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40. 相互協力関係


「強化されてます! 強化されてますよ!」

「おー、それは良かったねー!」


 僕の報告に、キャルさんが気軽な感じで手を振る。ニコニコ笑顔ではあるけど、僕ほど興奮している様子はない。凄いことなのになぁ。


「やったー!」

「思った通りー!」


 ライナとレイネが笑顔で万歳をする。いや、本当に二人の発想には驚かされるよ。


「これって、何度も強化できるんですか?」

「それは無理ー。あーしの恩寵はひとつのものに一度しか使えないんだよねー」


 繰り返し強化すれば、簡単に最大レベルまで持っていけそうだけど、そこまではうまくいかないか。


 と思ったら、ルクスがアイデアを出してくれた。


「別の物に因子を移し替えたらどうなるんだ?」


 なるほど。試す価値はある。


 因子を取り込み、別の枝に付与してから、再びキャルさんに強化を試してもらう。結果は――――



■取り込み可能な因子■

・甘みアップ(Lv9)

・甘みアップ(Lv6)



 強化成功だ!


 同じ手順を繰り返した結果、最終的にはこうなった。



■取り込み可能な因子■

・甘みアップ(Lv10)

・甘みアップ(Lv10)


 どうやら“甘みアップ”は10が最大レベルみたいだ。あと、駄目だと思っていた重複付与もできることがわかった。この辺りは因子によるみたい。


「凄いですよ、キャルさん!」

「あはは、あーしの力が役に立ったならよかったよ」


 役に立つなんてものじゃない。キャルさんの力を借りれば全ての因子を最大まで上げることができるんだから。


「物は相談なんですが……」

「少々お待ちを。カフーラ様の信徒同士で協力し合うことは素晴らしいことだと思います。ですが、一方的に恩恵を得る、あるいは授ける関係は健全だと思いませんわ」


 話を切り出そうとした僕を、カトレアさんが制した。


 言っていることはもっともだ。今のところ、服をもらったり、因子を強化してもらったりと、僕らだけが得をしているものね。


 僕から提供するとしたら、やっぱり因子だろうね。


「こういうのはどうでしょうか? キャルさんに因子を強化してもらう代わりに、僕は因子付与というサービスを提供するっていうのは」


 僕が提案すると、カトレアさんは輝く笑顔を浮かべて頷いた。


「素晴らしいご提案ですね。大変よろしいかと」


 良かった。納得してもらえたみたい。


 肝心のキャルさんはというと、やりとりの間ニコニコしてるだけで、黙って見ているだけだったけどね。こういう話にはあんまり興味がないみたい。


「話はまとまったー?」

「店長……もう少し利益を考えて行動して欲しいものですわ。ロイさんは幼いのにしっかりされていますよ」

「そういうのは、カトリンに任せてるからさー」

「仕方ない人ですね……」


 カトレアさんから注意を受けても、どこ吹く風だ。まぁ、二人の役割としてはそれでいいのかもしれない。


「じゃあ、早速やっていこーか」

「お願いします」


 ともあれ、話がまとまったので因子強化タイムだ。ストックにある因子は全部最大まで強化してもらった。



・脆い(Lv10)

・打撃耐性(Lv10)

・劣化(Lv10)

・自浄作用(Lv10)

・硬い(Lv10)

・頑丈(Lv10)

・魔法適性:水(Lv5)

・魔法の才能(Lv7)

・洗浄力アップ(Lv10)

・聴力強化(Lv10)

・弱視(Lv10)


 最大レベルは因子によって違うみたい。基本的には10だけど、“魔法適性:水”と“魔法の才能”だけは最大値が違った。


 一応、レベルがない因子も強化を試してみたけど効果なしだった。感情因子はそもそも生き物以外に付与できないので、こちらも強化できない。


 全ての因子が強化できたわけじゃないけど、それでも恩恵はかなり大きい。これで諸々パワーアップできそうだよ。


 で、約束通り、僕のほうからも因子付与で協力する。キャルさんとカトレアさんが望んだのは、布地への付与だった。


 “魔法の才能”とか便利なんだけどね。服飾には関係なさそうだからって理由で必要はないって言われたよ。


 ああ、でも、手先の器用さが強化されるような因子を見つけたら欲しいとは言われた。あくまでも重視するのは服作りってことみたいだね。


 布地に付与する因子として何がいいのか手探り状態だけど、現状ではこんな感じで試してみることになった。


■取り込み可能な因子■

・頑丈(Lv10)

・打撃耐性(Lv10)

・自浄作用(Lv10)

・洗浄力アップ(Lv10)

・高品質(Lv10)<new>

・滑らかな質感


◆高品質◆

全体的な品質が上昇する。

上昇度合いはレベルによる。


◆滑らかな質感◆

滑らかな質感を与えて品質を向上させる。

対象によっては品質が下がる。


 “高品質”と“滑らかな質感”はキャルさんが因子付与の対象とした布地にもとから付与されていたものだ。せっかくだからということで、高品質を最大レベルまで上げてから付与しておいた。


「こんなものでどうでしょう?」

「質感が素晴らしいですわ!」

「色合いも良くなってるねー!」


 カトレアさん、キャルさんからの評価も上々だ。とはいえ、問題もあって、最大レベルの“頑丈”を付与したせいか、加工が難しくなっちゃったんだよね。


 なんで、裁縫針や裁ちばさみにも因子を付与することになった。



■取り込み可能な因子■

・頑丈(Lv10)

・自浄作用(Lv10)

・洗浄力アップ(Lv10)

・高品質(Lv10)

・手に馴染む


 “高品質”を付与すると切れ味もよくなるみたいで、これでどうにか布の加工もできるようになった。


 “手に馴染む”は道具に付与すると扱いやすくなるって因子。たしか、硬貨から取り込んだったかな。宿の包丁なんかに使うと便利な因子だからついでに付与しておいたよ。


 僕にとってもキャルさんにとっても良い取引になったんじゃないかな。服ももらえたし、キャルさんのところを訪れることにして本当に良かった。


 まぁ、もともとの本題だったGPの稼ぎ方については収穫がなかったけどね。そもそもGP自体を知らなかったんだから仕方ないけどね。


 ちなみに、そのままの格好で宿へと戻ったらみんなに驚かれた。明らかに上等だし、まだあまり見ない新しいデザインだからね。


 とはいえ、評価自体は悪くなかったよ。居合わせたお客さんたちも興味深そうにしてたし、キャルさんのお店にお客さんが増えるかもしれない。


 ただ、オードさんは「ライナも女だったのか!?」ってパニックになってたけど。いやいや、一緒にお風呂入ったでしょ。


 双子は男の子用の服ももらっていて、翌日以降、ライナはそちらを着るって話していたけど……この反応からすると、ちょくちょく女の子の服を着てオードさんをからかって遊びそうな予感。まぁ、いいんだけどね。

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