えなければ、倒すことは不可能だろう」
綾芽の中途半端な説明を夏樹がフォローした。
「なるほどな」
「何がだよ」
「レファメイシャンであの特大太陽の欠片を真っ二つにして、核を表に出せばいいんだな?」
「御名答。さすがは皐だな」
「真っ二つって……。レファメイシャンの片腕吹っ飛んでんだけど……」
「もう片方があるだろ?」
「腕はあるけど、剣がない……」
どうやら腕と一緒に、レファメイシャンの剣も吹っ飛んでしまったようだ。
「剣ならある」
「え??」
「いいから、隊長さんは特大太陽の欠片を真っ二つにすることだけを考えて下さい」
皐は急に蓮のことを隊長さん呼ばわりし、夏樹に作戦開始を促した。
「綾芽、ミサイルの方は頼んでいいか?」
「もちろんよ、皐 」
「夏樹、頼む」
「あぁ、思う存分暴れろ!トレーラーに危害は及ばないようにするからな」
「おい、おめぇら………」
何だかとても良い空気になっている中、息の切れた、暗い声が聞こえてきた。
「あ、忘れてた」
「んだとこらぁああ!」
レファメイシャンが倒れてから、この作戦会議の間ずっと特大太陽の欠片の相手をしてくれていたのは、言うまでもない。凌なのだ。
「夏樹てめぇ……。お前が作戦会議の間もう少し頼むって言うから!忘れてたってなんだよ!」
「悪かったってば。今から休んでいいから」
「~~~~~!………わーったよ」
何とか凌の怒りも収まり?作戦は開始された。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「で、でも……。このミサイルをどうやって発射させるんですか……?」
「う〜〜〜〜〜ン」
ヒーヴァルの中から心配そうな声で百合が問う。さくらはそのミサイルを眺めながら唸っていた。
一発だけ残っているヒーヴァルのミサイルは、普通の状態ではなかったのだ。ミサイルが発射されてから、次のミサイルが充填されるまでおよそ30秒。ヒーヴァルは、その30秒の間にいったん電源が落ちてしまい、そこから予備電源に切り替わったため、充填される途中のところで止まってしまっていた。
「予備電源じゃ、これ、ここから動かせないんだよネ?」
「そうなんです……。発射ボタンしかなくて……」
「こうなる想定で何か対策はされてないの?」
綾芽が不思議そうに聞いた。
「……はい。あるのかもしれないんですけど、それなら元さんが教えてくれるはずです」
「そうだよネー」
「あ!でも!」
百合が何か思い出したようで、機体ごとこちらを向いた。
「元さんで思い出したんですけど、この新型機開発中の時に、私たまたま見てたことがあって、そのときはミサイルの充填がスムーズに行かないって、元さん悩んでました。それで、こんな感じで中途半端に止まってしまったミサイルを安全に取り外していたんです!」
「どうやって!?」
「ミサイルのお尻の方に、色のついた線が2本ないですか?」
「どれどれ……」
ヒーヴァルによじ登っている綾芽はそこを覗きこんだ。
「あ!!赤と青の線があるわ!」
「それです!それを切れば安全に取り外せるって言ってました!!」
「じゃあ、元さんの逆をすれば、ミサイルは飛んでいく……?」
「そのはずです!!」
「でサー。どっちを切ればいいノ??」
「……………」
さくらの質問に言葉が出ない百合は、黙り込んでしまった。
「ちょっと……神崎さん!?」
「もしかしてだけド……」
「どちらを切ればいいかは…………わかりませんっ!」
「えーーーーー!!」
3人の沈黙は続いた。
「あっ!!!」
その沈黙を破ったのはさくらの閃きだった。
「どうしたの?さくら」
「綾ちゃんなら大丈夫だヨ!」
「え?」
「綾ちゃんが思った方の線を切ればいイ!」
「どうしてそう思うのですか?」
百合が不思議そうに二人に聞いた。
「何が言いたいのよ、さくら」
「だってさ。綾ちゃんはあの白ひげ危機一髪を13回連続で打ち上げたんだヨ!?そんな幸運の持ち主ならば、これだって必ず成功するはずだヨ!!!」
腰に手を当てながら自信満々に話すさくらだった。
「白ひげ危機一髪って、あの!?剣を順番に刺していく、ゲームのこと??」
「そうそウ」
「えーーーーっ!あれを連続で!?」
「そうそウ!」
「それならばいける気がしますね!!」
「でしょーーッ!」
「ちょっと待ちなさいよ、二人とも」
盛り上がる二人を余所に少し赤面気味の綾芽が止めた。
「そんなことで、決めていいの?」
「大丈夫だヨ!綾ちゃんならできル!」
「私も!信じています!!」
「はぁ〜………。もう、どうなっても知らないからね!」
線を切る役目になった理由はさておき、綾芽は作戦に集中することにした。
