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ホラー短編

老人ホームでナースコールが鳴った話(実話)

ホラー小説用に考えたネタではなく、実話です


6年前、老人ホームで働いていました

正確にはサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)です

認知度が進んで意思疎通が難しい利用者が多かったのですが

どうしても忘れられない思い出があります


2階に入居されていたお婆さんがお亡くなりになって

しばらくその部屋は空き部屋となっていました


ひと月ぐらいで次の利用者の方が決まり

男性で認知症の方でしたが

ほぼ体が動かず寝返りが出来ないので

2時間ごとに体位を入れ替えに入室させて頂いてました


排尿 (おしっこ)もバルーンと言って

尿道の管から、ベッド脇の袋にため

決められた時間に看護士か介護士が容器に入れて

量を測って記録し、部屋のトイレに流すことになってます


バルーンは主に男性の方なら

手術などで経験があるかもしれません


私が初めてその男性の部屋に入ったのが夜でした

眠っておられたようですが、尿が溜まってたので

容器に出してトイレに流しました


その後オムツを開けてパットを確認していると

(便が出てる可能性があるので)

別の部屋でオムツ交換にまわっていた介護士の方が

その男性の部屋、つまり私がいる部屋に入ってきたのです


どうしたんですかと尋ねると

この部屋からナースコールが鳴ったと言いました

それもずっと鳴り続けていたと


ナースコールは事務所内だと音はするのですが

お部屋を回っているときは専用の電話(PHS)が

鳴るようになってます


私は深夜だったのでバイブに切り替えていたのと

オムツを開けて作業中だったので気付けませんでした


それと介護士の方がご自身の電話(PHS)で

コールを切ってしまったため

私の電話(PHS)には履歴が残っておらず

本当に私の部屋からのナースコールだったのか

確認できませんでした


でも変じゃないですか

私、その部屋にいたわけで

誰がこの部屋のナースコールを鳴らしたんですか?


ナースコールは部屋に二つあって

ベッド脇と

トイレです


可能性は二つ

介護士の方の部屋番号の見間違いか

あるいは

私がオムツを開けた時に

何かの拍子でベット脇のナースコールにふれてしまったか



私は事務所に帰った時に

介護士の方に番号見間違いだって言い張りました

怖かったからです

こういう仕事ですから

あまり聞きたくない噂とかもありますし


次のシフトの時に、おなじく夜勤だったので

深夜にその男性の部屋に入りました

男性はお休みになられてたようですが

尿が溜まっていたので、容器に入れてトイレに流しました


ブーブーブーと電話(PHS)が鳴りました

前回の事があったので、この部屋だったりしてなどと

心に予防線を張って電話(PHS)を見たのですが

この部屋でした


これが人生で一番怖かった瞬間かもしれません

眠っている男性は、認知症が進んでいて

おしっこの管を抜く癖があるので

ミトンといってグローブを常につけています

つまりご自身でナースコールは押せないのです


ザーっと鳥肌が立ちました

必死で理由を探しました

その時はわからなかったです





数日後、こんどは昼間の勤務で

その男性の部屋に入ったとき

バルーンが溜まっていたのでおしっこを容器に入れて

トイレに流しました

電話(PHS)が鳴り、やはりこの部屋でした


さすがに昼間なので怖くはなく

冷静に原因を探りました


気付きました

トイレに尿を流すとき

私のおしりがナースコールに当たっていたのです

正確には腰にポーチを巻いてて

尿を流すために前かがみになると

おしりのポーチがちょうどトイレのナースコールに

当たる高さになっていたのです


数日間どんだけ憂鬱だったか……

後日、介護士の人にむちゃくちゃ笑われました

以上、老人ホームでナースコールが鳴った話でした

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「おしりがナースコールに当たっていた」 あっ!下ネタ? [気になる点] コロンの祖母は、亡くなった日の夜に病院に出て、お礼参りしてたって。 「ありがとうございました」って言ってな。
[良い点] 怖がりではありますが、実話ということで、しっかりと身構えて読みました。 分かりやすく、読みやすい。それでいて怖さもあり「どうなってしまうのか」と内心ドキドキしてしまう程に引き込まれたのです…
[良い点] 実話というだけあって、室内の様子や作業の流れなど、とてもよく描かれていて、読んでてすぐに風景が思い浮かび、あっという間に読んでしまうほど読みやすかったです。 本怖を彷彿とさせるお話だと思い…
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