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VTuber探偵ミコが行く!  作者: べなお


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第15話:空中戦

【登場人物】

氷室稲置ひむろいなぎ

ミコのマネージャーだったが無職になった?。19歳。高校時代は生徒会長をしていた。料理がそこそこできる。変人をなぜか吸い寄せてしまう人生を送っている。殺人事件の第一発見者となる。


淡野瑞希あわのみずき

主人公の後輩の女子高生。剣道部主将。眼鏡が似合うショートボブ。大阪出身で関西弁。

「結局決定的なタレコミは無かったな。一応一人目のフォロワーが言ってた経営者風の男は気を付けるとして、あとはただの不審者がほとんどか。さすが池袋だ」


「言ってる場合やないよ。このままやと日が暮れる。流石に素人二人で深夜うろつくのはあかん。探してる相手が相手やしな」


「そうだな。最後の一件行ったらラーメンでも食って帰るか。池袋なら無敵〇とかな」


「ええけど、そこめっちゃ並ぶやん。先輩と一緒やったらええけどな」


 二人は池袋サンシャインシティを歩いていた。男女のカップルや家族連れが多く見える。訪れかけている夏の陽気から、薄着の人も目立つようになってきた。あまり見すぎても迷惑なので視線を淡野に戻す。


「剣道部の練習を考えたら捜査に使える日はあたしはあと2,3日ってとこやな。困ったらあたしんちの道場から腕の立つ若いもんを行かせるで」


 彼女、淡野瑞希の家は剣道の道場である。


「悪いな。なるべくそれまでに片づけることを考えよう。今夜、小石砲を使う」


「……ついにあれが放たれるんか。こないだのはえげつなかったなあ」


「小石砲を直撃したおれがいうんだから間違いない。効果は抜群だろう」


 しかも完全に逆恨みでだ。平常心を保っている自分が逆に怖い。


「でもどんな内容で?」


「詳細は伏せて、"池袋で起きた殺人事件について決定的な証拠を持っている"と小石に配信させる。SNSにも投稿する。今名乗り出れば、配信のネタにする代わりに警察には引き渡さないってな」


「またエグいこと考えるな」


「エグいのは向こうの方だ。アウトサイダーには真っ当な手段では勝てない」


「当然警察に引き渡すんやろな。ていうかそんなんで本当に名乗り出てくるん? 普通にスルーするんじゃ」


「そうだとしても犯人は必ず観てるだろうし、何らかのアクションを起こすだろう。それでボロを出したり、焦って証拠を残すようなことがあれば好都合」


「まあええやろ。一つだけ懸念があるとすれば、小石ちゃんの身に危険が及ぶパターンやな」


「ああ。そこは俺たち2人で守り切る」


 東長崎の揉め事スイーパーと、難波(なにわ)懐刀(ふところがたな)


「そんなことやろうと思ってたわ。警察にはこんなこと頼れんわな」


  「ああ。高校生がそんな危ないことすんなって言われて終わりだ。でも黙ってみていられない。オレの後輩が泣かされたんだからな」


「先輩、もしかして桜音ちゃんのこと」


「……他意はねえよ。俺は元生徒会長だ。お前らの人生を守る責任はまだ終わってない」


「本当に、難儀な人生やな。しゃーない、最後まで付き合ったるわ」


 これからは空中戦だ。お前が敵に回したのは警察だけじゃないということを、思い知らせてやる。



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