「じゃあ、神崎さんは狙いをしっかりと特大太陽の欠片に合わせてね」
「はい!」
「さぁ、始まるわよ!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「今から大剣を出すから、蓮はそれをレファメイシャンでキャッチしろよ」
「あぁ……わかった」
未だ不安を隠せないでいる蓮は、渋々皐の指示に従う。
「皐、綾芽の方も準備できたようだ。始めてくれ」
夏樹からGOサインが出た。
「了解。第三解放っ!!!」
皐は機体内でそう唱えると、胸に下げていた宝玉が金色に輝き出し、フワフワと機体の外へ移動した。それはそのまま剣の形へと変化し、どんどん大きくなっていく。やがて、レファメイシャンが持つにふさわしい大きさまでになった。
蓮はそれを戸惑いながらも掴み、少し振ってみた。
「なんだよ………これ……」
目の前の光景に驚きを隠せないでいると、皐が苦しそうに言った。
「この力は数分しか保たないんだ……。だから、早く特大太陽の欠片を真っ二つに………っ!」
「お、おぅ、わかった……!」
感動している場合ではないと我に返り、特大太陽の欠片目がけて突進した。向こうもこちらの輝く剣と、殺意に気がついたようで、突進してきた。
先ほどのレファメイシャンと同様に、特大太陽の欠片の腕のような部分と皐の宝玉の剣がぶつかり合う。
周りから見たらレファメイシャンが神にでもなったかのように錯覚させるほどの光の剣だった。
『なんですか、あれは…………ククク……。人間が適合者の力を借りているということですか…………』
「蓮!!終わらせるぞ!!」
「あぁ!!」
皐は蓮に声をかけた後、目を閉じ、集中した。
「一刀両断!!」
皐は残るすべての力をそこに込め、叫んだ。すると、剣は先程よりも輝きを増し、その輝きの影響からか、さらに大きく見えた。
「………!?」
蓮は自分の力ではないが、何故だが感じ取れた。力が増している。そしてその力が頂点に達したとき、蓮の体が自然に動き、剣を勢いよく振り下ろしていた。
「オォォオオオッッ!!」
今までの声とは比べ物にならないほどの悲鳴を発し、特大太陽の欠片は見事真っ二つになった。その中心には、視界に入れるだけで吸い込まれてしまいそうなほどの闇色をした核が存在していた。
「何だ……あれは……っ」
「あぁ……あそこまで大きいのは初めて見た……」
「綾芽!!今だっ!!!!」
核に圧倒されている皐と蓮に代わり、夏樹がミサイル発射の合図を出した。
「神崎さんっ!!」
「はい!標準合わせオッケーです!!」
「…………っ」
(どっち、どっちを切る……?)
「えぇい!飛んでけーーー!!!」
綾芽は少し迷った末に、片方の線を切った。それは皆が願っていた通り、大きな爆音と共に動き出して飛んで行った。
「綾ちゃん、やったァ!!」
「当たれー!!」
さくらは喜び、百合は叫んだ。綾芽が飛ばしたミサイルは、狙い通りに太陽の欠片の核に直撃した。
「オオオオオーーー!」
最期に奇声を発しながら、特大太陽の欠片は消滅し、それとほぼ同時に核も消滅した。夏樹の作戦は大成功したのだ。
「やったぁ!!」
「よし!作戦通り!」
「まさか……あんな作戦が成功するなんて……」
「いいじゃないですか、猫柳隊長。私達は勝ったんですよ!!」
さくらは飛び跳ねて喜び、皐は拳を突き上げた。蓮は信じられないと言うようにつぶやき、それに百合が答えた。
そして、第一回合同作戦は、何とか無事に事無きを得たのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「猫柳隊長!!」
百合は慌てて駆け寄った。先ほどまでの争いが嘘のように静まり返ったラルジュ砂漠は、機体回収や怪我人の治療等でたくさんの人が行き来していた。
そんな中、レファメイシャンから皐と蓮がお互いを支えあいながら降りてきたのだ。
「大丈夫ですか!?はっ!!足から血が!!大変!!今すぐ、担架持って来ますね!!」
「あ、あぁ、そんなに騒ぐな。大丈夫だから………」
蓮が声をかける前に、百合は行ってしまっていた。
「あいつは慌てると相変わらず周りが見えなくなるんだな」
皐は苦笑した。
「そんなことより、お前も立っていられないぐらい消耗してんじゃねーのかよ」
支えてもらっているのが照れくさいのか、気を使っているのかは不明だが、蓮が離れようとする。
「俺は大丈夫だ。担架がくるまで支えといてやるからじっとしてろよ」
「っ……」
少しの沈黙の後、意を決したように蓮が口を開いた。
「なぁ!………お前、あの時、どうして黙って出て行ったんだよ」
「あの時?」
「レイズに………LRHに異動のときだよ!」
「あぁ、それは……」
