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紅蓮のレイズ〜太陽奪還説明書〜  作者: ちよこれいと
第一章
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プロローグ

「悪いな、急がせて」


 葦井(よしい)は机に腕を置きながら言った。


「いえいえ」


 腰ぐらいまであるきれいな黒髪をなびかせながら、女は答えた。


「形式上、新たなグループが発足した時は代表者あいさつが必要でな」

「まぁ、仕方ないことですよね」


 女は鏡で身だしなみを整えながら言った。


「それで、このメンバーでいいんだな?」

「えぇ、もちろん。完璧だわ!ただし……」

「あぁ、わかっている。もう許可は下りているから、代表者あいさつが終わったら迎えに行ってくれ」

「本当に!?さっすがね!!」


 女は少し吊っている目を全力で細めて喜んだ。


「……その、なんだ。嫌なら……」

「葦井さん」


 女は葦井の言葉を遮った。


「何回も言ってますけど、これは私の意志です。別に父と母がそうだったからとかじゃないですから」

「しかし、同じ道に進まなくても……。スポーツ選手や家業とはまた話が違うんだぞ」

「分かってますよ。自分がどんなバカな選択しているのかってことぐらい……」


 女は鏡から葦井へと視線を変える。


「それでも……。私は両親の夢を叶えたい」


 女はまっすぐ葦井の目を見た。


「っ……」


 葦井はその目力に怯みそうになった。


「両親の夢は私の夢です。私の目標です。両親が見たかった世界を、私も見たい」

「……わかった、わかったよ」


 葦井はため息交じりに言った。


「くれぐれも!あいさつで変なこと言うなよ。精一杯頑張ります程度の話でいいんだから」

「了解で~す」


 頭に手を置き、敬礼をしながら女は踵を返し、部屋を出て行った。


「これで良かったのか……」


 葦井は呟き、机の上にあった写真立てを手にした。


(かなめ)……明音(あかね)……」


 6人が笑顔で写っている写真を見て、不安な気持ちがこみ上げる。


「これが正しいのか……?これがお前らの望んだことなのか……」

(りゅう)?」


 ひとり言を呟いていて気が付かなかったが、扉の横にはあけみがいた。


「もう時間よ。あなたもあいさつ聞かないとでしょ?」

「あ、あぁ。今行く」


 写真立てを元の位置に優しく戻し、葦井は部屋を出た。

2018年5月16日に内容変更致しました。


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