少しずり落ちていた蓮の体を支え直してから、皐は素直に告げた。
「言ったら、蓮は止めるだろ?」
「当たり前だ!」
「だからだよ。もう異動してしまえば止めてもどうにもならないし、それに、な」
皐は照れ臭そうに蓮の顔を見ずに言った。
「お前が、いたから」
「え……?」
「俺よりも優秀な、隊長になれる存在が近くにいたから、俺は隊長を簡単に放棄出来たんだ。お前なら皆をまとめられるだろうし、任せられると思った。まぁ、俺が頼れるのはお前ぐらいしかいなかったけどな」
「………んだよ、それ」
「ん?」
「俺はてっきり、お前が……」
「遅くなりましたぁー!!」
蓮が何かを言いかけたとき、百合と担架を運んできた二人の男性が小走りでやってきた。
「さぁ!猫柳隊長!今すぐ治療を受けに行って下さい!」
「あ、あぁ」
急かされるように担架に乗せられる蓮に、皐は聞き返した。
「なぁ、さっき何言おうとしたんだよ?」
「……………大したことじゃねぇよ」
「何だよ、気になるだろ?」
「何でもねぇよ!」
そう言うと担架が動き出した。
「何でもねぇことねぇだろ!」
「うるせぇ!あ!皐!!」
数メートル進んだところから蓮は叫んだ。
「これは1つ借りだからな!この借りは必ず返すから、それまで死ぬんじゃねーぞ!!」
「っ!」
そう告げると、蓮を乗せた担架は姿が見えなくなってしまった。
「死にそうなのはどっちだよ………」
そう呟いた皐は、嬉しいような、むず痒いような感覚に、思わず笑みが溢れていた。
「何1人でニヤニヤしてるノ?」
「わぁっ!」
急に現れたさくらに驚き、皐は一歩後ろへ下がった。
「1人で気持ちわる~イ」
「うるさい」
「仲直りできたのね」
綾芽が断言した。
「別に喧嘩していたわけじゃないけどな」
照れたように言う皐の姿を見る限り、もう蓮とのわだかまりは消えたようだった。
「おめでとうございますっ!!綾芽様っ!!見事!14連続達成ですねっ!!」
「なっ!何よ!!凌!!急に大きな声出したらびっくりするでしょ!?」
「めでてぇからお祝いしてやったんだろうが」
「めでたいって、何がよ?」
「14連続達成だよ。まぁ、今回のは白ひげじゃねーけどな!同じだろ?原理的には、さ」
「あ、そっカ。ミサイルが見事に撃ちあがったから、記録更新だネ」
妙にハイテンションな凌に合わせてさくらも会話に入ってきた。
「あ、あれはミサイルでしょ!?別問題よ!!それにミサイルは撃ち上がるのを狙ったんだから、それとこれとは話が別よ!!」
「えぇ~、そうなノ~?」
非常に残念そうな声でさくらはうなだれた。
「いや、あれは綾芽にしか出来ないことだ。もしも俺だったら、撃ち上がってはいねぇだろうな」
「何でそう断言出来るのよ?」
「結局どっちの線を切ったんだ?」
「え?あぁ……、赤だけど……」
「やっぱりな。俺は青だと思ったんだ」
「わ、私だって最初は青だと思ったのよ!?で、でも撃ち上がる方を選んだ結果、赤にしたのよ!!」
「へぇ~?」
「何よ!うるさいわね!!」
「これが撃ち上がる方を狙ってってんならよぉ、帰ったら白ひげやってみるか??今度は撃ち上がらない方を狙えばいいだけの話だろ?」
「の、臨むところよ!!」
「二人とも~、その辺にして~」
救護室から戻ってきたいづみが二人の間に入った。
「あ、いづみお帰リー」
「ただいま~、それよりも皐?」
「ん?」
「行きましょうか~?」
「え?」
それだけを言うと、いづみは皐の腕を引きどこかへ連れて行こうとする。
「行くって、どこに??」
「治療室よ~」
「いやいや、俺は大丈夫だから。LRHに戻ってからでも……」
「第三解放したのに、そこまで持つはずがないわ~。今、立っているのもつらいはずだけど~?」
いづみは笑顔で言うが、全てを見透かされている気分になり、どこか怖かった。
「……」
「行くわよ~?」
「あぁ……」
皐はあきらめていづみの指示に従い、治療室へと向かった。
「あぁいうときのいづみは一番怖いよネ」
「あぁ、隠してもお見通しだからな」
去っていく皐の後姿を眺めながら、さくらと夏樹はしみじみと語った。
そのずっと先にはメディアが総司令官や大佐にインタビューをしているところだった。今回の件は傍から見たら、機動部隊の新型ミサイル実践訓練は見事勝利し、今後は本格的に実用化に向けて飛躍するに違いないだろう。そのため、各々が最新情報を得て、記事にしようと血眼になっているのだった。
そんな中、綾芽たちは自分たちの任務は完了したので、皐の治療が終わり次第、LRHへと先に戻るのだった。
ちなみに戻った後、白ひげ危機一髪を行い、綾芽が見事15連勝というメモリアル記録を達成したということは、言うまでもないだろう…………。